食べてみたくなる。天然麹菌でつくった奇跡のパンの味

食べてみたくなる。天然麹菌でつくった奇跡のパンの味

パンの発酵から学んだ新しい経済と働き方の話。

『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(講談社)は岡山県の山間の町にある「パン屋タルマーリー」店主・渡邉 格(いたる)さんの著書です。

朝日新聞(3月26日)「辻山良雄が薦める文庫この新刊!」で紹介されました。

私たちが毎日食べるパンは、イースト菌の発酵がつくりあげたものです。

最近はイースト菌の代わりに酵母を使う酵母パンも静かなブームとなっています。

自らの家で採取した麹菌を使うこだわりのパン屋が注目を集めています。

2008年、渡邉格&麻里子が夫婦共同経営で、千葉県いすみ市で開業。自家製酵母と国産小麦だけで発酵させるパンづくりを始める。そして、酒種をつくるための麹菌も自家採取し始めたことで、素材の栽培方法が発酵に表れる、つまり自然栽培(無肥料無農薬)の素材が一番良く発酵することに気づく。

パン作りに欠かせないのがイースト菌です。

日本の“天然酵母パン”は、市販の天然酵母を使うのが主流ですが、自家製酵母を使っても、粉の配合を調整し、イーストを添加して発酵を安定させている場合が多いといわれます。

そして、使われる菌のほとんどは「もやし屋」と呼ばれる菌の問屋から仕入れた純粋培養した菌です。

自家製天然酵母パン&クラフトビール&カフェのタルマーリーより

岡山県の山間の町にある「パン屋タルマーリー」は、自らの家で採取した麹菌を使うこだわりのパン屋として注目を集めています。

自家製天然酵母パン&クラフトビール&カフェのタルマーリーより



渡邉格さんと麻里子さんの夫婦が共同経営するこの店は、働き方に対しても模索を続けています。

夫妻の経営理念は「正しく高く材料を仕入れて、正しく高くパンを売る」こと。

食と職の豊かさや喜びを守り、その価値を高めていくことで経営を成り立たせるという理念です。

パン屋タルマーリー渡邉 格さんと麻里子さん|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅するより

地域に根を張り自信を持った生活の実現をめざすことで循環が生まれます。

明るく優しい語り口ながら、深い洞察にあふれた一冊です。