ハンズに登場・京都生まれの和ネイルがステキ

ハンズに登場・京都生まれの和ネイルがステキ

ガジェット愛好家のAちゃんです。

東急ハンズ渋谷店に入荷したのが日本画に用いる顔料を使った和ネイルです。

ネイルといえば艶々。ピカピカ。鮮やかなものが人気です。

その中で「和」を全面に押し出したこの商品は、独自の存在感を示しています。

ネイルの常識を覆した驚きを感じさせてくれるのです。

和ネイルの原料は天然素材

日本画の顔料とはいったい何から作られているのでしょうか。

白色の顔料は「胡粉」と呼ばれます。

主に、日本画や日本人形の絵付けに用いられるものです。

ホタテなどの貝がらを焼いて作られています。

日本画の絵の具には、ほかに「岩絵の具」と呼ばれる顔料があります。

こちらは、辰砂、孔雀石、藍銅鉱、ラピスラズリなど様々な鉱石が原料なのに比べ、

「胡粉」は炭酸カルシウムでできているため

天然素材の良い部分を取り入れることができます。

爪に優しい水性ネイルで軽〜いつけ心地!

胡粉を原料とした「和ネイル」は有機溶剤を一切使用していないのが大きな特徴です。

洋画に使われる油絵の具は油で溶かします。

日本画は溶剤に溶けにくいので膠(にかわ)などの接着剤を使って画面に貼り付けるのが普通です。

胡粉で作ったネイルは水溶性の接着剤を使用しているため

除光液ではなく除菌用アルコールで落とせてしまうのも特徴です。

そのため、

「爪に優しい」

「マニキュア特有の刺激臭がない」

「速乾性と通気性がある」

という特徴があります。

またホタテの貝殻に含まれる真珠層が爪に美しいツヤを与える効果が期待できます。

老舗”絵の具屋”の新商品

日本画に使う絵の具をネイルにしたのはどんなメーカーなのでしょうか。

調べてみるとメーカーは京都にあることがわかりました。

「上羽絵惣」なんと創業260年という老舗メーカーです。

ハンズに登場したネイルは、日本最古の絵の具屋さんがつくった和コスメだったのです。

創業260余年の上羽絵惣は、初代惣兵衛が宝暦元年(1751)に京都の燈籠町において、上羽絵惣(胡粉業)を 創業し、日本画用絵具専門店として白狐印の胡粉、泥絵具、棒絵具などを現在も扱う日本最古の絵具屋です。
様々な色を取り扱う弊社は、そのノウハウで日本の女性を美しく魅せる胡粉を使用したネイルを開発いたしました。胡粉ネイルは、幅広い年齢層の女性から支持を頂き、2010年12月より胡粉ネイル専門のネイル通販を始めました。
私たちが作る新しい商品には、いつも、絵具屋としての誇りと、素の女性を輝かせるため、製品の品質や原材料にこだわりを持って作っております。

人に優しく、地球に優しい商品で、絵を描くように爪に彩りを与えたい。

絵の具の素材という天然素材の良い部分を取り入れたは、絵の具屋さんが持つ技術の積み重ねがあったのです。

 

女性の悩みに耳を傾ける

商品を企画したのは取締役の石田結実さん。10代目上羽豊さんの妹さんです。

「ネイルアートが流行っている時、たまたまテレビで女子高生がホタテ塗料を爪に塗っているのを見て閃きました。胡粉の材料もホタテ。天然素材です。水溶性の接着剤を使い、除光液を使わずに落とせるマニキュアを作ろうと思いました」

「文化財の修復にも使われる貴重な画材ですが、古来の製法で手作りしているのは、もう日本ではうちぐらいでしょう。創業時から260年以上にわたって脈々と受け継がれてきた、この技を絶やすわけにはいかない。とはいえ伝統芸術だけの需要では厳しく、時代のニーズに乗っていかないと生き残っていけません」

上羽絵惣|京の老舗|京都通へのトビラ|そうだ 京都、行こう。

「水仕事をすると爪がピリピリして痛いから、カバーするためにまた塗るとますます傷む。

自分の爪がどんどんひどくなっていくようで心配だ」という悩みを聞いた石田さんは

安全でダメージの少ない溶剤はないだろうかと考えました。

試行錯誤を繰り返し、胡粉の微粉末を水系エマルジョン(乳化液)で溶かすことに成功しました。

そして、平成22(2010)年。透明な「白光」を発表。

京都商工会議所の「第1回知恵ビジネスプランコンテスト」の認定6社の一つに選ばれ、

2015年にグッドデザイン賞も受賞しました。成果は認められたのです。

クリックして22jirei33.pdfにアクセス

京都・老舗企業の経営哲学

京都の老舗の本質といえば、「一見さんお断り」「伝統と格式」「高品質」と言われます。

しかし、最大の特徴は長生きしていること。

日本の企業のほとんどは創業10年を超えることができないと言われます。

京都の老舗のどこが違うのでしょうか。

京都の老舗は「変えるべきものは何なのか」、「そんな人材をどう育てているのか」、

「世間『もっと』よしなのはなぜなのか」を常に考え続けているからです。

そう語るのは京都100年企業研究会を主宰する林勇作さん。

老舗からの学びをもとに講演活動を続ける中小企業診断士です。
VALU | 林 勇作(100年企業コーディネーター)のVALU

林さんは著書の中で

①残すべきものと変えるべきものを明確に分けていること

②将来のビジョンを経営者が示し、その達成のために必要な人材を自ら育てていること

③「売り手よし、買い手よし、世間もっとよし」を実践していること

「残すもの」と「変えるもの」をはっきりさせていることだと分析します。

目先の利益ではなく、100年先を見て実直に商売を続けていくことこそが経営理念。

そこが駆け出しの企業とは違うように思います。

まとめ

ハンズに登場した和ネイル。

商品だけ見ると、小粋なアイデア商品のように見過ごしてしまいがちです。

しかし、手に取って使っていくうちに価値がわかりはじめるものの一つです。

老舗企業が打って出た新商品には、一般メーカーが売り出したサービスにはない深みが込められているように思います。