美の壺「粋を極める 男の靴」




<File455>男性のオシャレは足元から!

アメリカ・イギリス・イタリアの美意識の違いとは?

世界中から顧客が訪れる、フルオーダーメードの工房の技と靴作りの神髄とは?

イタリアのだて男、パンツェッタ・ジローラモさんが、愛用の靴に合わせたカジュアルコーディネートを披露!

メンズファッションイラスト界の重鎮は、靴を育てる楽しみを伝授!

半世紀前の靴を輝かせる、靴磨き世界選手権チャンピオンの技とは?

【出演】草刈正雄,パンツェッタ・ジローラモ,綿谷寛,【語り】木村多江

美の壺「男の靴」

放送:2017年9月7日

男性の足元を飾るファッションアイテム靴。

中でも革製の靴はビジネスだけでなくカジュアルなオシャレにも欠かせません。

こちらはすべて作業。憧れのフルオーダーメイド。

イタリア出身のタレントパンチェッタジローラモさん。

「外に出るといちばん見られるのは靴です。かっこいい靴とか、きれいな靴じゃないとだめ」

人気イラストレーターは大好きな靴を履いてその日の装いをイラストに。

世界一の靴磨き職人。

靴を磨いて靴を育てる。男のオシャレは足元から。

今日は男の靴の魅力に迫ります。

セレクトショップ

東京神宮前にある靴のセレクトショップ。

世界中から選りすぐられた靴が並びます。一見同じように見えても、革靴には色々なスタイルが。

プレーントゥ。つま先に縫い目や飾りがないシンプルな靴です。

キャップトゥ。つま先に横一文字の縫い目があります。

穴飾りが美しいフルブローグ。つま先の翼のような切り替えが特徴です。

ストラップで止めるモンクストラップ。モンクとは修道士のこと。彼らの靴が原型とされています。

靴のスタイルは多種多様。でもそれぞれにふさわしい場面があります。

靴に関する著作を多く出している飯野高広さん。例えば冠婚葬祭にベストなスタイルとは。

「一番ふさわしい形とされるのはこちらのキャップトゥ。特に内羽根式のものが一番ふさわしいとされています」

紐靴は主に内羽根式と外羽根式に分けられます。

靴紐の穴が開いた羽が下手縫い付けられた内羽根式。大きく開くのが外羽根式です。

最も格式が高いとされるのは、イギリス王室発祥といわれる黒の内羽根式キャップトゥ。

しかしフォーマルにもビジネスにも使うなら、黒の外羽根式プレーントゥがおすすめだと飯野さん。

そこにもポイントが。

「黒のプレーントゥと申しましても実は様々な形があります。国ごとに大きな特徴があるんだと思います」

違いは三つの国で比較してみましょう。わかりやすいのがつま先。反り返りの高さが違います。

「アメリカの靴はイギリスの靴に比べるとさらに上に反る傾向があります。これは作るときに歩きやすさを重視している設計です」

歩きやすさなど合理性を追求したアメリカ。伝統の形を守り続けるイギリス。そしてつま先のそりが一番低いのがイタリア。

「美しさを、歩く時以上にバシッと立っている時。その立ち姿の美しさという意図があるのでしょう」

つま先は低く、甲の部分で上昇する洗練されたシルエット。このラインの美しさはイタリアならでは。今日一つ目のツボは靴の命は細部に宿る。

フルオーダーメイド

東京千駄ヶ谷フルオーダーメイドで靴を誂える靴専門店「靴工房・ビスポーク」です。

HIRO YANAGIMACHI Workshop | ヒロヤナギマチ

昔ながらの伝統的な靴作り。一足一足。手作業で行います。

この工房の主柳町弘之ゆきさん。世界中から顧客が訪れる靴職人です。

シンガポールから訪ねてきたマーク・タンさんも常連客の一人。

ビスポークの靴作りで最初に行うのは採寸です。

足の特徴を正確に記録していきます。


デザインや革の種類はもちろん描き心地に至るまで徹底的に話し合います。

ークの靴作りで最初に行うのは採寸です。

足の特徴を正確に記録していきます。

デザインや革のシュルトはもちろん描き心地に至るまで徹底的に話し合います。

靴作りが始まります。まずは沓形づくり。足の立体模型です。

従来は木で作った木型が主流でしたが、最近は樹脂製が多くなっています。

次に使う革のチェック。これがなかなか大変。

血筋と呼ばれる血管の後やキズを見つけ印をつけます。

血筋や傷を避けながら一つ一つのパーツを切り出していきます。

パーツを縫い合わせてアッパーと呼ばれる靴の上部を作ります。

アッパーを靴型にかぶせその形に合わせながら底に固定します。

この作業を「つり込み」と言います。

足のカーブに沿って歪みやシワが出ないよう、専用のハンマーで叩きながら靴の形を作っていきます。

人の足に合わせた靴は左右で微妙に形が違います。

その違和感を感じさせず、美しく仕上げるのが職人の技。

ウェルトと呼ばれる細い皮をアッパー、中底とともに1針ずつ縫い合わせます。

ウェルトには靴を長持ちさせる大切な役目があります。

靴底はウェルトに縫い付けられます。

この糸を解けばアッパーを傷めず靴底を繰り返し交換できるという仕組みです。

ヒールも革を一枚一枚積み上げて作ります。

最後に革の断面や縁を鉄ごてと蝋で仕上げ全体を磨き上げて完成です。

細部まで徹底的にこだわることで、その人の足にフィットする靴。

しかしただ足に馴染むだけでは満足できないと柳町さんは言います。

「ここで作ってくるのは、足があって、靴があるという順番になります。ですからできあがった靴というのは、足にフィットすることはもちろんですけども、気持ちにフィットして自分が履きたい靴が出来ると思います」

履く人の気持ちに寄り添い数ヶ月かけて作った靴。

まるで体の一部のように感じてほしい。それが靴職人の願いです。

遊び心のある靴をカジュアルに履きこなす

カメラの前でポーズを決めるのはイタリアの伊達男パンチェッタ・ジローラモさん。

ファッション誌の表紙を連続して語る男性モデルとしてギネス記録を更新中。ファッションリーダーの一人です。

遊び心のある靴をカジュアルに履きこなすジローラモさん。洗練されたシルエットが際立つフランス製のフルブローグ。スーツをちょっと着崩して合わせます。

「ちょっとデザインが入ってるからきれいです」

休日によく履くのはスエードのローファー。緑と黄色のコントラストが楽しいオフを演出してくれるのだそう。「結構ライトグリーンで下にイエローがある。ちょっと崩した感じで」

リラックスしたい休日に最もこだわりたいのが履き心地。

「夏は履きやすい靴。ソールも薄いゴムつけて綺麗ですね。こういう靴だったら裸足で使うとすごい気持ちいい。日本人のサラリーマンとかやっぱりおすすめします」

今日2つ目の壺は革にくるまれる心地よさ

カジュアルな靴

東京神宮前にある靴の専門店「WFG」。

最近はカジュアルな靴にも力を入れています。

革靴専門店 – World Footwear Gallery Official

その代表がローファー。

靴紐がないので脱ぎ履きしやすく幅広い世代に人気です。

中でも履き心地の良さにこだわった製法があります。

「モカシン製法という靴の製法がありまして、靴を袋状に作るもので最初から足当たりがソフトで履きやすい製法です」

モカシン製法で作られたローファー。

アメリカ先住民の袋状の靴が起源と言われます。

千葉県鎌ヶ谷。靴を作る工場です。

革の裁断はコンピューター制御の機械で。

コストを抑えながら量産できます。

裁断されたローファーのパーツ。

これを縫い合わせてアッパーを作ります。

モカシン製法では靴型を下から1枚の皮で包むようにつり込みます。

つり込んだ後は一旦仮止め。

甲のパーツを当てて仮止めを外しながら縫い付けます。

一番難しいこの工程をこなせるのはこの道45年の荒井健夫さん。

柔らかい革を使っているため機械で縫うと綺麗に仕上がらないと言います。

革の縁から1.5 mm ステッチの幅4.5 mm 。目測だけで正確に縫い付けていきます。

しわもよらず早くて正確。機械を超えた職人技です。

縫い終わったアッパーはミシンで底付け。

中を覗くと中敷きがなく皮が優しく足を包みます。

いつまでも履いていたい、足に寄り添うローファーです。

相棒

犬の散歩をしているのはイラストレーターの綿谷寛さん。

お気に入りはホワイトバックス。

元々はイギリスの上流階級がスポーツ観戦に好んで履いた靴だそうです。

家に帰ったら早速お手入れ。

綿谷さんは日本のメンズファッションのイラストを牽引してきた一人。

古き良きアメリカンスタイルで描かれる作品は世界的にも高く評価されています。

ファッションアイテムの中でも靴が大好きと言う綿谷さん。

イラストに登場する靴はどれも精緻に書き込まれています。

時には自分の靴を目の前に置いて徹底的に再現することも。

靴好きとは言え新しい靴を次々に買うわけではありません。

気に入った靴を長く楽しむのが綿谷流。

「ちょっと汚れ他具合がかっこよかったりする」

愛情をこめて長く付き合う。今日最後のツボ履いて育てて自分のものに。

世界一の靴磨き

ここはどこ。

まるでバーのような空間ですが、並んでいるのは靴のクリームやブラシ。

そう靴磨きの店です。

オーナーの長谷川裕也さん。

カウンタースタイルにこだわって10年前にこの店を始めました。

その実力は折り紙つき。

2017年の靴磨き世界選手権で優勝した腕の持ち主です。

予約していた顧客が来店しました。お父さんから譲られたという思い出の靴。

「父が多分若い頃はいていた靴だと思います」

靴の状態。持ち主の要望。手入れの頻度などで方法を変え、一時間ほどで磨き上げます。

ワックスをつけた水を少しだけ付けて磨くとさらに輝きが。靴底の手入れも専用のオイルで入念に。

とても50年以上前の靴とは思えません。

これまでも、そしてこれからも思い出の靴をいつまでも大切に。

書籍

シューケア

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ガジェット愛好家です。世の中にあふれるモノゴトはすべてヒトが作り出したもの。新しいモノの背景にある人の営みを探るのが大好きです。発見した情報はまとめて発信しています。