美の壺「甘い輝き いちご 」

青果取引量日本一を誇る大田市場。いちご専門仲卸のおすすめのいちごとは?!大ヒットの白いいちごも!▽国産第一号の、貴重ないちごが登場!▽イベントに欠かせない「ショートケーキ」の誕生秘話!老舗ホテルの“究極のショートケーキ”の製作現場にも潜入!▽京都のいちご菓子専門店では、さまざまな品種を使い分ける菓子店店主の技に迫る!▽パスタから和食まで!人気料理研究家はいちご料理でおもてなし!<File555>

初回放送日: 2022年4月22日

 美の壺 これまでのエピソード | 風流

 

美の壺「甘い輝き いちご 」

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イチゴ。
かわいらしい姿と甘い香りで思わず口に運びたくなりますね。
甘味や酸味香りなど好みに合わせさまざまな個性を楽しめます。
日本ではこれまで三百以上の品種が作られ、世界の品種の半分以上を占めるそう。
しかも様々な工夫によってイチゴを幅広く楽しんできました。

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日本で生まれたといわれるショトケーキ。

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イチゴ愛が高じて創作料理でその新たな魅力を引き出そうとする人も。
今日は可憐で華やかなイチゴの世界をご案内します。

つや

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東京大田市場。
青果の取引量日本一を誇るこの市場では、全国から様々な苺が集まり取り引きされています。

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イチゴを専門に扱う仲卸の星野和一さん。
五十年以上市場でイチゴを見続けてきました。

「こうやって見ていただければ分かるんですけど。艶ですよ。それにヘタ」

みずみずしい鮮度のいいイチゴも星野さんによれば品種によって様々な個性があるそう。

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甘くて大きいのは福岡県の品種。

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これは日本で最も多く作られている栃木の品種です。

「酸味と甘みのバランスが非常によって日本を代表する品種です」

普段見かけることが少ない珍しいイチゴもあります。
埼玉県で最近作られたこの品種は甘みが強いのが特徴。
これは静岡県産。
豊かな艶と香りが評判です。
そして最近人気だというのが白いイチゴ。

「白いイチゴで代表するのは静岡産。みずみずしくておいしそうなイチゴですよね。白いイチゴの場合は、切ればま中が白いんですけど酸味がないんですよね。それはやっぱり特徴ですね」
イチゴ界では毎年のように新しい品種が次々と生まれています。

「栽培技術が進歩してきて種類がかなり多くなってきてるんで、一般消費者の方も自分好みの一部をですね、選べる時代になったんじゃないかなと思います。これだけ丁寧に扱ってる国っていうのはないと思う。まさに世界に誇る芸術品だと思います」

今日一つ目のツボは、世界に誇る可憐な艶めき。

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イチゴの語源は日本書紀にも登場します。

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とても赤い実という意味の「イチビコ」が転じてイチゴと呼ばれるようになったと言われます。

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今私たちが食べているイチゴは江戸時代にオランダから持ち込まれた品種がルーツ。
様々な品種改良が重ねられてきました。
東京新宿御苑。

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日本のイチゴが初めて生まれた場所です。
現在植物の絶滅危惧種の保存施設なども置かれていますが、明治時代は国の農業試験場でした。
ここに貴重な苺があります。

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「こちらが福羽イチゴです。今から百年前に日本で初めてできた国産第一号のいちごです」
明治31年頃に生まれた国産第一号のイチゴ。
農学博士福羽逸人によって生み出されました。
福羽逸人の回顧録によれば、フランスの品種を日本の環境でも育つよう交配し、数年にわたる試行錯誤の末に作られました。
楕円形の大ぶりな形に実り、味も優秀とされたこのイチゴは、皇室献上品となり、外国の客をもてなす場でも提供され、評判を呼んだと言います。

「明治に入りまして、日本の新しいスタートの中で政府は海外からの文化を導入することを第一として事業を進めてまいりました。その中でも特にこのイチゴについては西洋の本場のものよりも良い品種を作るということで日本の農園芸の技術の高さを各国に知らしめたところもあると思います」

国産第一号のイチゴはその後意外な場所で育てられます。
静岡県の海沿いにあるイチゴ農家です。
それまで外国の品種を育てていましたが国際イチゴを一般に売りたいと考えた果物店店主の依頼で栽培に取り組みました。
その農家の三代目望月義久さん。
伝統的な栽培方法を今も受け継いでいます。

「その当時は福羽が命っていうぐらいの素晴らしい品種だっていうことを聞いています。よく袋にかかったのを収穫してっていうのは聞いてます。扇状になったね変形かっていうそういうのを食べた覚えがあるんですけど、正常な実は私らの口には入らなかったんです」

イチゴは日当たりのいい斜面に積んだ石やコンクリートのブロックを利用し育てられました。
斜面に植えた苗は上からだけでなく横からも日光が当たるため、色のいいイチゴに育つと考えられました。
石やブロックは熱を蓄え夜も土を冷やしません。
そのためビニールハウスがない時代でも冬に栽培できたといいます。

今育てているのは地元静岡で生まれた品種。
日々余分な葉を取り陽の光がよく当たるようにする作業は昔も今も変わりません。
「色艶が鮮やかで濃い色。今の濃さは最高だと思います。完熟するとこれ素晴らしい甘さが引き出してこれはもう天下一品だと思います」
人々が求め受け継いできたつややかさ。
その輝きは私たちを魅了し続けています。

ショートケーキ

白い生クリームで覆われたスポンジに真っ赤なイチゴが乗ったショートケーキ。
誕生日などのお祝いの場やクリスマスなどに欠かせないショートケーキは、およそ百年前の大正時代、日本で生まれました。
日本の洋菓子の歴史を研究してきたパティシェで洋菓子研究家の吉田菊次郎さん。
ショートケーキの始まりには諸説あると言います。

「一番有力なのが藤林林右衛門さんという方がアメリカに行ってアメリカにでー好まれてるストロベリーショートケイクっていうのがあるんですね。それにヒントを得て日本に持って帰ってきて藤井さん流にアレンジしたのではないかという説が有力です。ショートっていう言葉はあの短いとか小さいとかっていう意味じゃなくて、サクサクとしたという意味なんですね。クッキー状のお菓子なんです。厚めのクッキーを焼いて間に泡立てた生クリームでイチゴ藤林衛門さんはそれを持って帰ってきて、日本人の口にはもうちょっと柔らかいのが合うんじゃないかなということでそれをスポンジケーキに置き換えてみた」

当時の資料を見ると、ショートケーキの原型と見られるものには缶詰のチェリーと梅が載せられています。
イチゴはまだ完全に定着していなかったようです。
もう一つの説は洋菓子メーカー創業者の門倉國てる。
当時フランス修行で見たケーハを日本人の口に合うようにアレンジスポンジをより柔らかく
バタクリームを生クリームへと変えたのです。
しかしその後日本は戦争に突入洋菓子文化は禁じられてしまいます。
それが戦後。
クリスマスにケーキを食べて祝うという外国の習慣が広まります。
イチゴの促成栽培の技術も発達。
冷蔵庫の普及も後押ししてケーキの保存が利くようになりました。
ショートケーキは白地に赤のおめでたいイメージから、晴れの日の菓子として年中行事やお祝いごとで楽しまれるようになったとされています。

「例えばスポンジケーキがふわりとしている。泡立った生クリームはもちろんふんわりとしてクリーミーである。それから上にのっけるイチゴはかわいらしくて適度な酸味を持ってえーそれから色合いもちょうどいいですね。それらが醸し出すハーモニーのお菓子というのは素材同士のは文字なんですよそれが非常に日本人の好むテイストにぴったりあったんではないかなってそういうことで世界に類を見ない日本人が編み出した稀代の銘菓。それが日本のショートケーキではないかなそのように思います」

今日二つ目のツボは紅白が織りなす極上のハーモニー。

東京千代田区にある老舗ホテル。
ここに究極のショートケーキと呼ばれる逸品があります。
主役は人気の福岡県産のイチゴ。
強い甘みとほどよい酸味に軽やかな口当たりの生クリーム。
ふんわりとしてきめ細かな文字とのバランスが評判です。

イチゴのショートケーキといったらなんかこう頭の中に何かイチゴのショトケキっていう
なんかこう味が浮かんでくると思うんですけど、やっぱりそれを裏切らない。
イチゴのショートケーキを作らなきゃいけないそれには甘過ぎてもいけないし、やっぱその辺のやはりバランス
まとても難しい商品だと思います。

イチゴを引き立てるスポンジに使うのは玄米を食べて育った鶏の卵。
生地は米子や小麦粉を使い二種類のスポンジを焼きます。
一つには雑穀前を加え懐かしい味を演出
イチゴにははちみつを加え酸味を均一にします。
スポンジに挟むイチゴは半分にカットしたもの。
切り分けた時に断面が美しくなるよう配置します。
生クリームは低温殺菌の牛乳を使った滑らかなものを使い、そこに上品な甘さのは三本とバニラビーンズなどを加えます。
イチゴや卵の状態によって脂肪分を微調整する徹底ぶり。
イチゴの間には大地を隠し味に潜ませて最高のバランスを探ります。
ありがとうございます。
今度はクリームいいね。
はい何パーセント四十から四十パーセントになります。
まるで工芸作品のように自密に組み立てられたショートケーキ。
主役のイチゴと素材の一体感が味わえます。

「十階建てのビルを建てている建築物みたいなものででそれが崩れないようにしていく
口の中に入れた時に全てがさっとこうなくなっていっちゃうようなイチゴのショートケーキは
もう簡単に言えばもう日本代表ですよね。もう日本を代表する洋菓子だと私は確信しています。これをこの伝統をしっかりあのー受け継いで
次世代次世代に引き渡すことができるようにもっともっといいのショートケーキを作っていきたいなと思います」

日本の菓子職人たちが築き上げてきた最高の葉物に。
これからも日本の洋菓子のシンボルであり続けます。

京都府八幡市にあるイチゴ農園。
ここによく仕入れに訪れる女性がいます。

これすごい割れてるそれ多分これ食べてみていいですか

実はこの方。
イチゴの菓子専門店を営む部美佳さん。

ちょっと花の味がする花の味がするなんか股みたいな味も好き。甘さがもうちょうどもう通り抜けてる感じはするけど、
香りがすごい味が薄いお菓子にも合うんですけど、どっちかって言うとこう油分が多いような生クリームと合わせるの私すごいおいしいかなと思うし」

渡部さんはもともと洋服や雑貨などのデザイナーでした。
二十年程前あるイチゴの味に感動し一から菓子作りを学び、店を開きました。
店では各地の農家から直接仕入れた完熟イチゴの中からそれぞれの歌詞に合う品種を使った
独自のスイスを提供しています
看板メニューは
ミルフィーユパイやカスタードなどに合わせたのは愛媛県の農家が育てた人気の品種です。

甘さと酸味もすごくバランスが良くて酸味もちゃんとあるなので
カスタととかバタがたくさん使われた
パイ生地と合わせてもちゃんとイチゴの味がする

軽やかな重たくないミルフィーユというものを目指して作ってます
定番のタルトには四年前に知り合った福岡の若い農家自慢のイチゴアモンド
八幡を使った固めの生地とともに味わっても負けない味です。
さらに味わいをより高めるために複数の品種を混ぜて使うことも
はいデコレション
気気には四種類を使います。
スポンジ二三とするのはイチゴ本来の甘酸っぱさと香りのある品種。
生クリームとよく合いイチゴのミルクのような懐かしい味わいに。
うん上に乗せるのは三種類まず酸味が弱くさっぱりとした甘みのイチゴ。
続いて色が濃く味も強い品種。
最後に優しい甘味と酸味が特徴のものを多様な苺が並ぶ畑を表現したといいます。

「色や形の違いを楽しみながら新たな味わいを感じられる人です
なるべく味わいが単調ではなくて例えば少しの愛だったりあおしい感じだったり
あとは奄美の幅もまったりした甘味からすごくすっきりした甘みで
酸味も色々あるんですよね。色んなその味わいの層が重なら重なればなるほど味の深みを感じると私は思っていて」

今日最後のツボは出会い深まる味わい

テーブルに並ぶ赤やピンクの色鮮やかな料理。
全てイチゴを使って作られたものです。
考案したのは料理研究家の宮澤奈々さん。
イチゴはいつもの料理を華やかに生まれ変わらせると言います。

イチゴは私たちにとって身近な食材ですので味の想像もつきやすいんですけれども
ちょっとをこう変えて見たりすると新しい発見とか驚きもあって楽しい食材にもなるのかなと思っております」

まずはサラダ。
いきさでイチゴと白ワインビネガーを混ぜ、滑らかな蘇州にそこに茹でたエビや生のホタテ、いちごと春野菜を盛り付けます
イチゴの酸味と香りが食材の甘みを引き立て爽やかな芝居を生みます。
次はパフェグラスの底にイチゴ風味の州で作った樹齢をスライスしたいちごドレッシングで和えた野菜とともに添えます。
そこに冷静パスタそすはトマトに白バルサミコとオリーブオイルなどミキサにかけ床させました。
はいさらにイチゴは和食に使うとより深い味わいが生まれるといいます。
花見弁当です。
繊細にはイチゴのスト滑走だしのジュレを和えたエビ。ゴマダレと会えたタイも春の食材。
鯛の旨みとゴマのコクにイチゴの甘味と酸味。
香りが程よく聞いて菜の花の苦味もアクセントにご飯をイチゴの州でほんのりピンク色に添えたのは卵の黄身と大和芋寿司ず出会い
挟んだいちごです。

イチゴってすごく季節感が出るんですね。和食はやっぱり日本の四季を行かすのに季節感を大切にしたいものなので、
見た目と色とあとは気持ちを華やかにする効果があるのではないかなと思います。

人々の感性を刺激するイチゴ。
その世界はこれからも広がり続けます。