イッピン コレクション「 生活雑貨 」

イッピン

メガネフレーム用の樹脂で作った耳かき、仏壇づくりの技から生まれた箸置き、非常に硬い木から削りだされた優美なクシ。過去の番組を再構成して 生活雑貨 に焦点を当てる。 日常の暮らしに欠かせない生活雑貨。これまで「イッピン」で紹介したユニークな生活雑貨から3つを再構成。メガネで有名な福井県鯖江市では、メガネフレーム用の樹脂を使って、耳かきを作った。仏壇づくりの伝統がある新潟市では、仏壇専門の職人が、漆塗りの技を生かして、箸置きを手掛け好評を博している。また、古くから木工業の盛んな秋田県鹿角市では、木工職人が非常に硬い木を優美に削り出し、人気のクシを開発した。

【リポーター】生方ななえ,【語り】平野義和

放送:2020年11月22日

イッピン コレクション「生活雑貨」

私たちの暮らしに欠かせない生活雑貨。
日々使うものだからこそちょっぴり豊かな気分に浸りたい。
イッピンではこれまでさまざまな生活雑貨を紹介してきました。
それは職人たちが長年培った技術を応用して生み出したもの。
今日は技とアイデアが融合した新たな生活雑貨の世界にご案内します。

眼鏡の技術を応用・カラフルな耳かき

福井県鯖江市にやってきました。
鯖江と言えばメガネですよね。
国産メガネフレームのおよそ八割を生産。
眼鏡作りに関わっている会社は五百以上もあります。
眼鏡の製造技術を活かしたスタイリッシュな生活雑貨があるとききました。
色鮮やかなアクセサリや雑貨の数々。
これはメガネフレームに使われる樹脂から作ったもの。
樹脂を輸入している会社が十年ほど前にカラフルなアクセサリーや雑貨の開発を始めました。

【kisso】sabae mimikaki

「眼鏡は黒とかブラウングレーって言ったまあ地味な色しか使われてないんですけれども赤とか青とかすごい綺麗な色の材料も扱ってたんですね。それで材料を使ってアクセサリであるとかユニーク雑貨を作っています」

楽天市場】【sabae】鯖江耳かき マルチブロック : やさしいおみせ by パイナチュラル

中でも人気なのが耳かきです。
これ耳かきですか可愛い耳かきですね

金属の小さなさじがつややかな樹脂で覆われているスタイリッシュな耳かきです。
樹脂製のメガネのつるの強度を高めるために金属を入れる技術。
それを応用してカラフルな耳かきにしたんです
作っているのは樹脂製のメガネフレームの製造会社。

まず機械で樹脂を耳かきの形にカット。
この後樹脂に穴を開けそこに金属を指して耳かきにしていきます。
使うのは樹脂製のメガネのつるを作る機械と同じもの。
機械についている細長い金属の棒で樹脂に穴を開ける仕組みです。

「この穴っていうのは熱をかけて穴開けなくちゃいけないです」

樹脂を百五十度に熱した鉄板に挟み柔らかくします。

「まっすぐ穴を受けなくちゃいけないんで耳たぶのたぶらかさでずっと出ていかなくちゃいけないですよね」

一発勝負の穴あけは樹脂の柔らかさがポイント。
樹脂が柔らかすぎると金属の棒が刺さった時圧力で形が歪んで変形してしまいます。
一方硬すぎると棒がきれいに刺さりません。
無理な力がかかり樹脂が割れてしまうこともあるんです。
樹脂の状態の見極めは長年培った感覚。
熱を加えると柔らかくなり、先端部分が徐々に垂れ下がってきます。
指でつまみ上げた時、わずかにしなるこの瞬間を逃しません。
すぐに機械にせっと。
一気に穴を開けます。
「自分の手で感覚を覚えてるんで手袋するとわからないです」

sabae mimikaki (鯖江耳かき)

幅3.5ミリの樹脂にきれいに穴が開きました。
最後は樹脂に金属を刺していきます。

「メガネのものを使ってこういうアクセサリとか作るのはなんでも応用できると思います」

こうして色鮮やかな耳かきの完成です。
メガネフレームの製造技術から生まれた耳かき。
掛け心地から掻き心地へ姿を変えたイッピンです。

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職人入魂の箸置き

続いてやってきたのは新潟市。
こちらでイッピンを発見。
箸置きにご注目ください。
なんの魚か分かりますか。

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錦鯉。
漆塗りです。
つるつるで気持ち良くてつい触ってしまいます。
この箸置き。
ある伝統の技が生かされています。

にいがた人模様:仏壇職人 羽賀良介さん /新潟 | 毎日新聞

羽賀良介さん。
仏壇屋さんです。
創業は明治時代。
羽賀さんで四代目です
羽賀さんは仏壇を売っているだけではなく製作もしています。

お目当ての箸置きはというと。
仏壇作りの傍らであの箸置きは作られていました。
なんだか不思議な感じです。
箸置きと仏壇そこには深い関係が。
まずこちらの仏壇がどのように作られているのか見ていきましょう。
仏壇にはさまざまな職人の技が結集しています。
まず木地師と呼ばれる職人が木を削り出し仏壇の下になる様々なパーツを作ります。
そして彫師。
守り神となる動物や植物などを彫り込みます。
そっかさらに扉や柱に金具を取り付ける金具師。
木の部分に漆を塗る塗師。
羽賀さんはその塗師なんです
塗師の役割は漆を塗るだけではありません。
仏壇全体の設計・組立そして金箔を張る仕事。
最後は蒔師が絵や模様を描いていきます。
羽賀さんの妻文子さんは蒔絵師です。
木地師、彫師、金具師、塗師、蒔絵師。
それぞれの職人が存分に腕を振るうことでできあがる。
それが新潟の仏壇なんです。
しかし仏壇の売れ行きはこのところ芳しくありません。
住宅事情の変化で一戸建てが少なくなったこと。
人々のライフスタイルも変わったことで大きな仏壇を持つ家庭が少なくなってきました。
仏壇作りの技も継承が難しくなっています。
羽賀さんが箸置き作りを思いついたのは新潟特産の錦鯉を見ていた時でした。

「色合いがやっぱ黒と赤、これは仏壇にも使われる漆と共通するところがあるんですよね
そしてやっぱり艶がものすごいぴかぴか光りながら泳ぎ回るんですよ」

仏壇作りの漆を塗り重ねる方法なら錦鯉のあの艶を表現できるのではと考えました。

まずは色漆を塗る前の下地作りから。
生漆と呼ばれる半透明の漆を染み込ませます。
次に砥の粉と呼ばれる土に生漆を混ぜまんべんなく塗っていきます。

「いろんな傷がありますので、傷口に入るように叩き込んでやります」

木型の表面にあるわずかな凹凸をならしていきます。
乾燥したら紙ヤスリで研磨します。
塗っては磨き、塗っては磨き・・・これを四回以上繰り返すんです。
下地作りの仕上げは水研ぎ。
使うのは目が細かい布ヤスリ。
水をつけ表面を撫でるように磨きこみます。
この作業が色漆の乗り具合を左右します。

「この段階でここまでしとかないとあの後で何回塗ってもやっぱりちょっと粗が見えたりするんです」

下地作りにかかる時間は一ヶ月。
手間を惜しんではいいものはできません。
いよいよ色漆を塗ります。
塗りと磨きを繰り返すことを三回。
すると漆が持つ瑞々しさ・艶が出てきます。
ここから蒔絵師・富美子さんの出番。
仏壇の技をどう生かすのでしょうか。
鯉の背中に描き始めたのはなんと松と竹うん
こちらは梅の花。
縁起物の松竹梅は仏壇にもよく描かれる題材です。
大胆な発想ですが、何だしっくり。

古民家展参加作家 羽賀佛壇店 羽賀良介さん・富美子さん/新潟仏壇 | 新潟の伝統工芸 タクミクラフト

「錦鯉の柄じゃないですけれど、おめでたい柄ですし一気に華やぎますね。
こういう仕事をしてるのが仏壇を知らない世代の人とかにも広まればいいなと思って作ってます」
「先祖から代々こう譲っていただいた家業なのでやっぱりこうちょっと頑張らないとね」

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仏壇作りの技術から生まれた箸置き。
そこに込められた職人魂が見えるようです。

世代を超えて、木との格闘で生まれた櫛

最後のイッピンは秋田県から。
県の面積の七割を森林が占め多種多様な木に恵まれています。
古くから木工業が盛んでした。
この地の職人たちは木の特徴を知り尽くし、様々な木製品を作り出してきたのです。
秋田県の北東部・鹿角市。
ここにユニークな木の櫛を作る職人がいると聞きました。

橋の博之さんです
早速お目当ての櫛を見せてもらうことに。
こちらがその櫛。
緩やかに波打つ美しいフォルムです。
失礼し感じも悪感じやすい全体をエスの時に株させたのは手に持った時クリックるように
そしてこの串を少し寝かせて使うと気持ちよく髪を解かせるのではと考えたから
更に注目すべきは使われている木材っていう素材は俺蒲と雪です。
伐採する時に斧が折れてしまうくらい堅いので付いた名前です。
わかる日本の木の中でも指折りの高さを誇るおのれ蒲年輪がその高さをよく示しています。
目が詰まっているのです。
大体このクシの幅で六百年ぐらいです。
木材自体は千年ぐらいの材料ですね。
はいあのー俺
蒲東北や北海道など寒さの厳しいところに育つ木
一ミリ幹が太くなるのに一年掛かると言います。
同じカバの仲間の白河と比べてみます。
白樺さんこれ叩いてみてください。
これですか軽い一方俺蒲はあもう持ったときにまず思い
同じ大きさでも全然重さ違いますね。
まるで金属音です。
叩いた時にもうこの中身が詰まってる感じがします。
長く使えるものという意味で者がおれる程堅い木で作ってみようかなと思ったところです
しかしあまりにも硬いため木工には向いていません。
水分を抜くのにも時間がかかり
十年は寝かせておきます。
十分乾燥させたものを口の形に削っていきます。
でも普通の木工用のものでは歯が立ちません。
金属加工用の歯をさらに眼鏡にしたものを使います
口の端の幅耳歯と歯の間隔は一点
五み寸分たがわず削っていきます。
この後また三年寝かせます。
削った後気に残ったわずかな水分が抜けていく時まれにはが曲がることがあるんです。
そうしたものを選別するために三年が必要なのだと言います。
いよいよ全体を波の形にはい固い看板
滑らかなカーブを付けていく
それは想像以上に難しいことでした。
何度も指を怪我するほど失敗を重ねやっと体が覚えてくれたと言います。
この削っていく上でどういったところが難しいですか
削っているところは私が見ているところの裏側を削ってる訳ですよね
裏を削りながら見える目を持たないと削れないです。

削り始めて十分。
あっというまに滑らかになりましたね
絶妙な曲線ですね
仕上げに使うヤスリには表面にダイヤモンドの粒子がびっしり付いています。
きついこれも金属加工専用のもの。
素材の高さと形の柔らかさが融合しました。
最後に椿油二三週間漬け込んだら完成です。
この櫛は使い込む程に艶が出ると言います。
世代を超えて使ってほしい橋のさんは願っています。
秋田県内にもいろんな素材があるのでそれを新しい加工技術で今までにない
今までにあった木材を今までにない性格に変えていきながら新しい形を作り出していきたいな
と思ってます
技を知り尽くした職人が作り出した虫固いですが
使い心地はとても優しい逸品です。
メガネ作りの技術が新しい価値を創造する
小さな品物に託したのは仏壇への情熱。
職人の技とアイデアによって生まれた生活雑貨。
暮らしに彩りを添えていました。

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aerith
ガジェット愛好家です。世の中にあふれるモノゴトはすべてヒトが作り出したもの。新しいモノの背景にある人の営みを探るのが大好きです。発見した情報はまとめて発信しています。