料理のプロも愛用する家庭用の包丁がある。適度な重みがあるので握りやすく、使い心地抜群!しかも「あるモノ」を使えば簡単にお手入れが出来る。これは刃物の産地として有名な岐阜県の関市で作られたイッピン。ほかにも刃をケースに入れたまま使えるので小さな子どもでも安全、という人気のハサミや、年間20万個を売り上げる話題の爪切りなど。切れ味と使いやすさをとことん追求した関の刃物の魅力を内山理名が徹底リサーチ。
【リポーター】内山理名,【語り】平野義和
放送:2018年12月16日
イッピン 「切れ味鋭く使いやすい~岐阜・関の刃物~」
東京青山
ここは人気のイタリアンレストラン
定番の牛肉のタリアータです
うーん美味しそう
石川淳太さん
雑誌やテレビにも登場するカリスマシェフです
道具にもこだわりがあります
いつも使っているのがこの包丁
分厚い牛肉にすっと入っていきます
その切り口のあざやかなこと
野菜から魚肉までまでものを切るときに抵抗を感じないくらいすごく切りやすい包丁です
刃先が鋭いだけでなく
メタリックなラインが目を引くこの柄の部分に切れ味の秘密があるんです
この包丁凄く良いのがこのグリップ
包丁ってグリップが大事でものを切る時に力の伝え方っていうのはすごく重要なんですけど
すごくスムースに自然に力が入りやすい
実はこの包丁
プロ用ではなく一般家庭向けに作られたもの
刃物の産地
岐阜県の関市で生まれた逸品なんです
関では今使いやすさを追求した刃物が人気を集めています
このスタイリッシュな爪切りはなんと年間20万個売れているんだとか
こちらの可愛らしい鋏
怪我をしないようにケースに入れたままで使います
でも切れ味は抜群
子供でもスイスイ切れて工作が楽しい
今日のイッピンは気持ちよく切れて何より使いやすい関の刃物です
岐阜県関市
ここで作られる刃物は昔から有名ですよね
現在100軒の刃物工場があります
今回の逸品リサーチャーは内山理名さん
料理が大好きなんだとか
まずはあの包丁を作っている工場へ
今日はどうもありがとうございます
よろしくお願いいたします
創業145年
社長の渡邊隆久さん
3年前に開発したのがこの包丁
本当によく切れるのか
トマトで試します
すって気持ちいいですね
最初から気持ちいいです
試しにも薄くしたらこんな薄く
普段から包丁を使っている内山さんもびっくり
長く気に入っていただけてそして愛着を感じる包丁
そのためにはどうしたらいいんだろう
そういうことをずっと考えて作ったんですね
考えたのは包丁を少し重くする事
女性たちにいろんな重さの包丁で試してもらい
180gが最適だとわかりました
家内がパン教室やっていたのでそこに来てる生徒さんにモニタリングをしてもらい
何グラム以上の包丁が重いのか何グラム以下だったら逆に軽いのか
軽いと逆に力がかかるのです
開発にあたって渡邊さんは刃物の町のネットワークを生かすことにしました
惣菜の鋼を型抜きする作業はこちらの会社に頼んでいます
自社で行うより効率的なんです
型抜きの次は焼き入れ
これも別の会社に依頼
この会社
特殊な装置を持っており焼き入れが得意なんです
まず千度の高温で熱しておいて
今度はマイナス45度という低温で急速に冷却します
これで鋼が鍛えられ丈夫になるんです
そして渡辺さんの工場へ
ここではハンドル、叩きを作っているところですね
刃先を研ぐ前に柄の部分を作っていきます
ハンドルを持っていたら分かると思うんですけども
これが金属が入ったハンドル
金属がないとかなり軽くなります
木だけだと軽いですね
後の金属部分の全体のバランスをとってるってことですよね
柄の部分に重みがあると刃先とのバランスが取れて力を入れなくてもスパッと切れるのです
柄を作る作業はまだまだ続きます
7種類のやすりを使い分けて柄を磨いてていきます
まずは金属の部分
次に木の角ばった部分を削って手にした時抵抗のないなめらかな形にしていくんです
削りたてホヤホヤであったかい
滑らかですね
仕上げは油分の多い研磨剤を使って
つるつるになっていきます
こうして手に吸い付くような感触で持ち続けても疲れない柄が完成しました
ここからいよいよ肝心の刃先へ
切れ味を左右する繊細な作業です
職人歴28年の高橋利之さん
まずは粗めの砥石で荒削り
続いて隣の研磨機へ
こちらは目が細かい砥石
また戻りますよね
細い枝の先端だけをギザギザに
目が細かい砥石からなぜまた粗い砥石へ戻ったのか
ここがポイントです
これは刃先の顕微鏡写真
細かい砥石の後
粗い砥石にかけたものは刃の先端が光っていますよね
その幅わずか0.07ミリ
このわずかな部分をあえて荒く削ることで一旦滑らかにした刃先を凸凹にしていたのです
この畑を食材に当てると
でこぼこした部分が引っかかり
食い込んで食材をしっかりとらえます
このまま引くとスパッと切れるというわけです
最後は柔らかな牛革のローラーで刃を調えたら完成
ところでこの包丁には実はもう一つ秘密があります
切れ味が落ちたときの手入れがなんと新聞紙でできるんです
こうして刃先を当て何度かスライドさせるだけでOK
しばらく使ってるとこの刃の中に汚れがたまったり、まな板に当たるんで
この先端が曲がってくるんです
新聞によってこれを戻してあげる
理由は素材にありました
型抜きの作業で見たあの鋼はモリブデン鋼
柔らかいのが特徴です
包丁で一般的に使われるのはもっと硬い鋼
曲がった刃先は砥石で元に戻す必要があります
これが柔らかいモリブデン鋼なら新聞紙で十分というわけです
でもモリブデン鋼は柔らかすぎてそのままでは包丁には不向き
包丁にも使える硬さにするためにあの焼入れ作業が必要だったのです
使いやすい包丁とは何か
考え抜いた末に生まれた逸品です
岐阜県関市
刃物が作られ始めたのは700年前
木炭や水など刀作りの条件に恵まれていたため全国から刀鍛冶が集まってきました
戦乱の世に多くの名刀を生み出し武将たちに愛用されたのです
しかし江戸時代の半ば頃から刀の需要が減ったため包丁などを日用の刃物を作るようになりました
それが明治以降地場産業として発展
最近は安価な中国製に押され気味ですが新たな活路を見出そうと工夫を重ねています
関のサービスエリア
刃物の商品がずらり並ぶ中
人気が高いのがこちら爪切りです
何ともスタイリッシュなデザイン
さて切れ味の方は
すごい全然違います
家で使ってる
この気持ちのいい音
おしゃれな上に切れ味抜群ということで年間20万個も売れているといいます
こんにちはいらっしゃい
爪切りを作っている
会社の工場長堀部基美さん
切れ味の秘密は何ですか
歯の噛み合わせの所です。かみ合わせが綺麗に出来てるかってのが一番ですね
これは10年前独自に開発した機械
爪切りをセットするだけでどんどん刃先を研いでくれます。
なんだこんなに簡単に出来上がるのかとおもいきや
やっぱり機械だけではあの切れ味は出せません
ここで職人さんは微妙に上下の刃先を調整しながら仕上げの作業を行っています
手の感覚で、力の入れ加減で調整して行なってますので
実は爪切りの刃先は下刃が上端よりわずかに前に出ています
爪を切るとき力が上からかかりますよね
すると上刃は少しだけ前に出ます
上下の刃をずらすことで噛み合ったとき
ピタリと合うというわけです
その幅は0.05ミリ
仕上げの作業はこのわずかな差をつけていたんです
でもこれで出荷されるわけではありません
最後に品質管理という難関が
切れるれるかどうか確かめてるんですけど
画面左に置いてあるのが切れ味の良くない爪切り
全体のおよそ二割にもなります
厳しい
厚紙を切って、切れるか切れないかを判断します
何で判断されてるんですか
音とか
いやなんとも微妙恐れ入りました
気持ちよく爪が切れる
パチンといい音がする
その切れ味は磨き抜かれた職人の感覚が支えていました
楽しそうですね親子で工作
子供がハサミを持っていると
ちょっとドキドキしますよね
でもこれならお母さんも安心
切るとき歯についたままだから
謝って怪我をする心配はありません
しかもこのカスタネットのようなハンドルで
力の弱い小さなお子さんでも
スイスイ行けることができるんで
このハサミを作っている会社ですが
いろんな最後にあります
創業はちじゅーご年波佐見一筋
現在さんびゃく種類ものハサミを作って変わった
寒いでこれこそ
何に使うのかわからないものがたくさんあります
がこれしかないかとか
この秋がきっかけってすごい
あのハサミがありました
13年前の発売以来
子供だけでなく
握力の弱くなった高齢者にも大好評なんです
三代目社長の長谷川直彦さん
靴のハサミの声で
声でリングに手を入れるので
親指はちょっと押すようにして
どこの歯を歯と歯のかかるあと怖い
怖いながら拝見といきながら
切ることができるんですけど
このハサミの場合は
楽しくの開閉だけになるわけでもない
ですのであの余計に
その調整の部分をしっかり
やらないとスムーズに切ることができ
な調整が難しい
早速作業を拝見しました一つになりますあ
本当だまだ片方片方ずつ合わせて
金具で固定髪の形にします
でもこれ形になっただけで
これからが本番切れるハサミにするためには
高度な職人技が必要なんです
ろく年のキャリアを持つ使おう沙織さん
あのこれでように見えるんですけど
全く切れないんで駄目って言うんですか
鋭いと思うんですけど
切れないんで消えないでいいのです
はいほんとだだって
ここあめちゃくちゃ鋭いですよ
これで切れるようになるんで
それをつけるあいどうやってやるんですかね
ありますねはい
相原という頭に挟む力を加えて
曲げていきます
これで良かったら
切れると思いでも入れますか
こんな違うものなんですか
すごいよく切れます
スパスパと隙間が真ん中に開いてるように
綺麗に開くようになると切れるようになるで
ハサミは歯と歯の間に隙間がないと
うまく切れません
その隙間はわずかれーてんにミリ
この微妙な隙間を生み出すのは
簡単ではありません
根元の葉が硬いんで
先っぽに行くにつれて
ちょっと根元がグッと力入れて
真ん中とさきとちょっと力を抜いてく感じでできる
だけってあの体ごと
一緒に動かすようにしていなければ
少しづつ力を弱くしていく
本当に神経を使う作業です
出来上がりました
すごいって言ってもらえることが
たまにあるね
それは嬉しい
切れ味が良くしかも安全
子供が使いやすくてお母さんも安心
可愛いだけじゃない逸品で刃物は放って心地よく
またいつまでも使い続けられるものを願いながら
何を見る関の職人たちです
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