日曜美術館「外国人を魅了する 日本の美術館 」

今回は1時間の拡大版!年々増える外国人観光客。その中でブームになっているのが 日本の美術館 。日本人が気づかないような魅力をフランス人美術史家の視点からひもとく。

【司会】小野正嗣,高橋美鈴,【ゲスト】美術史家…ソフィー・リチャード,国文学研究資料館長…ロバート キャンベル,パンツェッタ・ジローラモ

放送日 2018年6月17日

集英社インターナショナル
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日本美術をこよなく愛するフランス人の美術史家、ソフィー・リチャードが選んだ 「本当に訪ねる価値のある」美術館のガイドブック。
井上靖や川端康成を愛読し、黒澤映画が好きだった美術史家の著者は、 迷い込んだ代官山の旧朝倉家住宅で、日本の美術館のすばらしさに目覚める。
以来、10年かけて日本各地の美術館を訪ね歩き、綿密に取材を重ね、上梓。
専門知識に裏打ちされたわかりやすい解説、旅行者のための情報も盛り込まれた 秀逸なガイドとして英語圏で高く評価された。
日本版には、各美術館へのコメントや、日本の読者へのメッセージなどを追加。
著者は日本美術の魅力を欧米に伝える活動が評価され、2015年、文化庁長官表彰文化発信部門を受賞している。

美術史家・ソフィー・リチャードさんは13年前に来日。以来日本の美術館に魅せられ全国を回り、ガイドを本にまとめた。「見学に何日もかかる欧米の大美術館と違い、日本の美術館は散策で訪れるにはサイズが手ごろ、建物や庭園にも味があり癒される。また地域の美術館にはその土地の風土や文化が詰まっている」と言う。彼女と日本各地の美術館に同行し日本絵画、茶の湯の陶器、現代アートなどさまざまなジャンルの美術館を味わう。

日曜美術館「外国人を魅了する日本の美術館」

年々増えている外国人観光客。

その中で今熱い視線を集めているのが日本の美術館です。

伝統的な日本がや日本庭園を持つ美術館が日本文化を味わう場として注目されているのです。

原美術館

原美術館は1938年に建てられました。

当時としては最先端の鉄筋コンクリートを使ったモダンなデザイン。

昭和54年には東京ではじめての現代美術館として開館しました。

原美術館は、東京ガス会長、日本航空会長、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)総裁などを歴任した実業家・原邦造の邸宅であった。原邦造の養父の原六郎も実業家・美術品収集家として知られている。

原美術館が活用している邸宅は、原邦造の私邸として渡辺仁が設計し、昭和13年(1938年)竣工したものである。渡辺は上野の東京国立博物館本館や銀座の和光本館(旧服部時計店)の設計で知られる、当時の代表的な建築家である。

美術館の特徴は邸宅としての作りをできるだけ生かしてあるところです。

最初の展示室です。

部屋は住居の頃のままです。

原家の暮らしが想像できます。

リビングを見下ろすバルコニーみたいな小さな部屋があって、どんなふうに使っていたのか気になります。

この家にはサプライズがいくつかあります。

勝手口の階段の下のスペースにあるドアを開けると。

鏡張りの部屋があります。

現代アーティストの森村泰冒さんの作品。

飾られているのは森村さんを模した人形です。

この場所はもとはトイレ。

トイレと一体化した森村さんが鏡の中で万華鏡のように増幅する作品です。

トイレを作品展示の空間として利用するのは他の美術館では考えられませんが、原美術館の精神が感じられます。

美術館がとてもクリエィティブで、アーチストと密接な関係を築いて館内で自由に制作してもらっているのです。

二階にあるこの部屋は照明がありません。

扉の中は狭い暗闇の世界。

その中にただ数字を表す光だけが浮かび上がる展示です。

現代アーチストの宮島達男さんは、「Art in You(芸術はあなたの中にある)」という考え方を基盤に、発光ダイオード(LED)を使用したデジタルカウンター等、LEDの作品を特徴とする美術家です。

何が始まるのか?何が終わるのか?

時間を表すような数字の点滅を見ていると、頭の中に様々な想像が広がります。

次の部屋のドアを開けると工房のような空間がありました。

この部屋は現代アーティスト奈良美智さんのアトリエを再現したものです。

2004年に奈良さんの個展が開かれたときに実際にここで制作されたものです。

時々本人がやってきて、新たに作品を足したり配置を変えたりしながら今も変化し続ける作品です。

つづいて、この十年で外国人観光客の姿が増えている美術館をご紹介します。

島根県安来市。

この山間のまちに多くの外国人観光客が押し寄せています。

めざすのは足立美術館です。

足立美術館

地元出身の実業家・足立全康(あだちぜんこう、1899年 – 1990年)が1970年(昭和45年)、71歳のときに開館したものである。質量ともに日本一として知られる大観の作品は総数130点にのぼり、足立コレクションの柱となっている。大観のほかにも、竹内栖鳳、橋本関雪、川合玉堂、上村松園ら近代日本画壇の巨匠たちの作品のほか、北大路魯山人、河井寛次郎の陶芸、林義雄、鈴木寿雄らの童画、平櫛田中の木彫なども収蔵している。

ここには近代日本絵画の巨匠、横山大観の作品が120点もあります。

収蔵点数では日本一のコレクションを誇っています。

体感の作品の中でも傑作と言われる絢爛豪華な「紅葉」

群青の流水に真紅の紅葉を配し、日本の秋を再現しています。

外国人のお目当ては大観の作品だけではありません。

五万坪に及ぶ広大な日本庭園です。

庭を彩るのはおよそ800本のアカマツと100本のクロマツ。

そしてツヅジや楓などです。

この美術館では庭園のみせ方にも工夫があります。

ガラス越しに見える風景はまるで一枚の絵のよう。

四季折々の姿を楽しむことができます。

こちらは床の間の壁をくり抜いた作り。

滝が流れ落ちる姿を掛け軸のように眺める演出です。

こうした日本文化を味わう仕掛けが外国人に受けているのです。

こうした取り組みが評価され、フランスのミシュランガイドでは二つ星に選ばれています。

さらにアメリカの日本庭園専門誌『Sukiya Living/The Journal of Japanese Gardening(ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング)』では日本庭園として15年連続で一位となりました。

今日本で最も外国人に愛されている美術館の一つです。

これだけの評価を維持するにはたゆまぬ努力が欠かせません。

朝六時。最初に姿を表すのが七人の庭師たちです。

根津美術館

生け垣に囲まれた根津美術館。

2009年に建築家隈研吾が設計し、現代的な美術館にリニューアルオープンしました。

日本の伝統的な寺院建築から着想した大きな瓦屋根。

美術館に入るまでの長い廊下の左右にも、日本建築によく使われる竹を使っています。

こうした仕掛けが来館酒を都会の喧騒から静かな空間へといざないます。

館内で目にとまるのがエントランスホールに並んだ仏教美術です。

ヨーロッパの影響を大きく受けたガンダーラの仏の姿。

そして中国の仏像が時代順に並びます。

こうすることで日本に伝わるまでの仏教美術の流れを知ることができるのです。

広いホールこそがこの美術館の魅力のひとつなのです。

訪れた人がゆったりとした空間を体感できるのはもちろんですが、同時に美術品同士の間にも余裕があります。これは英語にはない日本語の「間」という考え方から来ていると思います。つまりそれぞれの美術品を取り囲む空間、さらには建物の中の空間が重要なのです。ここではひとつひとつの作品が息をし、存在するための空間を与えられているのです。

メインの展示スペースを飾る作品。

根津美術館所蔵の国宝「燕子花図屏風」です。

金地の屏風に咲き誇る燕子花。

描いたのは17世紀後半から18世紀にかけて活躍した琳派の絵師尾形光琳です。

巧みにデザイン化された燕子花は群青と緑青の二色のみで描かれています。

琳派を代表する傑作です。

実はこの作品。常時展示をしているわけではありません。

毎年4月から5月にかけて一ヶ月だけ見られるのです。

四季と共に暮す日本人ならではの季節の展示です。

「日本の美術館は季節ごとに展示を変えるので、いつも来るたびに新しい展覧会が始まっています。これこそ日本の美術館特有の楽しみ方なんです」

美術館の外に一歩出ると、ここが都心だということを忘れるほど広大な日本庭園が広がっています。

石段の傍らには12世紀に作られた石仏が。

園内には茶室もあり、茶の湯という日本文化に触れることもできます。

池には燕子花が咲いていました。

美術館での鑑賞を締めくくる一番の場所です。

「今私達は燕子花が見える池のそばにいますが、絵と比較して実物の花をここで見ることができるので、降臨がこの端をどのように作品に描いたのかを想像することができるのです」

手銭記念館

出雲大社と関係が深い美術館が島根県出雲市の手銭記念館です。

江戸時代に作られた大きな蔵。

出雲大社の有力な氏子であり、300年以上続く地元の名家・手銭家が所有してきたものです。

その手銭家のコレクションを所蔵するため25年前にこの美術館が作られたのです。

この美術館では江戸時代に実際に使われていた茶の湯の銘品を味わうことができます。

地元松江藩の御用窯であった楽山焼。

初代長岡住右衛門真政が手がけた茶碗です。

松江で活躍した初代小島漆壺斎(しっこさい)の棗(なつめ)は抹茶を入れる容器です。

鈴虫やカマキリなど虫たちの生き生きとした姿が楽しい銘品です。

茶室で使う折敷膳。

黒漆で膳を塗ったあとに蒔絵の技法で秋草を描いています。

この図柄にはある仕掛けがありました。

それは光の当たり方次第で図柄が見えたり見えなかったりすること。

控えめで奥ゆかしいところが、日本の美の特徴だといいます。

江戸時代から手銭家は出雲大社を参拝する藩主や家老たちを泊める旅籠の役目を果たしてきました。

そのためもてなしの役目を果たす美術品を集めるようになったのです。

美術館にはもう一つ酒蔵を改装した展示室があります。

酒蔵を改装した空間にも味わいがあります。

木でできた天井は見ごたえがあります。美を兼ね備えた実用建築なのですね。

展示品から地方の暮らしぶりがわかるのも魅力的です。

赤い海老の図柄の茶碗。

歳を取ると人間は腰が曲がるということから、海老は長寿の象徴であり縁起が良い。外国人にとって興味を惹かれる題材です。

この日、第11代当主の手銭白三郎さんがもてなしてくれました。

江戸時代に描かれた36人の和歌の名人。

三十六歌仙画帳です。

ヴァンジ彫刻庭園美術館 – クレマチスの丘

富士山の麓に位置する静岡県長泉町。

5月の中旬。名前の由来となったクレマチスの花が咲き誇っていました。

ここは自然の中でアートを満喫することを目的とした複合文化施設。

3つの美術館と文学館、レストランがあります。

第二次世界大戦後に活躍したフランス人画家・ベルナール・ビュフェの作品を集めた美術館。

ベルナール・ビュフェ美術館

伊豆フォトミュージアムは写真専門の美術館です。

ヴァンジ彫刻庭園美術館 – クレマチスの丘
そして現代イタリアを代表する 彫刻家・ジュリアーノヴァンジの作品を集めた ヴァンジ彫刻庭園美術館です。

屋外に置かれた作品も多く、自然の中で彫刻と庭園を楽しむことができます。