美の壺 「奇跡の琥珀(こはく)色 ウイスキー 」

ウイスキー

ストレート・ロック・ハイボールはもちろん、数滴の水を使う「極上の味わい方」とは?▽ ウイスキー の父・竹鶴政孝の蒸留所では、蒸留器「ポットスチル」に注目!昭和9年から石炭を使い続けるのは?▽3000もの原酒を自在に組み合わせる、腕利きブレンダーによる「ブレンド」の現場に潜入!▽埼玉県秩父の蒸留所がこだわる、国産ミズナラ樽での熟成▽北海道厚岸のピート(泥炭)が生み出す、深い味わい!<File536>

放送:2022年10月24日、2021年4月23日

美の壺 これまでのエピソード | 風流

美の壺 「奇跡の琥珀(こはく)色 ウイスキー」

大麦の麦芽や穀類を原料に蒸留したウイスキー。ストレートはもちろんロックやハイボールなどそれぞれで香りや味わいが変化します。樽の中に入れ三年から数十年熟成。そして出来上がるのは奇跡の琥珀色
今や世界五大ウイスキーの一つに数えられる日本のウイスキー。北から南まで全国におよそ二十の蒸留所があります。それぞれの時にそれぞれの職人技がありました。普通のウイスキーをブレンドし作られる味わい。ちょっとこれ可愛いありますね。近年注目される日本ならではのある手間と時間をかけて作られるウイスキー。今回は愛でて飲んで楽しむウイスキーの奥深い世界をご案内します。

東京六本木にウイスキー専門に扱う店があります。ここに揃うのはおよそ二千種類のウイスキーです。さまざまな飲み方によってウイスキーの香りや味わいの違いがありますので、それぞれの楽しみ方でお飲みになっていただければと思います。

王道はストレートウイスキーで、そのものの香りと味を楽しむ方法です。おすすめのグラスはチューリップ型のテイスティンググラスです。グラスを斜めにしてゆっくり回すと、グラスのふちに沿ってウイスキーが流れ、アルコール度数を見たり、粘度を確認したりできます。琥珀色の液体をゆったり楽しんでください。

次に、ウイスキーに少量の水を加える方法があります。水を加えることでウイスキーの味が変化します。特に大きな変化があるのは、ウイスキーのアルコールでマスキングされていた香りが開放されることです。穀物や様々な果実の香りが引き立ちます。水を足すことでアルコール分が弱まり、閉じ込められていた様々な香りが顔を出します。

こちらはロックです。氷を入れることでさらに変化が楽しめます。氷とウイスキーが混ざり合い、氷が溶けることで香りや味わいが徐々に変化していきます。これがロックの醍醐味です。

おなじみのハイボールでは、アルコールの刺激が影をひそめ、爽やかな香りを楽しむことができます。深い魅力を持つウイスキーで、人生をかけて追い求めたくなるお酒です。

今日最初のツボはクラスに広がる無限の個性


日本で本格的なウイスキーが誕生したのは昭和4年で、指宿の父と呼ばれる竹鶴政孝の尽力によるものでした。大正14年、当時勤めていた酒造会社の命を受けてスコットランドに2年間留学し、日本人に本物のウイスキーを飲んでほしいと、本場で学んできたことを12冊にぎっしりと書き込みました。いわゆる「竹鶴ノート」です。このノートを元に、日本の本格ウイスキーの歴史が始まりました。

北海道余市町。現在も当時の手法を受け継いでウイスキーを製造している蒸留所があります。

こちらでは「ポットスチル」と呼ばれる蒸留器を使用しています。ポットスチルは発酵した原料を加熱してアルコールの蒸気を取り出すための装置で、この形状がウイスキーの味に影響します。ポットスチルの特徴としては、上部がまっすぐに伸びた形状をしており、障害物がないため、加熱されたアルコール蒸気がまっすぐに回収されます。これにより、原料由来の複雑な香味や力強い香りを引き出すことができます。

こちらのポットスチルは中央部が膨らんでおり、アルコール蒸気がこの膨らみで対流を起こすため、味がまろやかになります。また、加熱方法にも特徴があります。昭和9年の創業時から石炭を使用しており、このこだわりは今も受け継がれています。石炭を使用することで、香ばしい香りが加わり、原酒に深みが出るといいます。

石炭の火力の調節は、加熱の明るさやフタから見える煙の状態で行います。煙が両端で暗くなる場合は、石炭の効率的な燃焼ができていないことを示しており、そのため固まって燃えていない石炭を取り除き、空気の流れを良くする必要があります。

蒸留された原酒は無色透明ですが、これから長い年月をかけて熟成し、琥珀色のウイスキーに変わります。

長野県上伊那郡宮田村。雄大な駒ケ岳を望む場所にウイスキーの蒸留所があります。今年発売予定のウイスキーのブレンド作業が行われており、チーフブレンダーの宮内はじめさんが担当しています。宮内さんは、様々な樽の個性を組み合わせてひとつの調和の取れた味に仕上げる作業をしています。

蒸留した原酒は木製の樽に入れ、3年から数十年熟成させます。樽の熟成度合いを見極めることが重要で、宮内さんによれば、同じ貯蔵庫内でも一段目と五段目では全く味が異なります。上の方が温度が高く、熟成が早いからです。樽の中のウイスキーはひとつひとつ味が違います。

約3,000本の樽から50本から100本を選び出し、ブレンドしてひとつのウイスキーを作り上げます。香りや味を見極めながら、ウイスキーの割合を決めていきます。ブレンドによって調和が生まれますが、個性の強い原酒を組み合わせることで、最終的にはダイナミックな調和のある輪郭が出来上がります。この過程で、生命感、調和、躍動感が表現されるのです。

今日二つ目のツボは時を重ね

埼玉県秩父市。創業わずか17年の歴史ながら、世界から注目されている蒸留所があります。この蒸留所では、約数千もの樽でウイスキーが熟成中です。蒸留所のアクト一郎さんによれば、ウイスキーの味は樽の中で少しずつ減少していくため、その量を「天使の分け前(エンジェルズシェア)」と呼びます。この現象は寒暖差が大きいと大きく進行するため、寒暖差がウイスキーの美味しさに寄与していると考えられています。

樽の種類は現在20種類ほどあり、アメリカのオーク材で熟成させたバーボン由来の甘味が特徴です。また、ヨーロッパのオーク材で熟成させた後、赤ワインを熟成させた樽も使用しており、それぞれの樽によって様々な味と香りが生み出されています。

アクトさんが特にこだわっているのは、ミズナラの木で作られた樽です。ミズナラは海外ではほとんど使われない、日本のウイスキーならではの樽です。ミズナラの木には、ヨーロッパやアメリカのオーク材とは異なる非常に魅力的なフレーバーがあります。例えば、日本の神社や仏閣で感じる香りや高級なお線香のような香りが特徴です。

アクトさんは、納得のいく樽を作るために6年前から樽作りも始めました。使用するのは北海道産のミズナラで、職人が5センチほどの木を組んでいきます。ウイスキーの味に影響が出ないように、釘は一切使いません。樽の内側を焦がすことで甘い香味成分が生まれると言われています。

ミズナラの樽は非常に難しい素材で、水漏れを起こしやすいため、一樽一樽をチェックして修理する必要があります。ミズナラの樽で10年近く熟成させたウイスキーは、甘い香りと麦芽の香りが複雑に絡み合い、豊かな風味を生み出します。

東京目黒区の個人宅には、壁一面におよそ2,000本のウイスキーが並べられています。集めたのはウイスキー評論家でコレクターとしても有名な山岡秀雄さんです。山岡さんは、ウイスキーが非常に複雑な魅力を持ち、味の深さが分かりにくいことに魅力を感じています。ウイスキーの個性は原料や樽の種類、製法、熟成期間などさまざまな要因によって変わりますが、もう一つ大事な要素が「テロワール」です。

山岡さんによれば、ウイスキーはその土地の空気や環境を反映するため、海に近ければ海っぽいニュアンスが、森林に近ければ森林の影響が感じられることがあります。長い期間の中でこうした環境の影響を受けるため、テロワールもウイスキーの重要な要素とされています。

今日最後の壺は「大地が育む色」

北海道の東に位置する発揮し町には、町の中心近くに広がる湿原があります。神戸牛湿原はラムサール条約にも指定されており、中にはウィスキー作りに必要なピート(泥炭)が豊富に埋まっています。ピートは長い年月をかけて植物が泥状に炭化したものです。

湿原の近くには、そのピート層を通ってきた水が流れています。この特別な環境に魅せられて、五年前に新しい蒸留所が作られました。部長の竜崎勝さんが率いるこの蒸留所の目標は、スコットランドのアイラ島のようなウイスキーを作ることです。

竜崎さんは、スコットランドの気候に似た場所を探し、最も近い気候が発揮し町であると判断しました。蒸留所では、ピート層を通ってきた水を使い、マッシング(麦と水を合わせてお湯にしたもの)を行っています。ピートを通った水は非常に丸みがあり、甘みを持っているため、ウイスキーの味わいにとって重要です。

発酵が進んだ後、貯蔵庫は海沿いに位置しています。海からの霧が多い場所を選び、ここでウイスキーはゆっくりと熟成され、深い味わいが生まれます。この大地が育てたウイスキーは、発揮し町の自然の恵みを反映しています。

商品情報

竹鶴
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NHK連続テレビ小説「マッサン」の主人公のモデルとなったのが、日本ウイスキーの父と呼ばれ、ニッカウヰスキー創始者でもある竹鶴政孝です。その名前を商品名としたのがこのウィスキー。長年の貯蔵で生まれた、熟成した奥深い香りと重厚な味わいがたっぷりと堪能できる逸品です。

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マルス信州蒸溜所は長野アルプスの標高2,625mに位置し、日本で最も標高の高い場所にあるウイスキー蒸溜所です。長野の豪雪地帯と温暖な気候は、ブレンデッドとシングルモルトのダイナミックな製品に、柔らかで繊細な氷河水を豊富に供給します。

新型コロナウイルスにより苦境にあるBARや居酒屋など飲食店を応援することを目的とした「飲食店専用ボトル」としてリリースされた商品です。ジャパニーズウイスキーにこだわる創業者肥土伊知郎が、秩父の風土に根差した製法で手づくりに拘りモルトウイスキーを生産しています。

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新興蒸留所として人気の国内ウイスキー、厚岸蒸留所ウイスキー。中でも二十四節気シリーズは人気で、定価ではなかなか手に入りません。貴重なシリーズは販売と同時に売り切れることが多くプレミア価格でないと手に入りにくいのが特徴です。

こちらが定価になりますので、この価格を目安に購入しましょう。
・厚岸 シングルモルトウイスキー 寒露:16,500円
・厚岸 ブレンデッドウイスキー 雨水:11,000円
・厚岸 シングルモルトジャパニーズウイスキー芒種:16,500円
・厚岸 ブレンデッドウイスキー 処暑:11,000円
・厚岸 シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬:19,800円
・厚岸 ブレンデッドウイスキー 大寒:13,200円
・厚岸 シングルモルトウイスキー 清明:19,800円
・厚岸 ブレンデッドウイスキー 大暑:13,200円
・厚岸 シングルモルトウイスキー 大雪:※円(2022年11月下旬発売?)
・厚岸ウイスキー SARORUNKAMUY(200ml):5,500円
・厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 1(200ml):3,630円
・厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 2(200ml):4,400円
・厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 3(200ml):6,380円
・厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 4(200ml):4,180円