イッピン「丈夫でしなやか 心地よく~山形 鶴岡のシルク製品~」




カイコのまゆの、外側部分。外敵から身を守るために吐き出された「きびそ」という希少なシルクで作った製品が人気。世界的なテキスタイルデザイナーが「きびそ」を使って生み出したバッグの秘密とは!? さらに数々の一流ブランドのスカーフを作ってきた職人たちの、緻密で繊細な染色技術も徹底リサーチ。山形のシルク製品の魅力に迫るのは、女優の黒谷友香。

【リポーター】黒谷友香,【語り】平野義和

イッピン「丈夫でしなやか 心地よく~山形 鶴岡のシルク製品~」

放送:2018年12月4日

シルクのバック。和装でも洋装でも合うと人気なんです。シルク産業が盛んな山形から今様々な製品が誕生しています。色彩のコントラストが際立つスカーフ。薄手のシルクに鮮やかな幾何学模様がくっきりと浮かび上がります。美しい色合いはディオールやイヴ・サンローランなど有名ブランドの製品を手掛けた職人たちによるもの。新たな可能性を追求する山形のシルク製品の魅力に迫ります。
シルク製品のふるさと。庄内平野が広がる山形県鶴岡市。訪ねたのはスカーフを手がける会社。三代目社長の芳村貞夫さんです。この会社では和柄から洋柄まで様々なスカーフの染色を請け負っています。メーカーからオーダーされる色や複雑な模様を完璧に染め上げる技術力は世界からも注目されています。中でも人気なのがシーンを選ばない幾何学模様のスカーフ。色がくっきりと際立つ鮮やかな仕上がり。隣り合う色が重なったり滲んだりしないよう緻密に染めるのが職人の腕の見せ所です。「髪の毛一本しか重なりがない」まずは染料づくり。独自の配合で3000種類以上を生み出しています。ポイントはあらかじめ糊を混ぜておくこと。すると色がシルクにしっかり染み込み美しく染まるんだとか。今回使うのはこちらの7色。色ごとに形を変えて染め分けていきます。染色を担当するのはキャリア23年の山本千鶴さん。ベースになる薄手のシルクをシワのないよう広げていきます。いよいよ染の作業。最初の型に塗るのは透明な糊。白く残す部分に色が載らないようにするためです。先がゴムになった大きなヘラ。のりをつけたら一気に。あっという間に終了。乾いた形を変えて二色目へ。続いては薄いピンク色。三色目。比べてみるとこの通り。ピンクの格子模様にぴったりと載っています。実は今世界ではこうした染色は機械で行うことが主流です。安く大量に作れますがこの通り柄がずれてしまったり、色がにじんでしまうこともあります。でもなぜ手作業だと柄がズレにくいのでしょうか。方の左下にある三角マークに秘密が。予め生地の端に高さ2センチの三角形を染めておき、型を変える度に正確に合わせていきます。例えばこちら。型がほんのわずか右にずれている状態ですが、 実は型を置く時は台の下の方にある丸い金具に合わせて位置を決めています。この時は型が右に寄り過ぎていたためガムテープを巻いて0.1 mm ほどを左に。するとこの通り。見事にぴったり。「力加減とか速度が大事。上から下まで同じ力で、左右のも同じにしないと左と右で色が変わってしまう」しっかり押し付けないとインクが載りません。一方力を入れすぎると柄が潰れてしまいます。上から下まで均等に。この塩梅を習得するのに3年の修行が必要だと言います。作業を始めて1時間。色鮮やかな幾何学模様が見事浮かび上がりました。色の境目もくっきり。裏側もこの通り。インクがきっちり染み込み美しい仕上がりです。「どんどん色が重なっていくので、力を抜いてしまうと色が入らなかったりするので、常に同じものが出せるように」一色一色丁寧に。昔ながらの手作業がシルクに輝きを与えた逸品です。

山形シルクを世界に

山形県鶴岡市でシルク産業が始まったのはおよそ150年前。きっかけは戊辰戦争でした。戦に負け賊軍と罵られた3000人の庄内藩士たち。名誉回復を目指し荒れ野に鍬を植え、シルクの生産を始めたのです。通称サムライシルク。街は全国有数の産地へと成長していきました。しかし昭和に入ると化学繊維や外国産のシルクに押されるように。窮地に立つシルクを救おうと11年前新しい試みがスタートしました。着目したのが「きびそ」という糸。太くてゴワゴワしていますがこれも立派なシルクなんです。「きびそ」とは、蚕の繭の外側部分にある糸のこと。外敵から身を守るために普通のシルクより線が太くて丈夫なのが特徴です。硬くて加工しづらいため、これまで主に化粧品などに配合され織物には使われていきませんでした。しかし様々な工夫を重ね今ではきびそを製品を扱うショップまで現れています。試行錯誤の末たどり着いた広報を見せていただきましょう。ストールなどの小物を中心におよそ100種類がズラリ。ふつうのシルクよりも丈夫なきびそ。その特性を生きした製品も。こちらは日傘。シルクの持つ紫外線防止効果が日差しを遮ってくれます。「シルクを復活させるのがきびそ。決してここが終着点ではありません」 そんなきびそ製品の中で一番人気なのがこのバッグ。一件シルクとはわからない落ち着いた風合いと光沢が隠れたおしゃれ心をくすぐるといいます。デザインを手がけたのは世界的に有名なテキスタイルデザイナー須藤玲子さん。斬新な布づくりで知られ、ポリエステルを折り紙のように加工した布や、金属のステンレスを織り上げ、バーナーで焼き色を付けた布まで、まさに変幻自在。そんな須藤さんもきびそには一目惚れ。太くてごわごわしたきびそをどう布に仕立てるか。好奇心を掻き立てられました。試行錯誤の末たどり着いた工法を見せていただきましょう。「眉を煮るのです」きびそはまゆ全体の内たった4パーセントしか取れない希少な糸。そのため7500個を一度に使います。まずまゆを熱湯で煮てほぐれやすい状態に。小さな藁のホウキで繭の表面をなでる糸が引っかかって出てきます。「これがきびそ」ホウキに引っかかった繭の外側の糸を巻き取っていきます。切り干し大根ようなのがきびそを乾燥したもの。巻き取ってすぐのきびそはゴワゴワ。細かくカットした後特殊な薬品に漬けて柔らかくすることでようやく布を織ることができます。柔らかくしたきびそをシャトルという道具にセットして慎重に織り機を動かします。横糸の白い部分がきびそ。黒い部分が綿。縦に貼られたいとは通常のシルクです。順調に来られていたその時アクシデントが一体どうしたんでしょうか。「きびそにひっさかかったようです。節が邪魔をしてしまいました」きびとは節があるのでとても引っかかりやすいんです。もつれた糸は丁寧に取り除きます。「丁寧に取り除かないと折れない。愛情がないとうまく折れないということなんでしょう」降り上がったきびその布。さらにデザイナーの須藤さんが考えた面白い仕掛けが。織り上げた布を洗濯して乾燥機にかけるとこの通り布地が縮んで凸凹に。全く別の布のようです。実は使っている綿の糸に秘密があるんです。それは露ねん糸と呼ばれるねじり合わせた糸。水分を含むと縮む性質があります。いっぽうきびそは縮みにくいため独特の凹凸が生まれるのです。様々な繊維の性質を知り尽くしたデザイナーの遊び心なんでしょうか。最後は丁寧にミシンをかけて。きびそ独特の風合いを生かしたバッグの完成です。シルクをもう一度輝かせたデザイナーと職人たちが愛情をかけて生み出した逸品です。

鶴岡シルク製品のご案内

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【ふるさと納税】C30-602 kibisoストールしましま(青)
価格:30000円(税込、送料無料) (2018/12/5時点)

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【ふるさと納税】D30-601 kibisoストールレノボーダー
価格:40000円(税込、送料無料) (2018/12/5時点)

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