「きらめくガラスに 命を吹き込む~北海道 小樽のガラス ~」イッピン

北海道小樽市は、日本有数の手作りガラスの生産地。小樽のガラス製しょう油さしは、美しく、しかも“液だれしにくい”と大人気だ。実はこれ、高度なワザを持つ職人たちの一糸乱れぬチームワークによって作り出されたもの。さらに、「宙吹き」と呼ばれる技法によってどんな形も創造する熟練のワザ、魔法使いのように多彩な色を操るワザなど、一つ一つの器を、命を吹き込むようにして作っていく 小樽のガラス の不思議と美に、豊田エリーが迫る。【リポーター】豊田エリー,【語り】平野義和

放送:2022年8月26日、2018年11月29日

イッピン これまでのエピソード | 風流

イッピン「きらめくガラスに 命を吹き込む~北海道 小樽のガラス~」

エメラルドグリーンのグラス
輪切りのレモンを浮かべるだけでなんとも涼しげ
グラスに閉じ込められた泡が爽やかさを一層引き立てます
いたします北海道小樽で作られたガラス製品です
こちらは冬季いえこれも小樽ガラス高度な技を駆使して銅器のような味わいを出しています
どこか懐かしく温かみを感じさせる和の風情
二つのグラスはコロナの中人気を集めました
小樽といえば日本有数の観光地
人々がお土産に買い求めたのがガラス製品です
しかし、2020年その風景は一変
新型コロナの感染拡大で観光客は激減し
ガラス製品の売り上げも大きく落ち込みました

「まるでゴーストタウンのようになりまして、これは本当にもう大丈夫なんだろうか。不安のほうが大きくなってきました」

ところがこのピンチの中で
職人たちは懸命に可能性を探っていました

「別のアプローチの方法というかオンラインとかを使った見せ方っていう方に挑戦してみました」

コロナの三年間
小樽のガラス職人が切り開いた新たな活路の物語です

北海道小樽市
ここが泡を閉じ込めたグラスの工場です
六代目になる社長の出口健太さん
あのグラスは意外なものでできているといいます

「自動車の窓ガラスになります。廃棄された自動車の窓ガラスを使って作られたグラスなんですね。この自動車の窓ガラスの色をそのまま活かしています」

大量に廃棄される自動車
リサイクルされる部品もある中、窓ガラスはうまく再利用することが難しいとされてきました
成功すれば注目を集めるに違いない
そう考えて挑戦を始めたのは2017年のこと
しかし従来のガラス製品の生産に追われてなかなか開発ははかどりません

棒状を挙げて取り組むだけの余裕もありませんでしたが、ガラス製品自体がこの観光地小樽の観光地で人気で
僕らもあの普段製造がもう本当に忙しくさせてもらってました。普段の仕事が忙しい分、新しい自動車の窓ガラスの再利用するという活動取組自体がなかなか進まなかった部分はあります」

挑戦を始めて三年後事態は一変しました
新型コロナウイルスの感染拡大です
2020年4月
最初の緊急事態宣言によって工場は生産ストップに追い込まれました
この先どうなるか
今こそ廃車の窓ガラスの製品化に取り組むべきだ
しかし職人達はついてきてくれるだろうか
工場長の日本遺産に相談を持ちかけるとなくなっちゃって
もう終わりになるっていうのがとても我慢できる
ガラス食品としてまだこう日が心の火は止めてないぞ
っていうこともあのアピールしたかった
そして全社を挙げて廃車の窓ガラスとの格闘が始まったのです

それまでの取り組みで大きな課題が二つあることはわかっていました
一つは廃車の窓ガラスが工芸用のガラスに比べ粘りが強いこと
固まるスピードが圧倒的に早いのです
もう一つは砂埃や油膜などを取り除くことが難しく、それが大量の泡になってしまうことでした
会社の窓ガラスだけではとても製品にはなりません
日本離散は原料の半分を工芸用のガラスにすることを提案します
しかし出口さんの答えは

「できれば百パセントを使ってグラスにしたいとは思ってるんですよね。半分半分だとリサイクルって再利用っていう部分で、自動車ガラスなのか普通の工業ガラスなのか分からなくなっちゃう」

技術を磨いて何とかなる割合と検討を重ね
工芸用のガラスの割合を三割にしました
残された課題は泡の数を減らすことでした
泡が入ったグラスは割れやすくなってしまいます
少しでも泡を少なくしなければなりません
鍵となるのは
ガラスを溶かす温度捕鯨用ガラスの融解
温度はおよそ千四百五十度でも
この温度では歯医者の窓ガラスは溶け切らず
大量の泡が出てしまいます
もっと温度を上げる必要がありました
しかしそれにも限界があげすぎると
窯の中の坩堝が壊れてしまうのです
まず坩堝の耐火材が溶けだしガラスに混じってしまいます
更に坩堝自体が高温に耐えきれず割れてしまうのです
ウツボの限界を超えないぎりぎりの温度と
業界温度を見つけるのが大変でした
十度から二十度あげなきゃいけないのではないかとか
下げが逆に下げなきゃいけないのではないかとか
この十度二十度の差がえーガラスを決める
決定的な温度差になる時があります
ガラスの原料は二十時間かけて解かしていきます
この工場にある竃は十着時間をずらしながら溶かしています
専門の職人が担当します
野沢さんはこの道十八年のベテラン
原料を
坩堝に入れていきます
難しいのはどれだけの量をどのタイミングでいれるか
大量に入れると温度が急速に下がります
またその日の気温や気圧も影響するので
タイミングを測らなければなりませんけ指名するって
やっぱ温度ちゃん
その日に使う量によってもまた違ってくるから
これの量の配分が千四百度を超える灼熱と向き合うこと
一年次に最適の融解温度を探り当てました
およそ八割もの泡を減らすことができたのです
その間吹き職人たちも困難な挑戦を続けていました
ガラスが固まる前に素早く形にするその技術を
なかなか習得できなかったのです
工芸用ガラスの場合と比べ
どれだけのスピードが要求されるのか
およそ一点四倍の速さで普通の漕げよ
ガラスでは入れては確かに入れては確かめて
何回かに分けて空気を入れていくんですが
えー自動車ガラスについてはすぐに硬くなってしまうので
その今までじゃあ四回
ぐらいに分けている
入れていた空気をもう一回か二回かで
すぐに決めてしまわなければいけない
という時間との勝負になります
一息で一気に空気を入れながらどこも同じ厚さに仕上げる
それには竿を回しながら吹き入れる息の量を一定にすること
性均等な丸い形ができます
しかしさをバス速さや吹き込む息の量が乱れると
きれいな丸になりません厚さも不揃いになります
そうならないために編み出した方法がこちら
右手で竿を回し終わると即座に左手が引き継ぎます
こうしてスピドを一定に保つのです
同時に同じ量の行を送り続けることが大切
これにはベテランの職人たちもしばしば目をあげました
開店と空気を入れる合わなくて均一さにかけるのが多々あって
それを調整するのがその日にち鍛錬形ができたら
グラスを割ってさを確認します
うまくできたと思っても失敗だったことが分かる
そんな日にちの繰り返しでした
そして一年後の二千二十一年夏
ついに歯医者の窓ガラスを再利用したグラスが完成しました
泡はごくわずかになりました
そのわずかの泡も
淡いグリーンにきらきらと輝いて清涼感を演出します
厚みが均一になったのはもちろん薄く仕上げることに成功しました
そのうさ一ミリ飲み口が薄いと
口当たりが良くなる飲み物を一層おいしく感じると言います
しかしこれは一向に収まらず観光客頼みはできません
それが予想もしなかったところで反響を呼びます
ネットで話題になったのです
環境問題に関心のある人々のメリット止まり注文が来るように
これまで取引のなかった企業からも注文が来るようになりました
コロナが続く中
磨き上げた技術が向上の可能性を広げてくれたのです
最初は本当にマトンどこでしたし
会社の存続も危ぶまれるなとは思っていたんですが
その中で生まれた時間が
職人の技術を上げてくれたっていう部分はあるかなと思います
これを頑張り続けて完成させることができる本当に良かったな
苦しい時間があったから
こそグラス生まれたと思って
います

和食や緑茶がよく合いそうなこの器も
小樽で生まれたガラス製品です
この陶器のような器が人気を集めているといいます
ボタルガラスの中でも異色の和のテイストです
作られたのは
こちらの公募
ガラス
作家木村直樹さん
様々な技法を多くして斬新なガラス製品を生み出してきました
二千十七年この陶器のようなガラスの器を世に問いました
そのきっかけを作ってくれたものがあると言います
これが小樽訳ですね
小樽市民を中心に非常に愛されたローカルな焼き物で
百年以上続いたという歴史のある焼き物になりますね
かつて小樽で作られていた焼き物小樽焼青と緑の釉薬が特徴で
生活雑記として親しまれていました
じゃしかし二千七年最後の窯が閉じられ作られていません
隠さず言うと田舎くさいなから入ったんですけど
このぼてっとした感じ優しい雰囲気を持っているんですね
まぼてっとしてるのは
悪口というよりも魅力の一つだとやっぱ思います
うんこれまで木村さんが手がけてきたのは
いかにも小樽硝子らしいスタイリッシュなものばかりでも
そこから生みだしたいと考えていました
小樽焼の素朴で柔らかい味わいをガラスで表現したい
この細かな色の村を出すにはどうしたらいいのか
過去の作品の中に手がかりになるものがありました
色ガラスでピンクの花びらを表現したグラス
花びらの憂さを出すためを付けている箇所があります
この時使ったのが透明な粒ガラスです
これを今回も使えばを付けて村が表現できるのではないか
まず白い色ガラスをつけ
熱したガラス玉にこの透明な粒ガラスをまぶしていきます
その上から小樽焼独特の色合いを施します
ブルーの色ガラスを大きく膨らませて薄く伸ばします
青いガラスを粉々に砕いてチップにしますね
したがらすぎランダムにつけていきます
これで色の濃い部分と薄い部分ができるはずです
透明な粒ガラスも細かな色の村を出してくれると期待しました
しかし出来上がった試作品は
木村さんが思い描いていたものとはかけ離れていました
透明な粒ガラスも効果を発揮していません
和の登記を目指した施策だったんですが
結果があの全然きれいじゃない
ただそのヒントは得られたかなと思います
透明な粒ガラスをいつ付けるかそれが成功のカギを握っている
そう考えた木村さん
まず下地の白いガラスを何度も重ねて
つける部分をなくすことにしました
次に小樽焼の特徴的な色合いを出します
チップガラスをやめてより細かい粉ガラスを使うことに
最初にターコイズブルーそしてエメラルド
グリーンを重ねます

グラスの底は黒にします
鍵となる透明な粒ガラスは最後にこれで細かな村を狙います
しかしここで細心の注意が必要です
作業台の上に粒ガラスを巻く時できるだけ均等に巻いていくのです
指先で粒を動かしながら慎重に計算せず
無造作に巻いてしまうと結果はこの通り
大きく透けるところができてしまい
求め細かい村になってくれません
さらにもうひと工夫
青から黒い色が変わるところを動かす必要があります
透明な粒ガラスにその役割を果たしてもらうため
注意深くつけていきます
ブルと黒の境目をいい塩梅でぼかしたかったんですね
でぼかすことで全部が統一感
きっちり収まってるみたいな風にしたかったんですね
焼き上がったグラスです
そこの黒から胴体の青い透明な粒ガラスでできた村が効果を発揮し
なだらかに色合いが変化しています
全体に細かな色の村が施され
陶器のような優しさと温かみを感じさせます
小樽焼の素朴な味わいをガラスで表現することができました
二千十八年木村さんは完成した作品を地元のガラス市に出品すると
小樽焼を知る人たちから昔を懐かしむ言葉が聞かれたのですが
これなんか小樽焼きみたいな一言
ぼそっと独り言のようにつぶやいてくれたんですよね
もうその瞬間にも僕も嬉しくなってしまったわって言って
あのなんか懐かしい色だねとか言う風な思い
教習の念を抱いて購入してくれる方とか
手に取ってくれる方がいるっていうこと自体が分かったので
これは続けていきたいな
徐々にその存在が市民の間に知れ渡るとしていた矢先
思ってもみなかった自体が訪れます
新型コロナウイルスの感染拡大です
小樽市内の観光客向け
販売店からの注文はゼロになってしまいました
ところがオンライン販売で注文が相次ぐように
ネットに掲載した作品が反響を呼び売り上げは三割増加
元々は小樽焼を知る地元の人たちのために作ったガラス製品
その魅力がネットの力で小樽以外の人々にも伝わったのです
本当によそ向いというところも正直あったんですけれども
小樽もえも縁も無い小樽焼も知らない
そういう方にもこの持ってるものの雰囲気とか世界観っていう
のが伝わったのは
やっぱりこの焼き物が
僕の今後の活動の
一つ道しるべだったかなと思って
北海道小樽そこにはコロナという逆境の中
前に進むことをやめなかった職人たちがいました

北一硝子 液ダレしない ガラス醤油差し

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