日曜美術館 「オルセー美術館 I太陽の手触り」

日曜美術館 「オルセー美術館 I太陽の手触り」

オルセー美術館には、印象派をはじめ、19世紀中盤から20世紀初頭にかけて新しい芸術の扉を開いた作品が所蔵されている。パリの街や暮らしが大きく変わった時代。日常をまっすぐ見つめて描くことで起きた美の革命の結晶だ。モネを夢中にした、汽車の煙に乱反射する光。ルノワールが見つけた、木漏れ日。ゴーガンが追い求めた、南国の光。ガラス天井越しに光が満ちる館内を、「太陽」をキーワードにめぐる。

初回放送日: 2022年2月6日

日曜美術館 「オルセー美術館 I太陽の手触り」

世界中どこにいても時代がいつであってもたった一つ変わらないことがあるんだ
なんなの
太陽が昇る昼が来る
月が満ちてかける夜は
そんな当たり前のこと
その当たり前をきちんと見つめて描いたことで美の革命が起こった
あれは十九世紀から二十世紀になろうとする頃だった
時代が移ろう中で芸術家たちが見つめた昼と夜光と影
それらが美の結晶となって輝いているのがここフランスオルセー美術館さ
輝ける美の源
太陽と月に導かれて巡るオルセー美術館の物語
二回に分けてご案内しよう
今日は会場オルセーに溢れる日の光を思いっきり堪能していただきましょう

早速まばゆい光が差してきた
そろそろ始まるよ
パリの町に朝が来ました
セーヌ川のほとりでずっとこうして日の出を見つめてきたオルセー美術館
中に入ると光あふれるカテドラルのよう
いつ行っても印象派の絵を中心に彫刻工芸など三千点ほどの作品が迎えてくれます
だんだんと満ちていく光の気配
この空間がすでに一つの作品のよう
オルセーを代表するあの名作もそろそろお目覚めです
ルノワール、マネ、草上の昼食
木立の中太陽の光に照らされて
浮き立つように輝く男女
ピクニックを楽しんでいますが
女性がなぜか裸
かごから転がり出た果物やパン
無造作に置かれた服と帽子
実は褒められたのは唯一この部分だけでした
下品な作品だと罵られ大スキャンダルになったんです
その原因はもちろんこちら
裸の女は伝統的な絵画では女神や政令であるはず
でもこの女は女神じゃない
都会に生きるパリジェンヌ
自ら服を脱ぎ捨ててあっけらかんとこっちを見てる
僕の女は何とも荒っぽいタッチ
背景も手抜きじゃないかと非難の的でした
でもこうした大まかな筆遣いで色を平面的に塗り重ねるのがマネのやり方
絵画の常識を軽やかに覆したまね
まずはまっさらな目でえーを自由に楽しんで
そんな真似の声聞こえますか
ほら画面の隅っこの方
本屋もうすぐ会館の時間だね
あらどこかから声がする
ボンッ町ようこそ
オルセー美術館どうかね
自慢の名作たちはゆっくり見たいのはわかるけど
早くここまでおいでなさいよ
気持ちのいい朝今日も素晴らしいお天気だ
光がきらめくこんな日は年老いたあたしだって
結構美しく輝く軍だよ
私はね海の底から引き上げられた
古代の美術品という設定でがれって
人が作ったガラスの小淵太陽の光が虚ろにつれ
異論の表情をお見せするよ
海から出てきたもんだからほら
海藻とか貝とかくっついてきちゃって
さくっついてきちゃって
悪かった日をせめて指輪みたいに
あなたを飾ってあげようと
カイは海なりに気を使っているのに
うん正直ちょっと重たいんだよね
あんた達そんなことより
さっきのピックニックのえのころ
まねはスキャンダルにうんざりしてたよ
現実の生活を書くことの何が悪いんだって
そして今を書くことにこだわったほらで
バンドよっ美しい海の指輪さんたち
その答えは何台周の時代
パリの街も
人の暮らしもがらりと変わったから
ですよね
真似だけじゃないよ
たくさんの画家たちが
変わりゆく街の姿を描き始めた
太陽の光溢れる町をね
十九世紀の針葉代会場
古い建物が壊されて
放射状の道路や
高さの揃った建物が作られて
そして街には光と風があふれたのさ
建物には大きな窓部屋も
すっかり明るくなった
パリの生活は
大きく変わったモンマルトルのか覗いてみる
休日を楽しむ新しい場所が次々に登場
特にあの大人気スポットには
いつもパリっ子たちが
別をなしてたもんだよ
うんあの画家も
大きなキャンバスを持って通い詰めた場所
ほら耳を澄ませてごらん
ルノワールが描いたのは
毎週日曜日にオープンしていたダンスホール
ブランドラギャレット
庭先を照らす太陽の光
はい大きな木の下は
踊りやおしゃべりを楽しむ人々で
ごった返しています
へえ木々の隙間から降り注ぐ強い日差し
うん麦わら帽子が光に照り映えています
お嬢さんたちのアクセサリも
手前のムッシュの背中に明るくにじむ
不思議な丸ルノワールは
木漏れ日の一瞬のきらめきを捕まえました
地面にもまばゆいほどの木漏れ日
その光に包まれて
とびきりのおしゃれをしたカップルが踊っています
酔っぱらったり口説いたり抱き合ったり
ここは男女の出会いの場でした
へえはいはいええ今この瞬間の喜び
うつろう光を感じるままに描くそう
印象派の登場です
カイユボットが引き付けられたのは
室内に差し込んでくる太陽の光
古くなった床板を
職人たちがかんなで削っているところ
窓の外には
通りの向こうの建物の屋根ということは
こちら側も同窓会ってこと
古い床と削ったばかりの床
光によって生まれる表情を
繊細に描き分けています
光で透ける削り
一のうすさの違いまでも
飲まずにはやっていられないきつい仕事でも
職人たちの引き締まった背中に注がれる光は
どこまでも温かい
そうそうオルセーには思いがけない姿で
太陽の光を捉えるいや名作があるんだよ
パリで一番古い駅サンラザールがその舞台
クロードモネは
何枚もこの駅の姿を書いた
駅の近くにアパートを借りたほど
何がそんなに気に入ったのか分かる
晴れた日の昼下がり
記者も千も人々も光を浴びています
うんモネが胸躍らせたのは
この光でした
汽車の煙と上記に乱反射する太陽の光
躍動する青と白とピンクへえ
モネは絵筆で新しい町をたたえています
そうですね
ああ風と光を浴びて政務を行くのは
最高に気持ち良さそうだね
あっ向こうからも
ご貴殿な人たちが来ましたよ本そうだ
今日はこれでなんそう
また来たお昼時はいつもにぎやかだね
行ってらっしゃいあなたが
こうして手を振ってるなんて
誰も気付いてないですよね
だから何ていうか
あなたが手を降る度に
私たちこっちそうになるんですけど
だったらいっそ落っこちて
船に乗って出掛けてしまえば
どうそしたら手を振ってあげる
から自由な時間を楽しんでって
ところでこの写真の風景見覚えない
そうまさに今いるところ
実はオルセー美術館の建物は
元々は役だったのさ
パリから郊外への出発点駅の頃から
ここには美しい光が溢れていた
ほら天窓に現われる
不思議な影気づいてた影の秘密
こっそり教えてあげる
オルセの天窓の上には
もう一つ屋根がある
でここが屋根裏
そしてこちらが影の正体
駅の時代から建物を支え続けてきた鉄の骨組み
鉄とガラスで作った近代的な駅舎は
新しい時代の象徴だ
うん美術館に生まれ変わったのは
千九百八十六年のこと
ここにある美術品は
十九世紀半ばから二十世紀頭まで
まさにパリの町が劇的に変わっていく時代の
ものばかりなんだ
この広々とした空間を覗いてみて
ごらん横七メートルもある
オルセ最大級の作品
この絵の少し前の時代まで
こういう大画面には
神話や英雄の物語を描くのが当たり前だった
でもこの作品はかなり挑戦的
クールベはなんと
故郷の村のお葬式の様子を書いた
三列会社は全部で五十人ぐらい
画家のお母さんや妹尊重司祭
みんな実在の村人たち
みんなこうぞって
モデルになりたかったらしいよ
厳粛な空気なのに
聖歌隊の子供達から早く帰りたそうな顔
素朴な人々の姿を素朴なままに書くことも
この時代に始まったことなんだええ
今日も祝福の光が差し込んでくる
オルセー美術館は新しい芸術への出発の地
今も世界中の人々が美と出会うプラットホームってわけ
近代化に枠パリで新しい暮らしを満喫する一方
人々は郊外へ自然を求めて
度々出かけました
ピクニックやぼと遊び
三冊休日に向かう
セーヌ川のほとりはタリック
憧れの憩いの地でした
なかたちもアトリエから飛び出します
外で日の光を浴び
自然を観察して一気に書き上げる
それは無邪気なまでの
喜びに溢れていました
うん現職のままざっくりと塗られた
色とりどりの絵の具何に見えますか
太陽の光を受けて輝くセーヌ川に
ヨットがのどかに浮かんでいます
胸は風景が水面に移り
揺らめく様を夢中で追いかけました
ありがとうございます
セーヌ川の支流沿いの村
偉い二ピサロは晩年ここに暮らしました
夕暮れの光が色とりどりの細かい粒となって
大地に降り注いでいます
見せろが見つめた
太陽の光は果たして何色だったのか
色の重なりはどんな手触りをしているのかうん
この時代パリジャンも
そして画家たちも改めて気づきます
光あふれる豊かな自然のトートさに
モネもセーヌ川沿いを転々としながら
一層自然へと近づいていきました
たどり着いたのはパリ郊外の時ベルに
ここが次のすみかとなりました
モネが自ら作り上げた水の庭
三十年間飽くことなく
この庭を見つめ描き続けました
モネの告白水と
反映の風景にとりつかれてしまいました
年老いた私の手には負えないものですが
感じているものを
なんとか描きだしたいと思っています
そうですねへえうん
ある日の水の庭の風景モネが荒いタッチで
キャンバスにぎゅっと閉じ込めた
自然の一瞬の表情
そしてたゆたう太陽の光
じっと目を凝らせばほら現れてくるでしょう
もねだけに
見えていた水の奥深くに潜む色までも
光は打つ度イエスどうしました
憂い籠なんて珍しい
パリの近代化を喜んだかと思ったら
都会暮らしのストレスで
自然に癒しを求める人の心は変わりやすい
うん変わらないのは太陽だけですね
そうそうね太陽は変わらないのに
その光を受け取る人によって
幾通りもの表現が生まれてくる
それもまた人間の面白いところですかね
なさそうに
オルセー美術館の中でも
ひときわ不思議な光を放つ作品
はいふーんある春の日
美麗が家の裏庭で見た風景通り
雨がやみかけて
太陽が顔を出したところです
現れた二重の虹
その周りに漂う謎めいたピンクの光
うんうんうんうん
うん激しい雨だったのでしょう
湿った小道野に水たまりができています
うんうん雨が通り過ぎる瞬間に出くわして
木の下で雨宿りをする人が一人手を合わせ
何かを祈っているみたい
木々は光を放っているかのよう
自然を敬う気持ちが
神秘的な光の姿となって
大地を照らしています
うん晴れ渡った日当たりの良い公園で
それぞれにくつろぐ人々指が描いたのは
どこか装飾的で触覚をくすぐる光うん
使ったのは
泥絵具マットな色合いと
質感が日だまりの温かさを
醸し出しています
うんうんうん大きな木に太陽が当たり
キラキラと羽賀ヒカルているような
でおかげではおばあさんが一休みあ
大事な家族も一緒です
ところで足元そこに広がる水色と
ピンクの点が散りばめられた
不思議なリズムの模様
これは一体へえはいが捉えたのは
まだ何地面に反射する太陽の光
うん人はその光をたたえました
魔法のような光だと
なぜ私は太陽の喜びの全てをキャンバスに
そのまま映すのをためらうのだろうか
そう問いかけ原子の光を追い求めた
画家がいます
傲岸が向かったのは
南国の島汚れない自然と
野生あふれるタヒチでした
うんはい鮮やかな色の面で表わされた
強い太陽の光が降り注ぐ大地うん
はい第一にちょっと手を触れている
タヒチの人へえはいうん
白い衣に映し出される光の気配
月の女神の像に祈る女たち
自然と共に生きる人間の原初の姿です
水の広がりは色のパッチワーク
その鮮烈な色に塗り込められている太陽の光
ありがとうございます
うんうんそれは
画家の心の奥深くからさしてくる光
そろそろ日が暮れる
太陽が帰って行くよ
私たち笑わないで聞いてなんです
もしも太陽がなかった世界には
何も生まれなかったオルセー美術館だって
今ほど空っぽだよ
それに皆様がなかったら