再生回数79億回人気ユーチューバーHIKAKINの挑戦

テレビ愛好家のAちゃんです。

今人気絶頂のユーチューバー。ユーチューバーとはネット上に様々な動画を投稿し収入を得るプロです。

中学生の将来なりたい仕事のベストテンになるほど、注目の新しい仕事なのですが、

「遊びながら稼いでいる奴」と世間からは見られがちで、その実態はほとんど伝えられていません。

時代の最先端を知らないなんてとんでもないことです。

そこでプロフェッショナル。

今日の放送は新しい仕事に挑むプロたちの日々に密着というのだから、見のがせません。

プロフェッショナル 仕事の流儀「新しい仕事スペシャル」

放送:2018年3月19日

人気ユーチューバーHIKAKIN

制作した動画の総再生回数は79億回以上。

チャンネル登録者数は1100万人を越え日本一。

2005年に動画投稿サイト「YouTube」ができたことで、様々な動画を投稿し収入を得るプロたちが現れた。

大食いをしたり、大規模な実験をしたりと、ユーチューバーは去年男子中学生なりたい職業ランキングで3位に入った。

握手会のため福岡空港に降り立ったHIKAKIN、若者を中心に認知度は圧倒的。

握手会には子どもから大人まで沢山の人が訪れた。

「出産の時に退屈でたまたま見たのがヒカキンさんで。

そこからすごい元気をもらって子育てで疲れてても笑顔をもらっている」

「元気ない時に動画をみて元気をもらっています。会えてよかったです」

動画を作る上でヒカキンが常に大切にしていること。

それは、元気な自分を見てもらい元気になってもらう。きわめてシンプルなことだ。

「ユーチューブというのは息抜きとかなにか楽しむために見ることが多いと思うわけで、

ましてや僕の動画って学ぶために見ているというよりは、楽しんでもらう動画だと思っているので

少しでも多くの人がクスっとしてくれたらいいかなって。

そういう意味で僕も楽しそうじゃないとダメかなって」

ユーチューバーHIKAKINの動画。いったいどのように作られるのか。

潜入!ヒカキンの仕事場

2017年冬、HIKAKINの仕事場兼自宅の密着取材が許された。

玄関先には、動画の中で使ってみようと買い集めたグッズが山と積まれていた。

「今起きました。朝まで。昨日っていうか一日前が寝ないでずっとやっていて

今日の朝7時ぐらいまで編集してたんですよね」

企画から出演、撮影、そして編集。膨大な作業をHIKAKINは1人で行う。

徹夜になることはざらだという。

HIKAKINが専業で動画の投稿を始めたのは6年前。

ゲームの実況や体を使って音楽を奏でるビートボックスなど4つのチャンネルを運営している。

投稿した動画とともに流れる広告の再生回数などによってHIKAKINの収入は決まる。

1番人気が高いのは話題のグッズを使ってみるチャンネル。

巨大なたこ焼きを作る動画は1400万回以上再生されている。

新作に挑む

午後4時30分。シャワーを浴びたHIKAKINは翌日夜に公開予定の動画制作に取り掛かった。

今回は金箔がほどこされた高級トランプで遊んでみるという動画だった。

「買ったものの情報を間違えると大変なので、ちゃんと見て・・・」

商品について間違ってたことを言うのを避けるため事前に情報を得る。

だが一方でトランプの画像は極力見ないようにする。

初めて実物を見る時の素朴なリアクションは大事にしたいからだ。

こだわっているスタンスがある。

HIKAKINは、そこらへんの兄ちゃんというスタンスにこだわっている。

「お客さんとして本当に買って思ったことを言うところが

本当にタレントというよりかは視聴者と同じ立場でただ自分を撮っているだけっていうか

そこらへんにいそうな兄ちゃんみたいな感じでいたいなって思っていますね」

「ユーチューバーは”身近さ”で人気になったんじゃないかなと僕は思っているんで、

あえて作り込んでいないのが共感を生んでいるから」

「一個人がやっている企画だったら小回りがきく部分とかでリアルなことが自由にできる」

正解がまだ定まっていないこの新しい仕事でHIKAKINが見出した身近さというスタンス。

それを実践する撮影が今日も始まった。

「いでよ純金箔トランプ。おーやばいやばい。

今思いついたけど、トランプタワーをつくったら盛り上がるんだよな」

撮影は内容を事前に決めず思いつきでどんどん展開させていく。

「純金箔トランプはトランプタワーに似ていません?これ絶対無理」

「あとほかになにかできないかなトランプって。あとほかに出来ないかなトランプって・・・

あ、飛ばす。飛ばすってあるよな。こうやって」

「そう。これ説明にも書いてあるんですよね。貴族のように遊ぶトランプって」

ユーチューバーの中には過激な発言や表現で再生回数を伸ばそうとする人もいるがHIKAKINはそれをしない。

「誰が見ても嫌な気持ちになんないようにしなきゃってとこで、

今のは大丈夫だとおもう。散れ散れとか言ってやっていたらちょっとよくないかなとか、

こういうところで分かれるんですよ炎上ってたぶん。

調子こきすぎると案外。楽しく見られない人がいたりするんですよ」

そこには人を喜ばせようと自ら楽しんでいるHIKAKINと、そんな自分を冷静にチェックするHIKAKINがいた。

2時間ほどで撮影が終わり次に編集作業に取り掛かる。

映像選びから効果音。さらにはテロップ入れまで、ここ1年で投稿した動画は500本以上。

周りからは分業制にしないと体が持たないと言われている。

だがそれでは自分の思いが伝えきれない気がし、すべて1人で行う。

「人に任せ、これで70%の出来だけど空いた時間でなにかしようという方向性も全然あるんですよね

ただ。ずっと100%で作ってきたものが70%に薄まった瞬間に、

すこし今まで全力で伝えてきたものが落ちちゃうのが残念って思っちゃうんです

本当のファンはすごくがっかりするじゃないですか。

ちょっと違うだけで気づいちゃうんですよね」

編集をはじめて6時間、7分の動画が完成した。

「終わったぞー」

午前0時半、だが、この日の仕事は終わっていない。

翌日別チャンネルで公開するゲームを体験しながら実況する動画の撮影だ。

午前1時6分、HIKAKINの1日が終わった。

翌日午後7時、動画が公開される時間がきた。ここ1か月ほとんどすべての動画が100万回以上再生されている。

今回も100万階を超えることが目標だ。

「きついかも」

見ていたのはグッドのマークの数。この数が公開直後飛躍的に増えると最終的な再生回数は多いという。

「2分で300は良くはないかなっていう。ちょっと弱い」

グッドの数は思うように増えていなかった。

「案外全然編集に時間をかけなかったやつがこれの数倍の伸び方したりするんですよ。

それだけでも勉強になりますよね。これちと悪いねあーあ。すみません」

しかしその後じわじわ再生回数を伸ばし、1か月後には190万回を越えた。

生い立ち

HIKAKINは平成元年に新潟の雪深い町で生まれた。

小学生の時にテレビで見た体を使って音楽を奏でるビートボックスに興味を持った。

高校時代にアメリカで誕生したYoutubeの存在を知りビートボックスの動画を投稿しはじめた。

「再生回数とコメントが伸びていくのはワクワクするんですよね」

当時の夢はビートボックスのミュージシャンとして有名になること。

クラスメートの殆どが大学に進学する中、夢への資金を貯めるため就職の道を選んだ。

「みんな仲間は大学。そこそこいい大学に行っている。これで失敗したら差がつくなと思いました。

世の中的にこれで失敗したら。ただやりたいことやったらいいんじゃない」

高校を卒業すると上京し食料品店に就職。

そこで働く傍らビートボックスのライブ活動や動画の投稿を続けた。

そんなある日、2010年人気ゲームのBGMをビートボックスで奏でる映像を投稿した。

翌日のことだった。

「休憩時間スマホを見たら」

1日で再生数が20万を越え一気に世界から注目された。

そして翌年海外で人気のユーチューバーの公演を聞いた時、心が定まった。

「アメリカでは普通にいるんだ」

22歳だったHIKAKINは仕事を辞めユーチューバー1本で行きていくことを決めた。

以来6年3700本以上の動画を制作してきた。

その間休みはほぼゼロ。毎日1本から2本のペースで生み出してきたことになる。

ユーチューバーという仕事は、はじめに見た時ほど楽ではなかったという。

「単純に考えて1年365本ネタが必要ということなんで

それって普通ではないと思うんですよね。

全部自分で考えて、失敗成功も自分次第。というところの、

明日明後日もわからないって不安は(食料品店とは)違うつらさはあるかなと思いますよね。

起用終わっても明日があるので、落ち着かないというのか、考えなきゃいけないし

その歩みを止めたら終わるんだろうなっていう」

2017年冬、HIKAKINは新たな試みを始めた。

1人ではなく人気のユーチューバーたちと一緒に最近流行りのグループでの動画に挑む。

さらに投稿する頻度を減らし、完成度を上げることも模索している。

「個人が発信しているのがまず面白いっていう時代だったんですけど

それが普通になり、当たり前になり、もっと面白くしていかなきゃいけない

人は飽きるものですからね。たぶん」

HIKAKINはこれからもこの新しい仕事と走り続けてみようと考えている。

ゴールのないマラソンレース

「マラソンだと思いますねYoutubeは。ゴールの見えないマラソン。

僕の動画で100万人くらいが笑っていると考えると、誰でもできることじゃないことをできてるっていう気持ちをかんがえると、

そっちの方がいい人生だって思えるんじゃないかと思う」