イッピン「伝説の古陶 よみがえる技~長崎 現川焼(うつつがわやき)~」感想

イッピン
現川焼

かつて幻の器といわれた、長崎の現川焼。

江戸時代のほんのわずかな期間だけ製作され、その後こつ然と姿を消したからだ。

「刷毛目」と呼ばれる文様が特徴だが、どのようにしてこの文様をつけたのか、まったく謎だった。

200年後、ついに技法が解明されたが、再興された現川焼を手がける職人は、現在わずかに2人。

それぞれの工房を訪ね、独特の刷毛目をつける過程を紹介。

その深い味わいに迫るリサーチャーは、三倉茉奈さん。

【リポーター】三倉茉奈,【語り】平野義和

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イッピン「伝説の古陶 よみがえる技~長崎 現川焼(うつつがわやき)~」

放送:2019年1月15日

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東京の下町にオープンした小料理屋さん。

この店にはあるこだわりが。

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特別に注文した器です。刷毛目と呼ばれる独特の模様が特徴です。

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まるで鳥の羽のような繊細さ。

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こちらは花びらのよう。

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さらに渦を巻いたものも。

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「焼き物とかで色があるものを使った時に料理を引き立てるっていう形でいいと思ってます」。

 

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長崎県で作られる現川焼(うつつがわやき)。

かつては幻の器とされていました。

江戸時代のわずかな期間だけ製作され姿を消したからです。

どのようにして分け目をつけたのか資料は一切なく謎とされていました。

それが200年の時を経て解明されたのです。今現川焼を手掛ける職人はわずかに二人。

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そこにはどんな技が秘められているのか。今回のイッピンは幻の器現川焼に迫ります。

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長崎県佐世保市木原町。有田焼で知られる佐賀県有田町の隣町です。

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江戸時代の初めから焼き物が盛んで、木原皿山と呼ばれています。

イッピンリサーチャーは料理と器が大好きな三倉茉奈さん。早速現川焼の窯元へ。

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こちらは窯元に併設されているギャラリーショップ。

「一つ一つがすごく繊細で綺麗」。

一口に刷毛目といっても実に様々。どれも深い味わいがあり。遠くから足を運んで買いに来る人もいるといいます。

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窯元の代表横石次郎さんです。

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「現川焼が賞されたところは実は綺麗なだけではなくて器の中に奥行きを表した。空間表現をやった。白鷺が空間の中に立ってるんですね。それを表す刷毛目というのが非常にその難しい」

刷毛目が美しいだけではありません。

「土物ていう概念でちょっと持ってみてください」

「軽い」

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繊細な刷毛目に加え、軽くて薄い現川焼。一体どうやって作るのでしょうか。

 

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白い化粧土を筆で器につけていきます。

筆はヤギやイタチタヌキなどの毛でできたもの。

もように合わせて30種類以上を使い分けます。

筆を打ち付け刷毛目を作るこの技法。

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打ち刷毛目と呼ばれています。

何度も打ち付けて行くと器全体が白くなってきました。

このまま焼き上げると全体が白くなるはずです。

ところが現川焼はご覧の通り白い刷毛目の線が一部にしか残りません。

なぜこんなことになるのかそれが長い間謎だったのです。

 

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現川焼が生まれたのは300年以上前の元禄時代。

長崎に住む田中刑部左衛門が編み出しました。

しかしなぜかわずか60年ほどで生産されなくなります。

刷毛目を作る技法も分からなくなってしまいました。

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それを昭和の半ばによみがえらせたのが横井さん兄弟の祖父12代目横石臥牛でした。

臥牛は30年近い試行錯誤の末、刷毛目の技法を解き明かしたのです。

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最大のポイントは分け目をつけるタイミングでした。

普通焼き物は素焼きをした後に模様や絵柄をつけます。

これに対し現川焼は素焼きをする前、生地が生乾きの状態で刷毛目をつけることが分かったのです。

打ち刷毛目をもう一度をスローで見ると、筆を当てるたびに器が波打っているのがわかります。

生乾きの状態で化粧土をつけると一体どんな効果があるのでしょうか。

乾いた粘土と比較してみます。

乾いた粘土は化粧土の水分だけを吸収し、白い成分が表面に残るため全体が白くなります。

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生乾きの場合、水分と白い成分の両方が粘土と混じり合い白い成分の一部だけが表面に残るのです。

これは粘土を生乾きの状態にするための独自の工夫。

中には濡らした木綿にくるんだ製作途中の器が。

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これで湿度30%前後に保たれるといいます。

「乾かしすぎてもだめ」

「つくってから半分乾燥した状態にして、ギリギリなんとか削れる状態で削って、なおかつそれを乾かないように保管して、面白い刷毛目ができる状態にまでまた水分を加えて仕事をするというのが一番の技術をするのに難しかったっていうか解明できてなかったとこですね」

刷毛目の上に絵付けをしていきます。

描くのは白鷺。

白い化粧土を細い筆を使って塗り、乾かしてはまた塗り重ねます。

化粧土が盛り上がり立体感が出てきました。

細かい部分は竹べらや指先を使い、羽の一本一本まで丁寧に仕上げていきます。

この後素焼きを行い、さらに釉薬を浸して再び窯へ。

窯の温度はおよそ1250°。

30時間前後かけてじっくり焼き上げます。

刷毛目を風にそよぐ一面の草原に見立てて、そこに一羽の白鷺が降り立ったという風情。

背景の草原と手前の白鷺の遠近感がよく出ています。

現川焼の可能性を押し広げたい。

そんな思いの新作を見せてもらうことに。

「楽しく仕事できたものを見ていただく人、手にしていただく人に、自分たちの気持ちが伝わるように焼いてあげられるかっていう、それがあるから技術も磨いていける」

長い間幻の器とされてきた現川焼。

その技法を解き明かし、表現を深めてきた職人の系譜。この焼き物でしかできないものを求めて生み出された逸品です。

現川焼の生まれ故郷へ

長崎市の現川町。現川焼を始めた田中刑部左衛門は元禄時代ここで暮らしていました。

刑部左衛門が開いた登り窯の後です。

藩の支援も受け生産が盛んになりました。

そして京の仁清西の現川と呼ばれ、京焼の巨匠野々村仁清と並び称されるまでに。

しかし刑部左衛門の死後後継者が経営に失敗。わずか60年ほどで生産がストップし幻の器と呼ばれるようになりました。

現川焼をつくるもうひとつの窯元がこの現川町にあります。

窯元の向井康博さん。

元々サラリーマンだった向井さん。現川焼に魅せられて修行を積み、30年前ここで製作を始めました。

向井さんの宝物それが江戸時代に作られた現川焼の破片です。

「窯跡の近くから見つけたんです。運命みたいなものを感じました。これが私の原点です」。

そんな向井さんの器にほれ込んでいる人がいます。

地元で農業を営む野口さん夫妻。

日常使う食器のほとんどが向井さんの作った現川焼。

現川焼は冬季ではタブーとされる電子レンジに入れても大丈夫。

粘土のきめが細かく、中に空気を含んでいないので割れないんです。

30年にわたって集めた向井さんの作品のコレクション。

これ何だかわかりますか蛍なんです。蛍です。「温かみがあるでしょ」。

さて、向井さんの作品作りを見せてもらいましょう。雲と雷をモチーフにしています。

打ち刷毛目。これまでに見たのと同じです。

ところが。

「ここからですね息を吹きかけます。手法の一つ吹き刷毛目といいます。それこそなんか宇宙観ですかねそういうものが感じるんですよ」。

仕上げは雲の上に雷を描きます。

「自由な発想で作りたいんですよね。だからあまりこだわらない。自分が表現したいこうしたいというものを毎回つくる」。現川焼の技法のひとつ吹き刷毛目を自分のものとした向井さん。

人柄を思わせる素朴な味わいが溢れる逸品です。

200年の時を経て蘇った現川焼。

他の焼き物にはない独特の刷毛目を活かしながら新しい表現を追求する職人たちの姿がありました。

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取材先など

幻の陶器,「現川焼き」に魅せられて – 幻の陶器 現川焼に魅せられて 陶芸復興塾 atelier-sobasuky

現川焼陶窯跡|観光スポット|【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット

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