日曜美術館「 オラファー・エリアソン ひとりが気づく、世界が変わる」

オラファー・エリアソン

ロンドンの美術館に“沈まぬ太陽”を作り、ニューヨークのブルックリン橋に“巨大な滝”を作った オラファー・エリアソン 。科学者を含む100名を超えるスタッフを率い、時に億単位の金をかけて、地球環境問題など、まさに今考えるべき問題に真っ向から取り組む。来日がかなわなかったオラファーにも、テレビ電話でインタビュー。新型コロナウイルスが蔓(まん)延する中での、アートの果たす役割などを語り合う。

【出演】上白石萌歌松尾貴史長谷川祐子、オラファーエリアソン

放送:2020年4月26日

日曜美術館 これまでのエピソード | 風流

日曜美術館「オラファー・エリアソン ひとりが気づく、世界が変わる」

ニューヨークに突如現れた巨大な滝。

イギリスの美術館の中に燦々と輝く太陽。

そしてロンドンの街中にはグリーンランドから運んだ氷河の塊。

仕掛けたのはアーティスト・オラファー・エリアソン。

圧倒的な体験がもたらす新たな気づき。

その気づきが、人々の行動すらも変えて行く。

「頭の中で知っているだけのことは、必ずしも行動に結びつきません。体を通じての実感や個人的な体験こそが実際の行動につながっていくのです。自分自身の行動を変えてみよう。自分が気候変動の問題にどう関わるのか考えてみよう。そういう思いになるのです」

そんなオラファーの作品が東京にやってきました。

しかし公開が延期。

そこでこの二人に展覧会の魅力を伝えてもらいます。

「ずっと無邪気に遊んでられる」

アートに触れて一人が気づく。

一人また一人世界が変わる。

今注目のアーティスト、オラファー・エリアソンの世界へようこそ。

日曜美術館です。

今日は東京都現代美術館に来ています。

世界中でとても人気のあるアーティスト、オラファーエリアソンを今日は取り上げます。

早速ゲストをご紹介しましょう。

キュレーター長谷川祐子さんです。

展覧会を企画した長谷川さん。

オラファーの才能にいち早く目をつけ、16年前その作品を日本の美術館で初めて紹介したキュレーターです。

ニューヨークの川に人工の滝を作ったりとか、壮大な作品を作っている印象がとても強いですけども、このアーティストいってどんな人なんですか。

「自分の作る自然の要素を用いた美しい作品によって、皆さんに一緒に感じてもらう。感じた後でアクションを起こす。一人一人のアクションがいかに世界を変えて具体的な活動につなげていく。オラファーは直接に解決を与えない。でも一人一人の心に自然とか今起こってエネルギーの問題の気づきを巻き起こすことによって世界は少しずつ変わっていくんだという風に言っています」

この作品どう見ればいいんでしょうね。

淡い色彩が画面に漂う花のように施されています。

そしていくつもの丸。

タイトルも不思議です。

では解説は作者であるご本人にお願いしましょう。

「あなたが会場で最初に見る作品があの三つの水彩画ですが、光をイメージして作りました。

平らなテーブルに紙を置き、その上に氷河を置いて作ったんです。氷河はアイスランドとグリーンランドから持ってきました。だいたい15000年から2万年前のものだと思います。

1キロほどの塊を紙の上に置き、溶けていくところに絵の具を垂らすんです。

その色彩が広がっていく様子はとても魅力的でしたよ。そして私はここに規則性のある形をドローイングで加え、より確かな存在感を出すようにしました。

私はこの作品で美術館に入るあなたに向けて光が放たれるような特徴を持たせようと思いました。この光が私のちょっとしたgreeting。ご挨拶なんです」

では次の展示室へ。

「キラキラしている。反射がすごい部屋の壁面とか天井とに反射して写り込んでる」

ガラスと鉄でできた、光り輝く立体作品。

作品名は太陽の中心への探査。

中心に明かり。周りにもうひとつの明かり。

まるで太陽を中心に公転する惑星のよう。

その光は幾何学的に組み合わされたガラスを通り複雑な色彩となって壁や床に現れます。

「形状も光り方も全て計算して効果を計算している」

「こんなんできちゃったってことありませんか。最初から計算してると結構何か予定調和でつまんなかったりするんですけど、自分でいろいろやってみて、クリアしたら面白いじゃないって思ったところで造形的に繋がってしまった。オラファーエリアソンスタジオは専門家がいて、工学の専門家とかレンズに関する研究者とかいろんな人が120人もいるので今までできなかったことができちゃったという気持ちになります」

今回初めてオラファーの作品に触れる俳優の上白石萌歌さん。

「ありました。オラファー・エリアソン。時に川は橋となる。ちょっとこの文字じゃね

どんな展示なんだろうって思いますよね。まる。まるが並んでいる。この中にあるのがなんだろう」

展覧会のために作られたオラファーの新作です。

「すごい線がたくさん入り混じってて、外側の方が線が濃い。重ねてこうギザギザしてる感じがあります。しかも全部違う模様って言うか。何ですかこれは。すごくくだらないことなんですけど、幼稚園の時にバスで送り迎えしてもらってて、そのバスの中でその車の揺れがあるじゃないですかそれを利用してペンを立ててギザギザして遊んでたんですよ。それを今思い出しました。何ですか」

壁にはどのように作品が生まれたかの解説が書かれています。

「作品の輸送箱には旅の道中の動きを記録する装置が取り付けられていました。振動を感じてながらの線だったってことですか」

実はオラファーは以前からある試みをしていました。

電車の中にこんな装置を据え付けます。

揺れによって独特の線が現れる。

この原理をもとに作品が生まれたのです。

「私たちはどうやったら環境を壊さずに作品をこのスタジオのあるベルリンから日本へ送ることができるのかを考えました。そして鉄道を使って運べることを知ったんです。そこでドローイングマシンを作りました。それは昔私が父と一緒に使った機械を参考にしたものでした。よく父と船に乗った時にその揺れでドローイングを作ったんです。それはまるで海自体がドローイングをしているようでした。今回の作品も地球そのものが鉄道をペン代わりにしてドローイングしたと言えると思います」

「すごいちょっと今幼少期の自分にびっくりしてますね。面白いなー。なんか輸送の途中でいろんな景色が見えたりとかいろんな温度とか言語も違うところをたくさん行ったりしたと思うんだけどなんかそういうのが想像できますね。面白い。なんか全部同じものじゃないから移ろいみたいなのも感じますしちゃんとこういろんなところを通って時間をかけてていう感じが通ってくるって言うか。いかにも郵便物を送っても1日2日でまたいて国内だったら届いたりとか。それこそメールとかもそうですよね。0.3秒ですごい速さで届くわけだから。元々の距離とか技術が発達する前の時間の長さとか距離とか感じさせてくれますね」

「一気に明かりが落ちて。すごい。キラキラしている。色合いがすごく懐かしいんですよ。小さいころって魔法とか好きじゃないですか。アニメの影響もあると思うんですけど、そういう色あい。なんか懐かしい気持ちになりますね」

「ちょっと暗くなって。壁に何か反射されて。これは凸凹の多角形が」

さてこの方はどう見るでしょうか。タレントの松尾貴史さん。

「何か入った時にキラキラ光る星みたいな物体だなーって思ったんです。多面体だと思ったんですけどね。不規則っていうか整然としてないですね。歪んでるっていうか。太陽っていうイメージでもないかな。太陽の活動がありますよね。フレアが出たり黒点が活動を色々するじゃないですか。ああいうことなんですか。核融合みたいなエネルギーの放出みたいなものかもしれないし」

この輝き本当に太陽によるものなんです。屋外に置かれたソーラーパネルからエネルギーをもらっています。

「すごいこと考えるね。効率優先ではまず思いつかないですね。ほとんどの芸術ってきっと非効率なものじゃないかなと思いますね。特に何か伝えるためにストレートに本って書いても説得力なくて、人に想像力を働かせるきっかけとかシステムを提示して、そこから思ひ巡らしている間にその非効率の中から感じ取ってもらう方が強く長く残るんだろうなと思いますね」

「また少し暗い。飾り忘れてますよ。ここに7つの光源が。あーなるほど面白い。何ですかこれ近づくと。わーすごいね。オプティカルアートですね」

仕掛けはこの7つの光。それぞれの光はその補色の影を生み出します。

黄色の光なら青の影。緑の光なら赤の影。

「美しい。まずなぜこうなってんだろうって思わせてくれるところにこういう造形美があるって言うのがね。美しいもんだろうなあと思いますし。グラデーションのように見える流れがでも一瞬たりとも同じ形の造形にはならない。ずっと無邪気に遊んでられるな」

「こういう人形はありますよね。自分一人だけ真ん中にいて、何人か従えて踊り手がいっぱいある。面白い。自分すら作品になるんですね。作品って用意されていてみるだけだと思いがちだと思うんですけど自分が作品になる」

そうあなたが作品になります。

タイトルは「あなたに今起きていること。起きたこと。これから起きること」

「色が濃いのが今立ってる自分っていう解釈だとしたら、この寒色系の色なのか暖色系の色なのかどっちかが未来なのか、過去のかなんか。寒色系を見るとなんとなく悲しい色とか苦しい色みたいに思うんですけど。暖色系って楽しいとか嬉しいみたいなイメージがあるから、私的にはこの暖色系が未来なのかなって思いますね。なんか先の見えないことって面白いし、よくわからない未来に思いを馳せるのってすごく楽しいと思うからそういうポジティブな未来」

「私がここに壁に近づくと色が濃くなって、もっと多くなれと思うとちょっと後ろにずんずん行かれると。小野さんがなさったことって影によって動かされましたよね。だからご自分で動こうと思うよりも影を見ながら影があなたを動かす」

「その手もある。まんまと引っかかったんですよ」

「昔そういう影影遊びってされませんでした。こうやって色々パフォーマンスとしたりとかこうやってみたりとか。影に誘われて行ってどんどん自分のアクションが生まれて来る。光ってものを見るだけじゃなくって自分の本当に色々な行動とか心を誘ってくれる力があるっていう。そういうところオラファー・エリアソンは気が付いてもらいたいなと。それがオラファーのシンプルなあの考え方ですし皆さんに気が付いていただきたいこと。難しくないんですよ」

「彼はオペラとかバレエの舞台芸術のデザインもしてるんですね。そういう意味では本当に表現の万能なマルチプルな活動が出来る。現代のダヴィンチ的なそういう面があるのではないかと思います」

「彼はお父さんがアイスランドの出身なので、ご両親が離婚されたこともあって、お父さんに会いに絶えず夏はアイスランドで過ごしてたんです。お父さんはアーティストで絵も描けば彫刻なんかも作り、料理人でもあるんですね。だから非常にユニークなお父さんだったようです。例えば彼の想像力を刺激する言い方として、あそこの山の稜線を見なさい何に見えるみたいという質問するらしいんですよ。するとオラファーはあそこは花であそこは巨人の寝っ転がってるみたいに見えるって言って、その絵を書くとすごくお父さんが喜ぶって言う。

小さい頃から想像力によって何に見えるどんな形が生まれてくるのかっていうことを絶えずお父さんから学んだというところがあるようです。作品中にあなたのっていうタイトルがとてもたくさん出てくるんですけどそれはあなたにしか見えないあなたのっていうことがポイントなんでその他も最初はお父さんと彼との対話の中で生まれたといいます」

父と過ごしたアイスランド。

そこにはいつも圧倒的な自然がありました。

むきだしの大地に緑の草やコケ。

氷と雪の白銀の世界。

美しいとはなんだろう。その自然を36歳のオラファーはイギリスロンドンに持ち込みます。

美術館テートモダンの一角。

現れたのは巨大な太陽。

オラファーが仕掛けたフェザープロジェクトです。

降り注ぐ光の下で人々は思い思いの反応を起こします。

このプロジェクトでオラファーの名は一躍世界に広まります。

5年後にはアメリカニューヨーク。

現れたのは巨大な滝。

ニューヨークシティウォーターフォール。

オラファーは四つの滝を大都会に実現させました。

17億円が投資されたニューヨーク市を巻き込んでの壮大なプロジェクト。

170万人がその大きさと時間とともに変わる表情の美しさに息を呑みました。

経済効果は75億円を超えた。

アートで街が変わる。

さらに2012年。オラファーはこんな物を開発しました。

リトルサン。

太陽光で充電する手のひらサイズの携帯ライト。

実はこれ商品化され実際に販売されてもいるのです。

先進国での価格は50ドルほどとちょっと高め。

しかしその利益を使って電気のない地域で安く販売。

暮らしを助けます。

オラファーは言います。「アートは強い」

「60枚の写真。これbeforeafterってこと。左が以前で最近は右。同じアングルから撮ってる。すごい変わってますね。最後なんて同じ場所と思えない」

オラファーは20代の頃からアイスランドの自然を撮影してきました。

記録することで自分が影響を受けた自然との関係をより深めていきました。

1998年夏。小型飛行機を借りアイスランドの氷河を撮影しに行きます。

ただ美しい景色を記録したいと、シャッターを切りました

その20年後再び同じ場所に向かったオラファーが目の当たりにしたのは信じられない光景でした。

「これは氷河ではない。私は操縦士に言いました。場所を間違えたようだからもう一度周り直してほしい。そこに氷河があるはずだから。こんなことなら10年前に、いや1年ごとに記録しておけばよかった」

20年をかけて生み出した作品。

溶ける氷河のシリーズ。

「不可逆的。ここら辺、削られて開発されて施設ができてる。道も通ってるもんね。本当に人間が地球にとってはバクテリアみたいなもんだって言う人いるけど、バクテリアみたいなもんが物凄い事をしでかしてるって言うことに気づかないと効率優先でいると全員がアウトになるっていうことをちょっと今、この作品からも見せられてるような気がしますね。温暖化の映像でしょっちゅう氷山がスローモーションのように崩れていくところ繰り返す見せられてるでしょ。ああいうので危機意識を持つ人もいるでしょうし、人によっては毎年のように起きてんだよ。今に始まったことじゃないんだよっていう人もいますけど、あれもちろんイメージ映像だけど。これイメージ映像じゃないですもんね。本当に30箇所でこういう風になってるんだっていうこと」

オラファーはグリーンランドのフィヨルドに向かいました。

そこに浮かぶ氷の塊を採取します。

そしてロンドンの街中に置くのです。

その氷は何万年もの時を超え、今目の前にあるもの。

溶けたら二度と戻らない。

オラファーの言葉です

「頭で理解するのではなく、体験することであなたはその世界とつながっていることを実感できるのです。だからこそ自分の行動を変えてみようと思えるのす。つながっているその世界のために」

一人一人が気づく。

あなたが変われば世界が変わる。

「偶然、庭でホースで水撒いてる時なんかに太陽の光の方向で自分が見てる方向にすごく綺麗に虹が見えることありまいよね。あの時すごく得した気になるんですけど、それを作家が作って見せてくれるって言うのが素敵ですね。虹の角度が違いますから」

「子供の時は虹見たらみんな同じ虹を見てると思ったけど、実はこうやって近くのスケールで考えたら一人ひとり全く違う虹だったかもしれないですよね」

「あなたの虹をあなたのあの位置から見てください。見つけてくださいという作品です。皆さんは共有されてる記憶とそれから新たなまあ仕掛け。発見その体験によってもう一つ先まで想像力を本当にそのあの増強するっていうか先に進めていくということ」

「一人一人が僕もあなたも一人一人がそれを経験してるって事を共有できるって事」

「だからそこでもう一度虹の美しさを共有したという共通の体験みたいなものがベースになっている」

「一人一人は違うそこはやっぱり重要なポイントで体験が進化されていく。深まっていく」

「なんかすごい儚いものを映してるような。自分が今何を見てるのか途中で見失いそうにもないし、でもそれを必死に見ようとしてる感じ。触るとなくなるんですよ。それが不思議。オラファーさん自身がそういう目に見えないものみたいなの大事にしてきた人とって言うか。子供の頃に純粋な目で見た時のものとか、目に見えないものを信じようとする力みたいなそういう感じらしい」

この展覧会のタイトルにもなっている作品。

時に川は橋となる。

「うち風呂がね、直射日光が入る角度があるんですよ。時間帯によって。その時にお風呂の壁や天井にこういう模様がずっと出てんですよ。それは飽きずにずっと見ててのぼせるっていうことがあるんですけど」

「水族館みたいですね。生き物を観察してるみたいな。でもよく見たら一瞬も同じ形はないですね。どんどん変化していく。同じ動きをしてるようでしてないですよね。それぞれ違くて。水たまりとか踏んだら今まで映ってた空とかが何もなくなったりするから水溜り思い出しますね。今はピザの土台みたいな感じですね」

「なんか餃子の皮がゆらゆらしてるようにも見えるし、だんだん波風が治ってまた平和になったらまた波風立つみたいな。これも本当に設置されてから一度たりとも同じ造形になったことないんでしょうね。偶然の重なり。地球がいろんな偶然のおかげで暮らせる環境になってるって言うね。思い起こすこともできますね」

展覧会のために来日するはずだったオラファー。

開幕は延期。

それは叶いませんでした。

そこで、会場とベルリンのスタジオをインターネットで繋ぎました。

「今回、コロナの影響下での初めてのインタビューです。こんな形ですがとても嬉しいです。離れていてもこうして繋がり会えることが分かったんですから」

時に川は橋となるというタイトルはどのような意味を持っているんでしょうか。

「私たちは物事の見方を知らないがゆえにいろんなことが見えないと思うんです。でも見方を変えれば見えなかったものが見えてきます。それは不可能なことを可能にすることと通じます。見方を変えれば川は橋となるんです。世界をより良く理解するために見方を変える視覚を変化させる。そういう意味でする。この作品はそのタイトルにぴったりだと思いますよ。なぜなら今まで見えなかった時間がほんの少しの水と波だけで見えるようになったんですから。環境や気候に関してもそうです。見方を変える近くを変えることで地球を今一度理解し直さなければならないと思います」

想像力を変容させるためにショッキングな方法とか残虐さとか

そういう手法を用いて人々の意識に働きかける。社会に働きかけるっていうアートの手法もあると思うんですね。

「残虐な方法を用いているかどうかはそれほど問題ではないでしょう。アートとは一つの言語であり、形式です。より重要なのはその

アート作品がなぜ作られて何を伝えようとしているのかです。伝えることによって使う言語も変わってくるでしょう。ただ私の場合より私的な言語を使いたいと思っています。私はアートとの繋がり方を民主化したいんです。美術館には美術をよく知る人だけでなくあまり知らない小さな子供やお年寄りにも来てほしい。初めて来た人にとっても居心地のいいところにしたいんです。まるで私と一緒にあなたが展覧会を作っているような気持ちになってほしい。私は製作者ではないしあなたは消費者ではない。私とあなたは共同制作者なんです」

今のアートのアクセスを民主化したいとおっしゃってましたけども今我々がはそのアートに直接アクセスできないような状況に今なっていると思うんですねそれは今そちらはベルリンで同じだと思うんですけども、こういうようなあの状況にある時に我々一体どうやってアートにアクセスすればいいか。こういう時にですねご自身の作品についてですね人々がアプローチしてもらったらいいかっていう風には考えられますか。

「人々が美術館に来られない今アートが自宅へ行ってくるという方法を見出す必要があるのかもしれません。この数ヶ月間、リビングルームで楽しめるような拡張デジタルアートという案に取り組んできました。私からデジタルの彫刻をあなたに送れば、あなたの部屋で私の個展を開くことができます。そしてこれは、まだ公表していないのですが自然を部屋の中に取り入れることができないかと考えています。外に出られないなら、逆に外を部屋の中に入れたらどうだろうと。もし太陽の光や雨に虹や雲といった自然が取り込めたら面白いじゃありませんか。まだ問題はありますが、そんな形の展覧会があなたの部屋で実現できたらいいと思っています。確かに今私たちは物理的には離れています。でも社会的には繋がっていなければいけないと思うんです。その役割をアートは担うことができると思います。なぜなら他の手法では表現しづらいことでもアートであれば表現することができるからです。あとはただ鑑賞する対象ではなくプラットフォームのような場所なんです。人々が集まりそれぞれ違った意見を言い合いその意見を尊重するところ。そんな場所がアートなんです。アート単体では解決策にはなりません。でも物理的ではなく、社会的につながることのできるアートという場所で私たちが対話を交わすことで今何が重要なのかを考えることができるのだと思います」#

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