日曜美術館「カラフル! 多様性 をめぐる冒険」

カラフル

不思議な焼き物、驚きの細密画、色彩豊かな糸のかたまり…。東京藝大の美術館で開かれている「あるがままのアート展」は、アール・ブリュットやアウトサイダーアートと呼ばれることの多い作品を集めた展覧会。ETV特集「人知れず表現し続ける者たち」で取材を続けてきた作家を中心に、作ることと生きることが一体となったような作品が並ぶ。そんなアートと多彩なゲストの出会いのドキュメント。 多様性 をめぐる冒険へようこそ。

【司会】小野正嗣,柴田祐規子

放送:2020年8月23日

 

日曜美術館 「カラフル! 多様性をめぐる冒険」

今年の夏はいつもとちょっと違う夏。

新型コロナウイルスでしばらく閉ざされていた美術館に賑わいが戻ってきました。

色とりどりの作品たち。

人知れず自宅や福祉施設などでコツコツと作られました。

アールブリュットやアウトサイダーアートとも呼ばれています。

誰の為でもなく湧き上がるエネルギーを形にした表現。

そんなアートと出会うのはりゅうちぇるさん。

「すごく久しぶりです」

ジェンダーを超えた自由な生き方を発信し続けています。

「以前番組ですごくを自由に。美術とか芸術とかっていろいろ決まりがあるんでしょうけども、そういうものにとらわれず、本当に自由に自分の作品を表現されている方々に出会って、それからすごく僕、美術とか芸術の虜になってて、すごく癒されたりもしてるので、今日はものすごく楽しみにしてきました」

「なんだろうこれ。糸?」

小森谷章の作品。

ぐるぐると何色もの糸を巻き上げた巨大なオブジェは埼玉の福祉施設で作られました。

近づくと糸の塊はまるで皮膚を剥いだ筋肉の繊維のよう。

「近くで見ると本当に一本一本の色の合わせ方とかが繊細ですよね。なんか全然喧嘩してないというか色」

「日本だ。すごい」

熊本の作家、松本寛庸。

地元の偉人、加藤清正と徳川家康との覇権争いがモチーフです。

清正のいる熊本城の辺りには、少し大きな旗印が。

周りを固めるのは色鉛筆と水性ペンで描かれた無数の扇。

日本国中を埋め尽くすカラフルな清正勢。

江戸の家康を追い詰めます。

縦1.6メートル横10メートル。

作者の小久保憲満が高校1年生から6年がかりで完成させました。

ボールペンや色鉛筆などで描かれた絵巻。

途中、色合いが暗くなります。

この時期には進路への不安や母の入院などがあり、精神的に不安定な状態だったといいます。

その後再び明るくカラフルに。

描かれているのは空想の都市。

車や建物。

自分の関心を都度都度描き入れた青春の記録でもあります。

「上京したてのギンギラの東京見つめる自分の心をすごく思い出しますね」

18歳で上京するまでは沖縄で暮らしていたりゅうちぇるさん。

小さい頃から女の子のファッションが大好きでしたが、周囲の目が気になり、それを隠して生きてきました。

転機は高校入学。

それまでの自分を誰も知らない学校を選び、少しずつ解放していきます。

卒業後は原宿へ。

そこにはりゅうちぇるさんと同じように、生きづらさを抱えた若者が集まっていました。

ここでならありのままでいられるかもしれない。

原宿は自分を表現する舞台となりました。

「すごい。うわーすごい。ドロドロしてますね」

ふくよかな女性の裸体。

乳房、性器など。

水性マーカーで描き込まれ、微塵の隙もない鈴木まりえの作品。

独特の色彩と、印象的なモチーフの反復で見る人を絵の中に引き込んでいきます。

「結構、原宿ファッションと共通するものもいっぱいあるなと思ってて、カラフルな、もうそれこそこんなショッキングピンクみたいな髪型に、アイメイクとかはブラックで濃くしてコントラストをとる。でピンクとか黄色とかパステルカラーとかビビットカラーが好きな割には、原宿ファッションも目玉とか、ちょっとグロいものも結構ファッションとして取り入れてるところもあるので、そういう共通点みたいなのはものすごく感じました。ド派手なんだけど悲しみがある辛さがある憎しみがあるっていうテイストが僕も好きなので、すごく好きです」

「えっ。ほんと。これ落ち葉ですよね。嘘。落ち葉でこんなふうに」

今回の展覧会はNHKが放送しているドキュメンタリー番組から生まれました。

blog.kenfru.xyz

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会場では正規の美術教育を受けることなく、自身の内面から湧き上がるエネルギーによって生み出された作品が、制作風景の映像とともに展示されています。

その枯葉は青年の手の中で新しい命を手に入れた。

no art no life

冬の初めクヌギの葉っぱが落ち始めると、渡邊義紘の創作が始まる。

「やわらかいと思います・・・」

どうやら柔らかくて大きな葉っぱを探しているらしい。

それにしてもこの中からよく見つけられる。

年に一度。落ち葉の季節だけのお楽しみ。

折り紙ならぬ、折葉。

息を吹きかけ、葉っぱを馴染ませながら丁寧に織り込んでいく。

作り始めてわずか10分。

折葉の動物も今では18種類。

中で干支は大人気。

実はこの干支。

販売もしているんだとか。

落ち葉拾いに干支作り年末は大忙し。

渡邊義紘のno art no life。

ひとたびハサミを入れると紙はくるくるとうねりだす。

なんだかわからないけれどなんだかすごい。

初めてハサミを手にしたのは6歳の時。

以来ハサミは藤岡の相棒。

パニックになってもハサミを持つと落ち着きを取り戻した。

「私にとってはなんか、ただただ息子の作ったものですよ。可愛い息子の作ったものだから、やっぱりこの人たちも可愛い」

毎日毎日。1日の終わりに新しい作品が生まれる。

「これはなんか、あの人の生きた証だからね。生きた証といいますか」

「親子の共作ですよね。きっとこれはある意味ね。やっぱりその夜遅い時間まで一緒に起きていてその日の作業が終わるのを待って」

確かな演技で映画や舞台にバイプレーヤーとして活躍する奥貫薫さん。

15年前からダウン症や自閉症の子どもと一緒に絵を描く教室に参加してきました。

「初めは友達に誘われて。でも気付いたら自分も楽しんでいました。とにかく自由なんですよ。誰の何の約束事もなくて、描きたいものがあれば描けばいい。発表したければすればいいって言う、子供たちの思い思いの発想に触れて多様な世界がそこにあって、そんな時間がとっても楽しいんですね」

色彩豊かな線の数々。

水彩絵の具やコンテパステルで描かれた澤井玲衣子の作品です。

ゆらゆらと揺れる線はゆっくり腕を振るようにして描いたもの。

楽しそうな呼吸が伝わってくるようです。

「どうやってその色たちを捕まえるんだろう。どうやってその線を見つけるんだろう。どうやってその形を形作るんだろうっていう驚きはすごく分かると思います」

「可愛いですね」

奥貫さんが心惹かれたのは滋賀在住のアーティスト。

幸せなら手をたたこう

幸せなら手をたたこうを

断ったかみんなで

最初っから井村ももかは歌うのが好きだ

そしてもう一つ

この攻防で夢中になれるものに出会った

ボタンに色を塗って布に縫い付ける

何度も何度も繰り返し縫い上げた作品は

今まで誰も見たことのないものだった

部屋もももかワールド

足の踏み場がないぐらいで

多分これが始まりだったと思うんですけど

なんかいろんな子パターンがあって

それぞれのあの男の子だったり

あのお姉さんだったりなんかいろいろあるんですけど

なんか本人はきっと

それぞれ自分の作った

やっぱりキャラクターがあると思うんですけども

倒れると大変なんですこれで調べて

すごい形になったいろんな色に囲まれて

たぶん本人はここにいるのはすごく幸せ

なんだけどきれない衝動みたいなものがある

ということにすごく憧れますよね

私自身のコンプレックスでもあるんですけど

あのー例えば台本をもらって

その薬を与えてもらって

その役に対する責任は

一生懸命果たしたいと

いつも思うんですけれども何でしょうか

そのそこでは

自分というものを表現したいとか

発信したいという欲が全くないんですね

知らず知らずのうちにも

こうあるべきっていうことに

がんじがらめになってたりもすると

思うんですよね例えば今もう私は

上手に話せているだろうか

っていうことが気になってしまうから

やっぱり私は

その彼の作品を通していいんだよ

自由でいいんだよっていうことを教わった

ちょっとぶつけた指の隙間から

みんなみんなする母さん

優れた芸術は

医療でもあると考える医師がいます

稲葉俊郎さん今年の

山形ビエンナーレの芸術監督も務めます

病棟での診療の一方で

在宅医療にも取り組む稲葉さん暮らしの場は

その人の表現そのもの

生活を垣間見ることで患者の人生観を知り

健康を回復にもつながると信じています

著作には日常と表現とが

一体化する後に引かれるとあります私は

この世界が大好きで

応援している芸術と医療が分かち難く

接近していると強く感じることができるからだ

彼らの作品はあくまでも個人的で

内的なイメージとの深い対話の結果であり

見る者の魂を鷲掴みにするような

魅力にあふれている

いったいいったいすごく個性があるじゃない

ですかとってもあるし普遍的だし

原始的だよ

宿題的だと思うんですけど

そういうのか

あんまり物事が表面で複雑化しなかった時の

人間の暮らしてその時に生まれてくるもん

必然的に高そういうものに近いものを感じます

トゲトゲイガイガたくさんの突起物がある

沢田真一の

オブジェ生き物のようでもあり

縄文土器のようでもあり

一度見たら忘れられない

インパクト粘土とかも

すごくその見てて思ったんですけど

いっぱいこ食感が

すごく気持ちいいと思うんですよね

とってもサーチで

その食感の都合調査とか心地よさっていう

身体的なものが多分根底にあっ

てその中で多分その心も柔らかくなってきて

工事自由に自分の内部を外に出せるという

こうだか準備になってる気がするんですよ

ねその可愛らしくなるのは

その沢田さんのあるその人間性と

可愛らしさとか愛嬌とかなんか

そういうものによって

この形に落ち着いてるのか

なっていう気はします

これは何ですか

恋しないの

ちょっと待って何なのなんなら教えてください

作家小野正嗣さんを興奮させる謎の物体

雑誌やチラシを切り刻み糊付けした紙の塊です

女のそうなんですか

いしかと思った紙を貼り付けて行くの

こういうのが夜中にあるって

嬉しいですよねこれはいいとあのですね

あの想像上の生き物のなんかこう

毛皮とかひふみたいですよね

川上健治の油彩作品

迫力に満ちた作風には理由があります

もうちょっと前にしてますか

何のでこの人は

何か書かなく書きたいものが

こう湧き上がってくるじゃないですか

ありがとうなんかその頃には遠隔操作できない

お腹痛いから下のすごい力を受け取る

邪魔されてる

それにも負けないでを筆を持ってね

屈することなく

その自分の命をここに

こう描きつけてるってんですかね

描いてるっていうかポスカ売ってると普通

興産って午前助けてあげてると

よこさんはされてないですよね

そうですねむしろクラぽこ天に向かってね

自分の存在をここのえ達は視聴してるって

ここにいるって言うことはね、力強く宣言されてるんだと思いますよね

構えてますよねなんかね

いろんな女がある

無数の目の奥に潜むのは空想上の生き物たち。

アメーバ状につながり無限に広がっていきます。

なんだろうな何だろう

何か瞳の中にいる生物が

一人も優しそうな人がいないですよね

全て敵印象が

他人からの冷たい視線に怯えていた

かつての自分それを乗り越えたはずの今の自分

僕には感じない感情だと

思いますねこれで

たまたま撮った色を使ってる

適当な敵とっては何回になるんですよね

なんとなく18歳で上京し、人目を気にせず強く生きると決めたりゅうちぇるさん。

次第に口数が少なくなっていきました。

福井誠さんの作品が目に飛び込んできた瞬間。

「僕と違う繊細さを持っているって感じたんですよ。その瞬間に色んな感情が出てきて言葉を失っちゃったんですけど。それって冷たいんじゃないかって思っちゃったんですよ。やっぱりでもと泣け

やっぱり共感できる所

探そうと思っても色々考えても

もっとわからなくなるし

それが失礼ですからなんか

と思っちゃったんですよ

だから多分ですけど

分かったっていう感情で言葉に説明するってことはある程度そこにある

なんか相手っていうものを自分なんか

その論理っていうか自分の表現の中で

そこ中に入れ込んでしまっていうか

そこに閉じ込めてしまうって

いうことじゃないですか

鈴木まりえさんの他の作品があって

その作品は言葉にできなかったんで

苦しい小物をの闇横を抜けてあるよ

そこを通過しながら

絞り出すように描かれたものだとすると

なんかなかなかそれをこう

なんか台になんか消化できるって言う風に

も言っていいのかなっていうふうに

コメント返信はね

そういう風にこうあの感じもするんですけど、何か僕のような人間は無駄なことベラベラしゃべって言葉でなんとか子自分にふに落ちようとする

卒業させようとしますけど、でもやっぱり腑に落ちないってことも

大切なのかなとだけど

理解できないからあなた

のことを受け付けない

認めないって言うんじゃなくて

理解できないけど

認め合うっていうような柔らかい大人になりたい。

あの5年後10年後また同じ作品拝見させていただけたらなと思いました。

それはなぜですか

今は自分の持っている経験でしかやっぱり見れない部分もあると思うし未来の自分でわかるようになったとか、そういうことも絶対にあるなって何となく感じるんですよね。

いつも以上に自由の意味を噛みしめる夏。

まだまだたくさんのあるがままの作家があなたを待っています。

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aerith
ガジェット愛好家です。世の中にあふれるモノゴトはすべてヒトが作り出したもの。新しいモノの背景にある人の営みを探るのが大好きです。発見した情報はまとめて発信しています。