美の壺「日本ワイン」




輝くようなルビー色、キャンデーのような甘い香りの赤ワイン。

世界最高峰のワインコンクールで金賞を受賞した、深い味わいの白ワイン。

世界が注目の日本ワイン躍進の秘密を探る!?

自然酵母にこだわった北海道のワインづくりに密着。

雄大な大地が育んだ味わいは?

必見は日本ワインならではのペアリング。定番料理から、和のスイーツ「みたらしだんご」まで!

日本ワインが切り開く新たな世界を紹介。<File461>

【出演】草刈正雄,【語り】木村多江

美の壺「日本ワイン」

放送:2018年12月7日

プロローグ

9月下旬。長野県にあるワイナリーのブドウ畑は収穫の最盛期を迎えていました。

フランス・ボルドー原産のぶどうメルロー。

このワイナリーでは15年前からメルローを使ったワインを醸造しています。

このように国内で栽培したぶどうだけを使って国内で醸造したものが日本ワイン。

海外のワインにはない独特の魅力を放つといいます。

「ヨーロッパに比較すると日本は雨が多い。その結果凝縮感はないが日本人の感じ方にあったやさしいワインになるように思います」とヴィラデストワイナリー社長の小西超さん。

日本ワインの消費量も年々増加しつつあります。

ワインジャーナリストの鹿取みゆきさんは日本ワイン躍進の影には生産者の意識の変化があるといいます。

「多様性は日本のワインの一つの魅力でと思っている。当初は欧米をモデルにして欧米のようなワインを作りたいという指向性が強かった。しかし最近の作り手はそうした呪縛から解き放たれて非常にバリエーション豊かになっている」

今日は日本ワインが切り開く新たな世界を覗いてみましょう。

革新

赤ワイン用の葡萄の中で最も生産量が多く人気魔の品種がありますマスカットベーリー A 。

明治時代アメリカとヨーロッパのブドウを交配して作られた品種です。

透き通るような色。キャンディにも似た甘い香りが特徴。

でもこれまで色も味も薄く味気ないと海外の専門家から批判されてきました。

日本最大のワインの産地山梨県勝沼。

ここにマスカットベーリー A で新たなワイン作りに挑戦している人がいます。

地元ワイナリーMGVsワイナリーのオーナー松坂浩志さんです。松坂さんが目指す赤ワイン。それはマスカットベリー A の弱点を克服したワインです。

「日本ワインは非常に薄いと言われていますので、海外で作られている様な赤ワインの濃さで味わい的でも濃厚なワインに仕上げたいというのが一番の目的です」

濃厚な日本ワイン開発のため松坂さんが着目したのがぶどうの水分。

赤ワインは皮と実を一緒に発酵させて濃い赤色と深い味わいを生み出します。

しかし雨の多い日本ではぶどうの水分が多すぎて色も味も薄まってしまうのです。

そこで松坂さんが特別に栽培したのがこの小さなぶどう。

与える水分をこれまでの半分に抑え、味わいをギュッと凝縮させることに成功しました。

松坂さんのマスカットベーリー A で作ったワイン。色もより濃い赤に。

「やはりぶどうが良くないとワインは必ず良いワインになりませんからできるだけいいぶどうをつくることが良いワインを作ることにつながると思います」

今日最初の壺は日本のぶどうの底力。

世界を驚かせた日本ワイン

世界最高峰のワインコンクール。イギリスのワイン雑誌「デキャンタ」が主催する国際ワインコンクールで金賞を受賞したワインがあります。中央葡萄酒の「グレイス甲州2017」という名前のワインです。

甲州ワイン:3銘柄が金賞 国際コンクール – 毎日新聞

古くから日本に伝わるぶどう甲州を使った白ワイン。繊細で複雑な香りと深い味わいが高く評価されました。

この白ワインのブドウは標高800 M に広がるワイナリーの畑で作られました。

ワイナリーの醸造部門の責任者三澤彩奈さん。

フランスの大学でワイン作りを学んできました。甲州には他のぶどうにはない魅力を感じると言います。

「エレガント。繊細ですけどオリジナリティという面では本当に他に負けない個性があるかなと思います」

白ワイン用のブドウ甲州の発見されたのは一説には1000年前。

以来この地方特産の果物として栽培され広く愛されてきました。ワインに使われ始めたのは明治時代。

フランスで本格的なワイン作りを学んだ山梨出身の青年達が醸造を始めたのです。

しかし甲州もまた水分が多く糖度が低いことから水っぽく薄味だと言われてきました。

そこで三沢さんが見直したのはブドウの栽培方法。

それまで甲州は棚栽培が一般的でしたがフランスで学んだ垣根栽培に切り替えたのです。

「糖度を狙ってるんですね。どうしても他の栽培だと葉っぱが重なり合ってしまって光合成効率が落ちて、葉っぱがやっぱりこうやって光合成をして糖度を上げていくので」

垣根栽培にすることによってもう一つメリットが生まれました。

一本の木に実る房の量がこれまでの1/20にまで減り、栄養がより行き渡るようになったのです。

こうした改良の結果、糖度20°を超える甘さを実現しました。

ぶどうへの思いが世界を驚かせる日本ワインを作り出したのです。

「愛情が大事だと思っていて、その畑の管理であったりぶどうへの愛情であったり、その日ぶどうを作るためにはそのぶどうへのたゆまぬ愛情みたいなものが必要だと思います」

産者一人ひとりの思いと自由な発想が新たな可能性を広げています。

都市型ワイナリー

東京江東区。住宅街の真ん中にひっそりと佇むイタリアンレストラン「清澄白河フジマル醸造所」。

3年前のオープン以来いつも予約でいっぱいです。

その理由は店自慢のフレッシュなワイン。

客を魅了する美味しさの秘密は店の奥。

階段を降りると。地下がワイナリーになっているんです。

このワイナリーでは全国の農家から買い付けた国産ぶどうでワインを醸造しています。

同じ品種のぶどうでも地域によって味も色もバラバラ。

味を整え品質を一定にすることもできますが、そうした調整は行わないのが流儀だそうです。

「わざと濃くしたり薄くしたりとかするのではなくて、その土地でその年にできたぶどうの個性さえ出せればどんなワインでもいいと思っています」社長の藤丸智史さん。

今日2つ目の壺は日本の大地を味わう。

北海道のワインづくり

新しいワイナリーが次々と生まれ、日本有数のワインの産地となっている北海道。

野趣あふれるワインを作り、注目を浴びる人がいます。ココ・ファーム・ワイナリー

アメリカ人の醸造家ブルース・ガットラヴさんです。

カリフォルニアワインの一大産地ナパでワインのコンサルタントをしていたブルースさん。

偶然口にした北海道のぶどうに心を奪われたと言います。

「北海道の葡萄は特徴があって、プラスとマイナスがあるけれど肘用に好む香りの葡萄だったのです」

そこで8年前北海道に居住。道内各地で採れるぶどうを使ってワイン作りを始めました。

この日は北海道の西部余市で収穫された赤ワイン用のぶどうの仕込み。

地元のワイン作りの仲間10人で作業を進めます。

ブルースさん達はある信念を持っています。

それは極力機械に頼らないこと。枝から実を取り外す作業も手作業で行います。

「手でやると実が潰れないから優しい味のワインになる」

手作業で枝を取り除くことで実も種も傷つきにくく苦味や雑味を減らせるのだそうです。

ぶどうは発酵させるため専用のタンクへ。多くのワイナリーでは培養した酵母菌を使って発酵を促しますが、ブルースさんはあえて何も入れません。

ぶどうの皮には畑に由来する酵母菌が付着しているのでその力を使って自然に発酵させるのだそうです。

「この畑の特徴がある味、香りのあるワインが作りたい。この畑に住み着いた酵母菌で発行させるとより強く美味しいワインにできる」

自然の酵母菌でじっくりと発酵させるブルースさんのワイン。

今度は白ワインのタンクに行ってきたブルースさん。何をしているのでしょうか。

聞いていたのはぶどうが発酵する音。数ヶ月かけてゆっくり発酵していく白ワイン。

子供の成長を見守るように毎日確認しているのです。

北海道の大地が育んだ豊かな味わいが他のワインにはない魅力を生み出しています。

日本ワインに合うグルメ

東京築地のレストラン。

この店では全国各地のワイナリーで作られた日本ワインを200種類も取り揃えています。

さて日本ワインにぴったりの料理は。

店のおすすめはもちろん和食。

例えば栃木県産の赤ワインにはきんぴらを使った和風のペンネ。和食と日本ワインの組み合わせ。

「日本のワインの優しいところに合わせるには和食がとても会っている」(岩川直巳料理長)今日最後のツボは日本ワインならではのペアリング。

日本を代表するソムリエ大越基裕さんです。日本ワインは和食だけでなく海外の料理にも合うといいます。

「海外のものに比べると風味と味わいが少し穏やか。世界的には料理はライトでフレッシュでオーガニックなものを使う傾向が強くなってきているところもあってお料理全体の思考がここ10年で大きく変わってきてますそれたところの中に日本のワインの特性てのがどんどんどんどんこう料理と合わせやすくなってきてるけど」

大越さんおすすめのペアリングを教えてもらいましょう。

色とりどりの野菜が鮮やかなサラダ。特徴は緑茶を発酵させたペースト。

このサラダに何を合わせるかと言うとオレンジ色が鮮やかな巨峰のワイン。巨峰ならではの甘い香りがぴったりなんだとか。

「 福岡の八女から取り寄せた八女茶を発酵させたサラダです。きれいに遊べる五味が揃ってバランスがとれた香りがとっても豊富なサラダで香りを一緒に香りのハーモニーを楽しんでいただけるように」

国産のハムを使ったベトナム料理。揚げたハムにココナッツミルクと梨のソース軽い食感とフルーティーな味わいが特徴です。

このお料理に合わせるのはフィールドブレンドと呼ばれる白ワイン。

異なる種類のブドウをひとつの畑で育て一緒に発酵させたユニークなワインです。

「ほろにがい酸味のワインの味わいが揚げ物にあいます。甘みのある皿なので少し酸を足すとほろ苦い酸が楽しめます」

最後にとっておきマスカットベリー A の赤ワインに合うのは。タレがたっぷりとかかった焼き鳥。ワインの甘い香りがワインの味を引き締めてくれるそうです。

驚きはみたらし団子。日本ワインは食の楽しみをグッと広げてくれます。

取材先など

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ガジェット愛好家です。世の中にあふれるモノゴトはすべてヒトが作り出したもの。新しいモノの背景にある人の営みを探るのが大好きです。発見した情報はまとめて発信しています。