イッピン 「極上の毛先で 心地よく美しく~広島 熊野筆~」

熊野筆がついに登場!広島県・熊野町は江戸時代から続く“筆の町”。職人たちは一本一本、毛を選び抜いて、最高の筆を作っている。極上の肌触りをもたらすメイクブラシ、書き心地抜群の書道筆。そして、あのアニメ界の巨匠とともに開発に取り組んだアニメ専用筆も紹介。妥協を許さない職人の意地と根気が生みだす熊野筆の奥深い世界と秘められたワザを、モデルで女優としても活躍する加藤夏希さんがリサーチする。 【リポーター】加藤夏希,【語り】平野義和

放送:2018年11月6日

イッピン 「極上の毛先で 心地よく美しく~広島 熊野筆~」

東京・銀座。ワンランク上のおしゃれを楽しむ女性たちが集まるお店があります「熊野筆セレクトショップ」。広島生まれの品々が並ぶこのお店で人気なのがメイクブラシ。広島県熊野町で作られた熊野の筆です。プロのメイクアップアーティストも愛用メイクブラシのセット。こんな可愛い形のものも。中でも大人気のブラシがあります。やさしい肌触りのフェイスブラシ。六千円以上するにもかかわらず月に二千本以上売れています。

使う人の心を掴んで離さない極上の肌触り。熊野の職人たちが一本一本手づくりで仕上げるイッピンです。

熊野筆のふるさと

周囲を山々に囲まれた広島県熊野町。人口2万5千。そのおよそ一割が筆づくりに携わる筆の街です。熊野町で筆づくりが始まったのは江戸時代末期。農閑期の手仕事として書道筆が作られました。明治以降近代的な学校制度が整うに連れて書道筆の需要が増え、街を支える産業に発展。昭和に入ると絵画筆やメイクブラシも盛んに作られるようになり、今に至るまで日本一の筆の生産量を持っています。

出迎えてくれたのは専務の土屋武美さんです。この会社では600種類ものメイクブラシを作っています。メイクブラシは用途によって作り分けられます。こちらは口紅を美しく仕上げられるリップブラシ。アイシャドゥブラシはまぶたに陰影を加え、顔に立体感を表します。そして肌艶をコントロールするためにパウダーをつけるフェイスブラシ。どれも美しく有りたい女性たちの必須アイテムです。

このフェイスブラシに使用されているのは最高級のリスとヤギの毛。熊野筆の真髄はこの毛にあるといいますが、いったい極上の肌触りはどのように生み出されるんでしょうか。

極上の肌触りの秘密を探れ

早速工房へ。最も重要な工程が最初にあります。すれ毛とり。すれ毛とは曲がったり折れたりした毛。こうした質の悪い毛を取り除いて真っ直ぐな質の良い毛だけを残していきます。道具は専用の網です。わずか0.1ミリ四方の細かな網目に手をくぐらせます。すると何本か飛び出しました。曲がった毛や太すぎる毛は網目に引っかかるんです。網を毛にそっとこすりつけるようにスライドさせるのがコツです。これを何回も繰り返していい毛だけを残します。すれ毛とりはこれで終わったわけではありません。今度は「半差し」という小刀のようなものをつかい、手で取りきれなかった悪い毛を抜き取るのです。全神経を指先に集中させます。わずかでも曲がった毛を指で感じたら、「半差し」と指で挟んで抜き取ります。同時ににまっすぐな毛を一緒につかまないよう注意しなければなりません。 極上の肌触りを生み出すため一本一本毛を選び抜く根気と集中力のいる技がありました。選び抜かれた毛はどうしたらこんなに美しいラインを描くよう束ねられるのでしょうか。ここにも技が隠されています。筆先となる部分を上にしてコマと呼ばれる筒の中に入れます。小刻みに震わすと。ほらこの通り丸い形になります。「切ったりはしないんですか」「切らないでいろんな形を作るんですけど」秘密はコマにあります。この会社ではコマをパソコンで設計するシステムを9年前に導入しました。コマの中を見ると、なんと筆先と同じ形になっています。コマに毛の根元を入れ、振動加えて整えるとコマの中の形がそのまま現れれるという仕組みです。「すごい綺麗に。切らないからこそすごく手間をかけなければの肌触り」毛先を切ることなく絶妙な形が作り出されていました。では毛先を切らないとどうして極上の肌触りになるのでしょうか。毛先を切らない熊野筆と毛先を切ったもの見た目では違いが分かりにくいですよね。そこでこの二つの肌触りがどう違うのか大学に実験を依頼しました。ブラシの毛先が肌に触れたときに生じる刺激を電圧として測定しました。結果は。人が最も感じやすい周波数帯で毛先をカットした方は大きな波を計測。強い刺激を受けたのです。一方、毛先を切らない熊野筆は小さな波でした。「熊野筆の方が全体的に神童が押さえられていて、より粗く感じない。サラッと感じる心地よい感覚になってます」まるでビロードのような滑らかで優しいタッチのフェイスブラシ。その極上の肌触りは一度使うと病みつきになる逸品です。


進化する熊野のメイクブラシ

熊野メイクブラシは進化を遂げています。毛を束ねるコマに工夫を凝らしたんです。朱色に染めた毛を入れると、なんと可愛らしい薔薇の形に。こまの中の形状を変えることで様々な形のメイクブラシが誕生しています。「新たな製品を開発していると聞いて会議にお邪魔しました。メイクアップアーチストの意見を取り入れてより使いやすいブラシの形を模索しています。一般的なアイシャドウブラシはこちらのタイプ。平たい形をしています。居間開発中のものは立体的で真ん中がへこんでいます。まぶたの凹凸にフィットさせたんです。「今までに作ったことのない形なんです」使い心地の良さを追求した熊野の筆は形を変え続けていきます。

美文字が書ける熊野筆の秘密

東京根津にあるおしゃれなカフェ。「真ん中あたりを持ってて軽く鉛筆みたいに寝かしつけて書かないで立てて・・・」こんな所で書道教室ですか。主催者は書道家の鴨山友絵さん。実は書道の楽しさをもっと知ってほしいと気軽に筆と墨を体験できるイベントを定期的に行っているんです。参加した人たちが使っているのは熊野の書道筆。その書き味を堪能しました。「学校の時とは何か違う感じでなんか新鮮な感じで楽しくかけました」書道を楽しく思えたその理由はどうやら熊野筆にあるようです。書家の荒谷大丘さん。熊野筆の特徴を伺いました。「留めとか、払いとかがしっかり綺麗に書ける機能を持っています。使い心地はいいです」留めや払いも思いのまま。プロが絶賛する熊野の書道筆。抜群の書き味を持つ筆はどうやって作られているんでしょうか。訪ねたのは明治40年創業の老舗の工房。書道筆作りの名人実森康宏さん。


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