イッピン 「輝け ガラス一粒の宇宙~広島 グラスビーズ~」

広島市で作られるグラスビーズは、その正確無比な形と大きさ、美しい色、1万種に及ぶ豊富なバリエーションで、世界のビーズファンを魅了している。あのニット界のカリスマ・広瀬光治さんもその1人だ。輝きに満ちた極小の宇宙を作り出す驚異のワザとは?また魅力的なアクセサリーも続々登場。フィット感抜群の指輪やネックレス。神秘的な輝きを放つとんぼ玉など、グラスビーズの魅力を新妻聖子さんが徹底リサーチ!

【リポーター】新妻聖子,【語り】平野義和

放送:2018年11月5日

イッピン 「輝け ガラス一粒の宇宙~広島 グラスビーズ~」

まるでカラフルなキャンディ。

でもよく見るとその形は丸や筒など様々。なんだかわかりますか。

ビーズガラスで作られたグラスビーズです。

これを使ってできるのが例えばバック。

全体にあしらえば、まばゆい輝きを放ち、アクセントとして用いてもこの存在感。

こんなエレガントな服にも。

これらを作ったニット界のカリスマ広瀬光治さん。「ビーズは刺繍することで輝きがエレガントであったり、優雅な作品になるので、私たちデザイナーにとっても必要なアイテムですね」

グラスビーズが今日のイッピン。

広島で作られたものです。その品質は世界最高クラスと言われます。その理由は。

「ニットに合わせてきますから、糸が穴の中心に通って編んだときも表情が出てくるということなんですね。そして粒ぞろいということも。広島グラスビーズは私たちにとって使いやすいですね」

広島のグラスビーズは大きさが均一で穴が真ん中に正確に開いているんです。

だから繋ぐとこの通り。

整然と並んだ姿の美しさ。

今広島では魅力的なビーズのアクセサリーも続々登場。

今日は一粒から多彩な輝きを生み出すビーズの魅力に迫ります。

驚きの工程!グラスビーズづくり

六本の川が流れる水の都広島市。グラスビーズの日本有数の生産地です。セレクトショップに広島生まれの洗練されたものが並んでいます。その中にキラキラと輝き宝石のよう。時計の中に並ぶビーズ。一粒一粒の大きさかたち色が見事に揃っています。正確無比のグラスビーズ。どうやって作られているんでしょう。操業年の工場を訪ねました。およそ70人が働いています。製造担当の比江義範さん。「一日にだいたい一億粒作っています」今回は丸い2ミリサイズのポピュラーなグラスビーズづくりを拝見します。まずガラスの原料を1300度のるつぼで20時間加熱します。すると水飴のような生地になります。職人歴10年。中田幸成さん。冷たい鉄板の上で冷ますんですが、冷えた面を内側に折りたたんでいき、生地全体を均一な形にするのがコツなんだとか。この塊から50万粒ものビーズができるんだそうです。生地を筒状にしたら900度の整形炉に入れます。実はこの整形炉。特別な仕掛けがあるんです。それじゃあちょっと下に降りてみましょうか。下の階へ。整形炉の真下です。仕掛けとは整形炉の底に開けた穴。ここから溶けたガラスが落ちてきました。「でてきました」これがグラスビーズの元になるんです。職人歴19年迫田豊さん。棒に巻きつけると 歩き出しました。 どんどん引っ張っていきます。「大体30メートル」どうして30メートルも引っ張っていくのでしょう。ゴールには「管引き機」という機会があり、そこにセット。あとは機械が引き込んでいきます。レールの上に惹かれているのは炭。ガラスは急に冷えると割れることがあります。そこで熱伝導率が低い炭で冷やすんです。ガラスを整形炉から管引き機まで30メートル描けて徐々に冷やすこの工程が管引き。炉の中にはガラス記事の真ん中めがけてチューブで空気を吹き込んでいます。これによって生地は整形炉から出ると中が空洞のガラス管になっているんです。引っ張られたガラス管は60センチに切られます。これが原管。二ミリにするため引っ張る速度を微妙に調節。早ければ細く。遅ければ太くなります。ルーペで原管をチェックしていた迫田さん。突然炉の方に走り出しました。いったい何が。実は原管の真ん中にあるべき穴がずれてしまっていたんです。このズレは空気を吹き込むチューブの位置がずれたことにより生じたもの。機械をどんなに細かく調整しても、炉の中の状態の予期せぬ変化によって、時たまずれてしまうことがあるんです。このままでは不良品ができるばかり。黄色の目印をガラス管につけると元の方にと走り出しました。黄色の印がついたガラス管があっという間に引っ張られていきます。管引き機に戻って黄色の印がつい原管を探し出し、再びチェック。そして「広島」迫田さん。なぜか広島と整形炉側に叫びました。実は地名で方角を表していたんです。工場を中心に市街地がわが広島。山側が集落の名を取って上根。向かって左が道路。その反対は川。黄色は必ず上根側につけます。ここを基準に修正する方向を探し出すためです。だからこの場合は広島の方向に戻すと言っていたんです。身近な地名を使って職人たちは瞬時に分かり合えるようにしていました。広島と聞いた職人は手作業でチューブの位置をずらします。上手くいったんでしょうか。再びチェック。見事ど真ん中。「ちょっとアナログ的なんですが、人の手で人の目で確認して本当に一本手作りなんだって感じだしますね」次に原管を二ミリの長さに切断します。グラスビーズはまだ筒状。切り口はギザギザ。これを丸くしていくんですが。「大事なのが炭粉と切断されたビーズを炉の中に入れ、700度くらいの熱で丸くしていく」ここでもまた炭が活躍するんです。切断されたビーズと炭粉を700度の回転炉に入れます。すると切断面の角が溶けて丸いビーズになるのです。ビーズだけを熱すると隣同士くっついてしまうので、炭粉でコーティングして防いでいました。また炭粉が穴に入ることで、撹拌時に穴が潰れるのも防ぎます。冷めてから炭粉を洗い落とし、艶を出せば完成。美しい輝きを放つグラスビーズができました。まんまるで透明感も抜群。まさに粒ぞろい。「ひとつひとつ同じものを安定して作ってくるのが一番大事なとこ。まさに一粒入魂なんです。位置ミクロンンの違いで歪みが出てくる。2000つ集まると1ミリの違いですね。それを考えながら日々精進しています」たった数ミリの中に詰め込まれた職人のこだわり。これが世界に誇るグラスビーズです。

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