日曜美術館 「モンスター村上隆、いざ京都!」

2024.04.21.日曜美術館「モンスター村上隆、いざ京都!」

現代美術の最前線を走り続ける村上隆が8年ぶりに日本で大規模個展を開いている。テーマは「もののけ京都」。村上が挑んだのは、風神雷神図や洛中洛外図屏風など千年の都が生んだ日本美術の最高峰。今回特別に制作現場への密着が許された。アイデアが生まれる瞬間や驚きの制作システムなど半年間に及ぶ取材で捉えた創作の舞台裏を紹介する。また、村上が師と仰ぐ美術史家の辻惟雄が展覧会を鑑賞。現代に至る奇想の系譜を読み解く。

初回放送日:2024年4月21日

日曜美術館

日本美術の至宝・風神大神図屏風。それがこんな姿に。そして洛中洛外図屏風も。もののけが遊ぶワンダーランドに大変身。これを書いたのはスポーツご存知現代美術作家・村上隆。破格のアートで世界に驚きを巻き起こしてきた現代美術のモンスター。

カラフルでポップなキャラクターからエネルギー渦巻くおどろおどろしい巨大作品まで。その魅力は世界のトップアーティストをもう引きつける。その村上が京都で展覧会を開催。現代アートとしては記録的な大盛況。

「わかりがいいですね。」

見届けたのは、三十年にわたり村上と指定関係にある日本美術史の大御所。「村上さんの観客に対するサービスのお祭りみたいに飾り立てるという飾りですね課題が二製品受け取っております受け取っております 先生、飾りのありがとうございます。」

今回、制作現場に密着。「わかったひらめきすぎた巨大な虎頭をかかって開けるような状況を作って、 その開けっぱなしの状態っていうのを見せるっていうのが僕らの仕事なんですね 。」芸術家・村上隆の現在進行形とくとご覧あれ。

モンスター村上隆、いざ京都!

村上の製作現場があるのは埼玉の工場地帯。物流倉庫を改造した巨大工房。広さは2700坪。スタッフは総勢百六十人。制作は分業され、24時間、4交代制で作品を生み出している。展覧会のための制作が始まったのは去年8月末。この日は江戸時代の京都を描いた描画を土台にした作品が進行中。原画をパソコンに取り込んでいた。

「これ、ほら見て、ここまでは進んでたけど、今はこれだけしか進んでないんだよね、スパイダーね。それに、今はただトレースしてるだけだから、まだこれからなんだよね。で、村上さんが何をするのかって、みんな待ってるわけだけど、正直、待たれても困るんだよね。だって、まだどうするか分かってないからさ、どうしようかなって感じなんだよ。」


美術館からのオーダーは、国宝である「洛中洛外図屏風」を村上流に再構築することだった。原画には、華やかな京都の都に暮らす1700人もの人々が生き生きと描かれている。構図はそのままに、人物の表情に手を加えて新たな解釈を加えていった。

展覧会にはテーマがあった。「『モノノケ』という概念があって、特に髪の毛はおどろおどろしい存在として捉えられるんです。それがまさに『物の毛』というものです。」

美術館からの依頼は、華やかな京都の歴史の裏側にうごめくモノノケの世界を描いてほしいというもの。村上は洛中洛外図でそれをどう表現するのか。三ヶ月後。

「とにかく金運の代わりのドクロがですね、全然トーン買えましたね。」

村上が新たに加えたのは、町を覆う雲に埋まっている無数のドクロ。平安時代から幾多の戦乱や災害に見舞われた獅子類類の歴史を表した美術館はこのアイデアに満足のようだが。


「ここがやっぱりすごいんですよ。迫力があって、洛中洛外図でみんな仰天してしまうくらいです。『真似したんでしょ?』って思うかもしれないし、俺も自分だったらそう思う。『これってどこまでがオリジナルなの?』って考えちゃうんですよ。」

村上、さらなるアイデアを繰り出す。


「そしたらさ、ここに小野家フラワーが売りとか、やっぱりそういうのがどっかに残ってて、この秋にはフラワーがいるのと、あと風神大臣とかがいるんだよね。物のけを描き加えることになってるけど、洛中洛外図って正直、僕はそんなに描きたくない作品なんだよね。でも、だいたい描きたくない作品っていうのが制作の中で65パーセントくらいかな。つまり、その65パーセントくらいは、すごく描きたいって気持ちで始めるわけじゃなくて、『えー、こんなことやらされるのか』って感じ。でも、やり始めると新しい出会いがあるから、要するにそれを通して自分自身と向き合うというか、自分との攻防になるんだよね。」

半年がかりで仕上げた村上版洛中洛外図屏風。横幅13メートル、色鮮やかに再現された今日の都の賑わい。その中に村上が生み出したもののけの姿があちこちに。そして金箔の雲に浮かび上がるのはあまたのドクロ。


「あ、先生、まだ飲むのも歩けますね。まあまあ、足はちゃんと動いてますよね。すごい、ちゃんと支えがあるから大丈夫ですね。」

展覧会にやってきたのは美術史家の辻惟雄さん。御年91。曽我蕭白伊藤若冲などユニークな画風を持つ江戸時代の画家たちを再評価。奇怪な絵が放つエネルギーに日本美術の隠れた流れを見出した辻の仕事に、村上は大きな影響受けてきた。村上の8年ぶりとなる日本での展覧会とあって、鎌倉から足を運んだ。


「電話 先生、ご視聴よろしくお願いします。さあ、先生、どう見ますか?」「じゃん、これは何をやらかしたんだろう。バカでかいですね。こういうのが出てくるのはちょっと違いますね」「かなり違いますね」「ちょこちょこと見えないところにいる、こういう発想ができるっていうのはすごいと思うんですよ」「いやー、やっぱりね、これは面白いと思う。まあ、こういうのを競うかもしれない。国宝の村上版を作っちゃうなんてすごいことですよね。よく書ききったもんだ」「そうですね、次なる部屋は暗いので、ちょっとお気を付けください。これがこれがおそらくメインだろうと思ったら、やっぱりそうですね。小野村さん。」

空間に浮かび上がる巨大な絵鳥や獣など、四方を取り囲む生き物の姿。これは京都を守る一、二四方詩人というか。描かれたのは京都の東西南北を守るとされてきた四つの神。村上は想像上の神を巨大な画面に展開した。

「やっぱり何のかの知点、これだけど、やっぱり大画面これをこういうふうに堂々とした構成だと思うんだけども、さすが。」

密着取材する中で村上が詩人のアイデアを思いつく瞬間に出会った。


「お願いするということになると、ここは私人層の部屋です。ですから、これは神社。この壁が東西なんで、調べた人が説明します。地震層を調べて、京都には東西南北を守る四匹の神獣がいるんです。」

打ち合わせの最中、何かをかけ始めた。

「あ、あれはわかったちょっとありがとうこの打ち合わせ、平べきすぎた巨大な虎、巨大すぎる虎、見ろ、これ、あの、これももう着いたら出来ただね。」

本人しか分からない詩人のラフスケッチ。創作はここから始まる。

「これやったね、いや、思いつくのが大変だったけど、制作自体も相当大変だったよね。中学も大変だったけど、現場もやっぱり大変だよ。でも、思いつくのと現場での違いは大きいんだよね。そうなんだ、思いつくのが本当に大変だし、アイデア自体がものすごく重要なんだから。」

村上の作品作りには最新の技術が取り入れられている。

「こういう風にAIを使ってやばいです。」

なんとAIまで。

「この 子供のハワイとキャラクターをAIに学習させたここらへんの作品テイストを被せると、こういう風にいっぱい謎が生成されるっていう感じです。」

よく見ると、後ろ足や目などにちょっとした違いがある。

「やばい。でもどうしてAIを使うのかっていうと、普通は絵が描けない人が上手に描くためにAIを使うけど、僕の場合は逆で、崩してヘタっぴにするためにAIを使いたいんだよね。下手っぴというか、文脈がずれてくる瞬間、いわゆるミストランスレーションみたいなものが僕のテーマだったりするんで。例えば、こういうのとか僕の場合はすっぽんなんだけどね。庭で飼ってるすっぽんを描いてるんだけど、途中でどっかの会場みたいになっちゃったり、手が発生してきたりとか、そういうふうに土地を考えてると違うものができてくる。こういうの、面白いよね。」

生まれた虎のパーツを切り張りして構図を探っていく。

「あ、二号、はい、入ってきますこたらふんだろうななんか面白いじゃんい いね、下地ができると実際の大きさで壁に張り出す持たないもんだとね炎があったとて、」

大きな岩の上にうずくまる巨大な虎。しかしこれでは大画面は持たない。最終的に村上は岩の代わりに何頭もの虎を配置。複雑な構図を組み上げた。


「この虎もすごいね。周りの模様の描写が力が入りすぎていて、虎が埋まってしまうような感じだけど、それを防ぐためにこのヒゲを伸ばして、金色の目玉をたくさん開かせているんだ。大画面が力余って、まだまだ膨らんでいきそうな感じがして、このダイナミズムは本当に素晴らしいよ。先生が亡くなる前に褒めたかったけど、アメリカから褒めるわけにもいかないから、せめて自分のところで精一杯を褒めようと思っているんだ。」

次なる部屋は一転してポップでカラフル。

「これはまあ、お子様が村上さんのお子様ランチもよろしくお願いします。」

この部屋は村上の原点となる漫画やアニメなどのオタク文化に発想を得た作品が展示されている。

村上は漫画やアニメが大好きな少年だった。アニメーターになるために絵の技術を極め ようと二郎して東京芸術大学の日本画家に入学。しかしやがて現代アートに目覚め、自らの表現にオタク文化を取り込むようになる。

「僕の一番のポイントはやっぱりアニメが大好きで、アニメがやっぱり日本独特の進化を遂げてルっていうのが、僕らの世界のオタク第一世代の誇りでもあり発見でもあったんですね。でもそれはもちろん細かいディテールなので全然美術の文脈とかに組み込まれていなかったので。」

オタクが原点という村上アートのコンセプトに迫ってみよう。

オタクが原点という村上アートのコンセプト

現代アートの傑作が集められているロサンゼルスの美術館・ザブロードケンケンパイアイです。sps ファインアイテムで移行は止まるのでいいさ。バルーンアートのようなキッチュなイメージをアートに消化させたジェフクーンズポップアートの機種ロイ力点スタインは、コミックの一コマを拡大する手法でアメリカの大量消費社会を鋭く捉えた。テカーシーファミリーエクスプレイシェンダー。村上が打ち出した超二次元的を意味するスーパーフラット。

その誕生から

村上を間近で見続けてきたキュレーターを訪ねた。

スーパーフラットには日本美術の平面性とオタク文化が取り入れられているそしてスーパーフラットが世界を驚かせた作品がある。「マイロンサムカウボーイ」なんとオークションで十六億円で落札された。何がそんなにすごいのか。

「ファニーエンザアイス」オタク文化をアートにするにあたり、村上が重視したのが重曹性。

「これがやっぱりすごい。」

辻さんもこの作品には日本美術の歴史が重曹的に織り込まれているという。


「画家が見てもらいたいのは、この形の広がり方ですね。江戸時代の画家、狩野三節の体重表現や恐怖要因を意識しているようで、屈折した複雑なものになっています。人工的なものになっている点も含めて、村上さんが続けているように思います。男根から放出された液体が木材に触れる様子は、『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』を彷彿とさせるもので、西洋の人々には想像もつかないでしょう。性的な表現についても、日本文化の伝統を取り込んでおり、日本人は男根の表現について罪悪感とは別の視点を持っています。村上さんのスーパーフラットの中には、西洋の長い伝統に服従せず、真っ向から対峙しようとする壮大な意気込みが感じられます。」

村上が切り開いた表現は世界を魅了。人気歌手ビリーアイリッシュもミュージックビデオを依頼した。

村上の試行錯誤が続いていた。

「これは結構僕は今回の目玉だと思ったので相当考えてやりました。」

村上は日本美術を代表する傑作に取り組んでいた。モデルは江戸時代に描かれた風神雷神像。

「この風神雷神も多分決まり事があると思うんですよ全然無視してるんで、最低限のルール守ってもいいかなと思うし、ルールがもし外れてても問題ないやん。」

筋骨流流の体にいかめしい顔つき。それを村上はこんな姿に。さらにこだわっていたのが色。新たなキャラクターに見合う雲のトーンを探り続けていた。


「九月からずっと追っかけてくれているんですが、まだできていない状態で、進行が遅くて困っています。毎日少しずつ変えているんですが、色が決まらずに苦労しています。ぐるぐる回すのは既存の系譜の文脈に沿っているので、なかなか進展が難しいんですね。」

村上は当初、江戸時代の奇想の画家・蘇我昇白の雲の表現を取り入れていたのだが。


「愛してたキャラクターが少し禍々しくなってしまい、可愛らしいキャラクターとはうまく合わなかったんですが、最近になって可愛い色合いが見つかり、少しずつトライしているんですね。可愛らしい色でまとめる方向が見えてきたということが、一昨日くらいにようやく感じられたんですね。これからもその方向で進めていけそうですね。」

村上版風神津雷神図。カラフルな雲に乗り、口笛を吹くように風を吹き出す風神。太鼓を叩いて雷を生み出す雷神。さて、村上の師匠辻さんはどう見る。

「確かに、外人の体から出ているギザギザの電波のような描写は面白いですね。彼らの特色である力強い筋骨が感じられない、現代漫画風の筋肉のないダランとした感じが逆に魅力的です。時代背景を無視して、自分なりの発想で風神雷神をネタにした奇妙な世界を作り上げているという点が、可愛くて面白いと感じますね。自分のスタイルで楽しんでいる様子が伝わってきます。」

展覧会を前に、村上はある問題に直面していた。

「これで116種になったので、良い目標が立てられると思います。京都で出展される作品が書かれたカードもあり、これが展覧会成功の重要な鍵になると考えています。現在、私が一番注力しているのは資金集めです。外国で展覧会を行う場合、安定した状況に持っていくことができるので、美術館での展覧会では完成度に集中できます。しかし、国内では展覧会の成立そのものが大変で、最低限の部分を成立させることに心配しています。」

考えついたのがふるさと納税。カードを返礼品にして展覧会の資金にしようとした。

「本日、展覧会が間近ということで、展覧会の宣伝も兼ねて、動画投稿サイトで寄付の呼びかけをさせていただきたいと思います。それに付随するカードの話や、技術展もふるさと納税など、日本の仕組みを活用して製作費の調達ができるのではないかと思っています。『もののけ京都』という展覧会のカードも作ってみました。それをふるさと納税として販売し始めたのが昨年12月10日ぐらいで、約1ヶ月で目標金額の三分の一程度が達成しています。この展覧会は来年の9月で終了しますが、その時には日本の美術館や美術界に革命的な変化がもたらされると信じています。今回苦しむことが多いですが、未来の芸術家たちにとっては大きな利益になると考えています。」

作品が会場に運び込まれ撮影が始まった。

「これさ、もうちょっとさ、この辺動かしてみたら、一応発動減っちゃうの嫌だな、あれ一回ちょっと情報でやってみましょう。」

オープン直前まで制作が続いていた。

「どこだん狙う前、過去揺らぎ本来あるイメージの風神雷神の力強さをちょっとコメディーっぽくポップな表現をされているというのが素晴らしいなと思います。みんなが笑顔になれるとすごいカラフルですごい気に入っています。こうやって 私らが思い出すだと、京都でこれ展示会してもらえるのはすごい嬉しいんで、やっぱ一番愛深いなと思って、こういうの通ってきてます。

もののけをテーマとした京都での展覧会。蘇我翔白の雲竜図をもとにした作品。

「いや、小学校真っ青っていうか、よく俺を雇用分けにしてくれたっていう感じこちらがそのオリジナル横幅十八メートルの村上版長いタイトルにご注目対先生が村上さんはここから一歩も前進していませんが、それで時間とかかかってるんで腕が落ちてるんじゃないですかそれで書かせてもらったんですけど、ここから超対策の動きが始まりましたねそうです だからこれやっぱり小学校、ああいうパワーっていうものが、土台が被災地にあるから、こりゃお前の力が出てきたってご自身も やっぱりこんなになるとは思えなかったんじゃないですか」「いや、でも先生にご視聴いただいてから」「いやいや、この日の流れが全くありましたから私はやっぱりこういうのを見てると気分爽快っていうのがねやっぱりなんて銀河になるっていうところが多いんで、これがまた今度はこれは今まで買われたこの課題の絵の一番大きいものでしょうねトレードマークのお花が、入道雲の湧き立つ金色のなつぞらに先乱れる 対策も花がみんな、いろんな花の花弁とか口とか、色の組み合わせが妙にバラエティが出てきて、豊かになりましたですね。」「その見ている人はそのバリエーションを楽しむことができる草食性そのもの、まさに飾りの世界だと私は思います。」「そうですね、子供を大人も笑ってみられるような世界へと誘導するところがありますね。」

最後に向かったのは美術館の池に設置された巨大な作品。

「これはまたすごいそうですね、金属紙みたいですかちょうど素晴らしいんだと思うんです。」

高さ十四メートル、黄金に輝くお花の親子水面に金色を移してそびえ立つ。

「大変だったんですけど、ここに混流するまで。」「そりゃそうでしょ。」「本当に太陽のように酸酸と輝いて海上を照らしてるっていう感じが、いろいろもう筆舌のつくしがた き、困難がありましたよと、ここまで来ました。」「村上さんっていうのは本当にアーティスト意識のものすごく強い人だとおかしく思ったけど、そのアーティストっていうものの意識と、やっぱり子供さんの目でも楽しめるよねを作りたいという考えとか、両方がなんかピタッと一つになっている感じで、ウイルスの好奇心をあきたてて見る人を楽しませるエンターテインメントっていう要素をですね、村上さんはやっぱりいつも自分の作品の中に含ませるっていうところがあって、それが村上さんのアートっていう独特な魅力だと思います。まだまだ私と三十違うんですからねこれからが恐ろしいというか、どこまで行くのか、そして今のようなですね、誰もがいると絶望的って言われるような時代にですね、アーティストは逆にその絶望的な状況を肥やしにして太るっていうこともできる不思議な存在なんで、それはやっぱり期待できると思いますね。」「ありがとうございます。」

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