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文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門優秀賞に「父を探して」

投稿日:2017年3月18日 更新日:

平成29年度 文化庁メディア芸術祭受賞作品

アニメーション部門で、ブラジル・インディペンデント・アニメーション界の新鋭アレ・アブレウ監督による長編アニメーション「父を探して」(英題「The Boy and the World」)が優秀賞を受賞しました。
クレヨンや色鉛筆、それに切り絵や油絵具などを総動員して描き揚げられた作品世界は清涼飲料のような味わいです。デジタル彩色が主流の現代アニメーションの中にあって本作は独特の質感が満ちあふれています。

この作品を観て感じたのが、対極にあるアメリカのアニメーションです。比較するとこの作品の持つ特徴が際立ちます。髪の毛一本一本まで演算処理で描き出された画面や、ハリウッド・メソッドと呼ばれる脚本術で描かれるアメリカのアニメーションはエンターティンメント性満点ですが、自分の想像力を働かせる余地はあまり残されてはいないように感じます。本作「父を探して」は要素を可能な限りそぎ落とすことによって独自の世界を気付き揚げました。全編セリフがなく加えて色鮮やかなイメージが万華鏡のようにきらめきがら重いテーマが叙情的に描がかれていきます。

本作の主人公たちは、子どもの描いた絵のようにシンプルです。顔の丸い輪郭に三本描かれた髪の毛。枝のように伸びた手足は素描のようです。手書きの画面に変化を与えるのが実写や切り絵のオブジェクトです。自然な質感と滑らかなアクションが魔法のように見えるのは「ミクストメディア(混合技法)」と呼ばれる手法ならではの効果です。

 

親子三人で幸せな生活を送っていた少年とその両親。しかし、父親は出稼ぎにでるため、ある日突然、列車に乗ってどこかに旅立ってしまった。少年は決意する。「お父さんを見つけて、家に連れて帰るのだ」と。未知の世界へと旅立つ少年を待ち受けるのは、過酷な労働が強いられる農村や、きらびやかだが虚飾に満ちた暮らしがはびこり、独裁政権が戦争を画策する国際都市。

映画『父を探して』公式ホームページ — 監督と受賞歴 —
見慣れたアニメーションとは違った手法が光る作品ですが、伝えたいメッセージの強さが評価につながったのでしょう。

アレ・アブレウ 1971年、サンパウロ生まれ。13歳のときにアニメーションのワークショップを受講。その後、アニメーション制作に携わるようになる。広告映像やイラストレーションなどを手がけながら、2008年『Cosmic Boy』を監督。短編作品も広島国際アニメーション映画祭ノミネートなど、高い評価を得ている。『父を探して』は長編第二作目となる。

音楽にはブラジルが誇るパーカッショ奏者ナナ・ヴァスコンセロスが参加。

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