太陽と色彩の国・メキシコで、あなたの暮らしを豊かにするテキスタイルを探す旅。番組2回目登場のインテリアバイヤー・大島忠智さんがメキシコ中を駆け巡り、先住民たちの“手仕事”の現場を訪ねる。羊を育て糸を手で紡ぎ、丁寧に織られた温もりあふれるブランケット。草木で染めた糸で丁寧に作られるラグ。そしてカラフルで芸術的な刺しゅう。メキシコの知られざる“本物”のテキスタイルと、その奥深い織物文化に触れる旅へ出発
【出演】三浦春馬,JUJU,【語り】神尾晋一郎
放送:2018年11月15日
世界はほしいモノにあふれてる 「癒やしの一枚!テキスタイルを探す旅 メキシコ」
旅する人:インテリアブランド「IDÉE」のバイヤー、大島忠智さん
ちょっと疲れた時。元気が欲しい時。気分を上げてくれるカラフルなテキスタイル。あなたのための一枚を世界中から探し出すインテリアバイヤー大島忠智さん。今回の旅はメキシコ。街も人も色にあふれている。手仕事で作られるホンモノ。特別な一枚を求めてメキシコ中を駆け巡った。「コチニージャという天然染料から織った布です。これがコチニージャという虫です」メキシコでしか生まれない魅惑のテキスタイルを探す旅へ。
何ヶ月も描けて作る刺繍
首都メキシコシティ。旧市街地知覚のシウダデラ市場。メキシコ各地から色とりどりの雑貨やテキスタイルが集まっている。大島さんテキスタイルの店を発見。「これはテナンゴ地方のオトミというところで作られている刺繍ですね」しかし、大島さん。ここでは見ているだけ買い付けはしない。「現地に行って買い付けようと思っています。メキシコはいまでも伝統的な作り方でずっとものづくりをされている場所なんです。そこにどういう背景があるのかということをきちんと理解してお客さんに伝えていきたい」
手仕事の現場を訪ねることで物の裏側にあるストーリーを探す。やってきたのはメキシコシティから車で5時間。山間の小さな村。この村にカラフルで一度見たら忘れられないテキスタイルがある。「すごいきれい」オトミ刺繍。繊細で色鮮やか。最もメキシコらしい刺繍と言われている。動物や植物が登場する神話をモチーフにしたデザイン。その心躍る華やかさにフランスの高級メゾンもスカーフのデザインに採用するほど。作るのはメキシコの先住民オトミ族の女性達。一針一針すべてて仕事で何ヶ月もかけて作られている。ベッドカバーに使える大作は。「完成させるのにどれぐらいの期間がかかるんですかね」「一年半かかったわ」刺繍は伝統的な民族衣装にも。自然への畏敬の念が込められたオトミ族の文化。
「このあたりでは神に祈りを捧げる時に動物や人。自然の切り絵をお供えしてきた伝統があります」「刺繍する人が原画を描いているのか」「デザインを描く専門の人はオトミ族の中にいます。この地域には女性ができる仕事が少ないので、時間をかけてやるのです」部屋に一枚あるだけで元気を貰えるオトミ刺繍。自然に囲まれたカラフルで穏やかな世界。「仕事で嫌になった時にこれを見ればまあいいっかと思います」手作りだから一つ一つ表情が違う。その中からどんなものを選ぶのか。鮮やかな青とユーモアあふれるモチーフが印象的な
ベッドやテーブルに使えるマルチカバー。「これいこう」1枚あるだけで部屋が明るくどこかホッとするものが見つかった。
手仕事で生まれるテキスタイル
世界は欲しい物にあふれてるメキシコ縦断の旅。メキシコ南部チアパス州。空港からさらに車で3時間。チャムラ村。先住民族ソチ族が暮らしている。ここに古代と変わらない技法で作る織物がある。糸を作るため羊の毛を刈る。刈った毛は洗い均していく。「もっと強くですよ。すべての工程を女性だけでやっていきます」均した羊の毛を紬ぎ糸にしていく。表面は優しくふんわり。自然な風合いの糸になる。全身を使って織る小しおり。「縦糸を張るのに2時間かかります」全ての人の手で作られるソチ族の織物。全身をの すっぽり覆うことができるブランケットを買い付けた。「丁寧に時間を描けて作ったものっていうものは最初は使いづらいこともあると思うんですけども、使っていくうちに馴染んでいくっていうか暮らしの中にすっと入っていく感じがするんですね」手仕事によって生まれるあたたかいテキスタイルいかがですか。
受刑者はクリエイター
メキシコは現代建築の巨匠ルイス・バラガンを生んだ国。メキシコならではの色彩やデザイン。世界を飛び回る大島さんも来るたびに驚かされるという。「面白い作りですね。メキシコ人のスピリットにあるんでしょうね」大島さんそんなメキシコ人のスピリットが生かされたものを買い付けに行くと言う。やってきたのは何だか物々しい雰囲気の建物。「刑務所です」そこにあったのはメルカドバッグという買い物かご。カラフルなプラスチックで編んである。今世界中でファッションアイテムとして大人気。ここでは受刑者が一つ一つ手で編んで作っている。「雨に濡れても平気」少しでも受刑者の収入につなげようと15年前から始まった。「受刑者自身が色もデザインも決めています」来年の春先に合いそうなものを買い付ける「50個弱くらい選んだんですけどその中の9割位が同じ人が作ったものだったんです」なんと大島さんが選んだほとんどが、こちらのギジェルモさんがつくったもの。「感覚が似ていて嬉しくなりました」
民族の誇りを伝えるモチーフ
メキシコ南部のテオティトラン・デル・バジェ。神が宿る土地と呼ばれる小さな村。実は織りのラグの一大産地として世界でその名を知られている。数百件の工房が軒を連ね、欧米からバイヤーが集まると言う。自然素材にこだわったラグを作る工房があるときやってきた。「マリアーヌですいらっしゃいませ」ここでは糸を紡ぎ色を染め織って完成させるまで全て工房の職人が行なっている。この村の作り手はサポテコ族と呼ばれるメキシコの先住民族。彼らの創るラグは、サポテックラグと呼ばれる。中東の伝統的ラグ・キリムに並ぶ高級ラグだ。大島さんがこの工房にひかれたのには理由があった。「うちのラグは100%天然染料で染めています」化学染料を使う工房が多い中。草花や虫など自然の素材から色を出し、糸を染めている。「これはコチニージャという虫です。この虫から赤や紫オレンジ茶色など、こだけの色のグラデーションができます」「ハイハイし始めた子供達はラグの上で落としたものを食べたりもしますでも天然染料で染めてあれば心配はいりません」