「花咲くいろは」などの背景・東地和生 美術監督作品展が開催

東地和生氏の美術監督作品展「Earth Colors」が開催中です。

「AngelBeats!」「花咲くいろは」「TARI TARI」「劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME」「凪のあすから」「Charlotte」で使用された背景美術に触れることができます。

株式会社ピーエーワークス 公式サイト – P.A.WORKS Co.,Ltd. Web Site | アニメーション・映像製作より

東地和生さんは、大学で油画を専攻後、アニメーションの背景会社に入社「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」や「パプリカ」などの美術監督補佐を経て、フリーランスの美術監督として活躍してきました。背景美術を担当した作品の一つが、人々が海と地上に分かれて暮らす世界で、主人公の少年と少女の恋を描いた「凪のあすから」です。

「高校の美術教師に「おまえは絵を描く人間だ」と言われたことがきっかけでデッサンを始めて、その流れで漠然と「絵を描き続けた方がいいのかな」と考えて、美大で油絵を学んでいました。でも、卒業と同時に進路に迷った時、そもそも自分が1番影響を受けたもの、感動したものってなんだろうかと。決して世界の名画ではないなと。そこで冷静に考えてみると、中学生の時に見た『王立宇宙軍 オネアミスの翼』という劇場アニメの世界観にものすごく強烈な衝撃を受けていたことに気づいて。じゃあアニメやりたいんじゃないの? というところに行き着いたんです」P.A.WORKSの背景はなぜ美しいのか? アニメ美術監督 東地和生インタビュー – KAI-YOU.net

【影をきっちり描くということは、光をきっちり描くのと同義】

今回展示されるのは、東地和生が美術監督を手掛けた「AngelBeats!」「花咲くいろは」「TARI TARI」「劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME」「凪のあすから」「Charlotte」の6作品。厳選された背景美術と新規描き下ろし背景美術2点です。東地和生さんが特にこだわり続ける光と影の表現力が感じられる作品ばかりです。

美術的なことだけでなく精神的なことでもあるのですが、すべては光と影で構成されているというのが根本にあります。光を描きたいんだったら影を描かないと光を表現できない、影を描きたいんだったら光を描かないと影を表現できない。そういった当たり前の法則で背景を表現するのが自分の仕事かなと。

3331 Arts Chiyoda:アーツ千代田 3331

展覧会

期間:2017年3月17日(金)~3月28日(火)

場所:東京都千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田

http://www.pa-works.jp/east-earth.htmlより

一方、アニメーションで描かれた風景や場所が観客の共感を呼び起こし、舞台探訪という現象を通じて新しい楽しみ方を生み出しています。現地を訪れた人々が地域の活性化を促進しています。アニメやキャラクター(コンテンツ)をきっかけに、観客や制作者、地域住民や学者が地域(リアルワールド)の再生に向けた議論を深める(ミーティング)のが、リアルワールド・コンテンツ・ミーティングと呼ばれる流れです。

@EarthColors_tenより

現実の世界をもとにアニメの世界観に合った良質な背景画を作り出す美術監督の仕事は、声優や演出などのスタッフと比較すると地味な存在です。しかし、現実でもあり空想でもある背景美術の考え方や、違和感なく描かれた背景画を支える高い技術やものの見方を知ることで、現実世界は違う見え方を始めます。そこに気がつくとアニメーション作品の世界がもう一歩深まるように思います。


東地和生さん初の美術監督集です。表紙には今回のために東地和生さんが描き下ろした新規美術が使用されています。
本書には 「AngelBeats!」「花咲くいろは」「TARI TARI」「劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME」「凪のあすから」 「Charlotte」の中から厳選された背景美術が掲載されています。