「隠して楽しむ“ほぞ”の粋 〜 東京の指物 〜」イッピン

イッピン

木だけで生活の道具を作る 東京の指物 を紹介。美しい木目を生かした机や遊び心に溢れた箪笥など、あえて手のこんだ場所を隠して木の魅力を引き出す職人の技と心意気を見る。

釘を一切使わず、木と木を正確な寸法で組み合わせて作る指物。今回は東京の指物を紹介する。徳川幕府が呼び寄せた職人たちが、武家や歌舞伎役者などの生活の道具を作ることで発展してきた。最大の特徴は、「ほぞ」と呼ばれる木のつなぎ目を隠すこと。まるで一枚板を折り曲げたかのような表情を見せる文机、組み立て式の持ち運べる茶室、さらに箪笥の隠し鍵など、東京ならではの美的センスにあふれた 東京の指物 の魅力に迫る。

初回放送日: 2020年11月10日

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イッピン「隠して楽しむ“ほぞ”の粋 〜 東京の指物 〜」

 

和の空間に際立つ美しい木目の机
書物や読書をするための文机です
この文机釘が一本も使われていません
木材だけを組み合わせて作った江戸指物です
江戸指物はおよそ
四百年前から伝わる木製の家具や
調度品です
釘の代わりに使うのは
細指物の職人たちが生み出した技です
だけ気を指し合わせるだけでいい
あらゆる家具を組立ます
指物業はこんな
カラクリにまで限らないございませんけど
影がかかるような鹿ああ分かんない
ほぞ使って新たな作品を生み出す
今回は奥深い指物の世界をご紹介します
あげささんうん
東京荒川区江戸時代から
数多くの職人たちが暮らしてきた町です
よいしょおいしい指物を作る職人は
指し物師と呼ばれてきました
はいこんにちは
その一人井上英さんです

井上さんは三代続く指物師の家に生まれ
育ちました
はい塩は父善夫さん
江戸指物は木目の美しさを
いかに引き出すかが重要だと教わりました
木目が繋がればそれは美しいものだという
うん美意識ま
親方からそういう風に学んでるので
井上さんの代表作文机です
木目の美しさと
滑らかなつなぎ目が印象的です
一枚のきかと思ってました
これあの切って保存を保存を立てるというか
保存を補って
えー九十度で繋いでいます
板を繋ぎ合わせるとぞが
どこからも見えません
ここに江戸指物の技が
隠されているんです
うん他の地域の指物のほとんどは
ほぞが見える作り
江戸指物はあえて作り込んだ
ほぞを隠します
木目の美しさをとことん生かすのが
江戸の粋
そう井上さんが使う材料の多くが
樹齢百年以上
少なくとも五年は寝かせて
乾燥させるといいます
文机に使うのは
皮膚目目がくっきりと出る柔らかい木です
念入りに見ているのは
その書作りには
こういう素直な材料のほうが向いている
素直な木で幅が均一ですので
大体継いだ時も
目目がほぼ繋がって
見えるような状況になります
選んだのは
このキハダ綺麗に流れる木目が
机に入ると感じました
こういうのは
やっぱりこう材料が何になりたいかって
教えてくれているような気持ちで
私は作ってますけれど
この木八田を三分割して
二つの側面と順番に使い分けます
ここからがほぞ作り
まずは側面のつなぎ目です
だったあと文机には
四角い凹凸を繋ぎ合わせるほぞ使います
この凹凸と噛み合うように
鍵盤に形を写しております
ですね
単純に思えますが
ここにちょっとした工夫があるんです
よく見ると全てを削らずに残している
ところがあのここを逆に振り切っちゃうと
外に保存が見えるんですけれど
これを残すことによって臍を書く
掘り残した部分に
四十五度で鉋をかけます
はいうんこれが江戸指物ならではの工夫
はいほぞ見えないように隠す
通称家ほどです
これは組み合わせた場所が外側から見える
一般的な保存うちほぞは
裏側からもほぞが見えません
凹凸が噛み合った保存
削り残していた板が隠しているんです
組み立てる作業が始まりました
うんうんうん凹凸が寸分の狂いなく
はまっていきます

ほぞが隠れ
目目がきれいにつながりました

一番本来は手をかけたところなんだけど
そこを隠すというのは
江戸っ子の粋なところ
江戸指物のホゾは
十種類以上あると言われます
額縁あん鏡などの角に使われる止め方
隠しうん
こちらはろうそくほぞ
板を間に挟む飾棚などに使われます
うん箱の枠などに使う散歩百目鬼さん
大河に組み立てる複雑なほぞです
指物は江戸の暮らしを豊かにする
立役者だったんですね
うんうん井上さんの文机には
もう一つある工夫が
それは保存一うん
中央に比べて
両端の方がほぞの数が多いですよね
御像を増やした
両端は机の角手や肘をつき
負担のかかるところです
より感情に仕上げるためだと言います
ゾゾの数だけで
どれほどの違いがあるんでしょうか
すごい三つのほぞと
七つのほぞの板を用意しました
同じ材料を使い厚みや大きさも一緒
同時に少しずつ圧力をかけてみます
三つの臍は
およそにじゅーKGで折れました
ななつの補助が折れたのは
およそにじゅーごKG七つ組だと
その複雑と言いますか
あの構造がこう入り組んでる状態になるので
こう組んでる表面積ですね
これが三つ組みに比べて大きく面積が広くなる
大きくなるその大きくなった面積が多分
果汁のさに効いてきてるんだと思い
増えたつなぎ目の表面積はおよそ一点一六倍
そのわずかな差が
五キロの違いを生み出したのです
ええうん見えないところに
技をうん四百年以上受け継がれてきた
江戸の職人の心意気です
ご飯食べるときて会わせていただきます
と同じようにやっぱり木のいのち頂いてますので
そこは感謝
見た目にこだわる華奢でそれでいて堅牢というね
上品な貴婦人のような
品物作りをしたつもりです

指物の歴史は平安時代の京都に遡ります
金属が貴重だった時代
木だけで家具や調度品を作ったのが
始まりです
当時の指物は
主に貴族の間でもてはやされました
室町時代には
茶道が指物に影響を与えます
装飾を本来の素朴な持ち味を生かした茶道具が
好まれました
そして江戸時代
徳川幕府が江戸の街づくりのために
全国から職人を集めます
その中から指物氏が生まれました
武家や商人たちが頑丈で
実用性の高い家具を求めるように
江戸指物の誕生です
江戸指物は歌舞伎の世界にも
役者たちが毎日使う兄弟です
巡業先でも使い慣れた兄弟を使いたい
そんな願いを分解して
持ち運べる指物が叶えたのです
うんそして今
指物の技術は
こんなものにまで
スツケス一つで持ち運べるモバイル茶室です
茶室の建築家のアイデアで生まれました
指物の枠が空間を指揮
茶会の場面を作り出します
区切られた狭い空間で茶をたてることで
客人に敬意を示すのです
これならいつでもどこでも茶会が開けます

この茶室を手がけた増田大輔さん
です
屋外そして海外でも社会を開きたい
そんな要望に答えました
最大の課題は
軽さと丈夫さの両立でした
一番最初に考えたのが
これでちょっと持ち運ぶ
ということで思いというのがありましたね
軽量化するため柱を半分近い細さ
そしてより頑丈なほぞを開発しました
あどういう風にあのー
強度を持たせることができるかなっていうので
なるべくほぞっていうのは
あの面積を増やすことを考えていて
増田さんが工夫したのは
四本の柱を立てるつなぎ目
垂直に立ち安定した
柱を立てるための穴を二つ
さらにつなぎ目を複雑にして
ほぞの面積を増やしていきます
うんうんうん
うん
完成したなるほどが
こちら

たくさんの面を持つ穴が柱を包み込み
揺れを抑えます
柱の安定性が上がり
総重量は以前の半分にじゅー
KMになりました
あらゆる願いを叶えるため
時代とともに小僧進化させる指物の職人
私の中で刺し物
ちょっと表現方法というような感覚だと
抱いているので
アイデアをいっぱい出して言って
そこで新しい形
っていうのが出てくればいいのかな
と思ってるんですけれども

一見普通の引き出し箱くるりと回すと
しかし反対からは
お盆がたくさんの引き出しが付いたこちらの箪笥
その
中にひとつだけ宝物を
入れる箱が

あらゆる仕掛けが組み込まれたユニクな指物
作ったのは
渡辺明さん職人歴四十年の指物師です
いやその楽しいじゃないですかあのー
やっぱりちょっとした驚きがあったりね
渡辺さんがお気に入りの仕掛けを散りばめたのが
このタブス
回転する飾棚
へそくりの
隠し場所

どれも指物の技術だけで
組み立てられています
使っているほぞはおよそ二十種類
中でも渡辺さんにとって
特別なほぞがあります
引き出しを取り出して
内側に隠された仕掛けを持ち上げると
実はこれ指物業で作った鍵なんです
うんつまみを上げると突起がせり出し
引き出しが開かなくなる
仕掛けある指物との運命的な出会いで
生まれたものだといいます
渡辺さんが指物の道に入ったのは
十八歳の時家は代々続く指物
一家駆け出しの渡辺さんは
古い指物の修理をしながら
技術を学んでいました
そんな渡辺さんの下に
ある仕事が舞い込みます
昭和三十年に作られた京大の修理です
依頼されたのは鏡の交換だけ
ところがワタナベさんは
引き出しに隠されていた鍵を発見します
この鍵をいつか自分で作ってみたい
三年後初めて請け負った兄弟に
こっそり鍵を付けてみたところ
客は大喜び
以来様々な注文の白に
鍵を仕込んでいます
よしやっぱり使ってくれるのは
ここのお客様ですから
その人のために作りますからね
面白く楽しくえー
使ってくれるようになればいいかな
と思ってるんですよ
柿のホゾは材料をつなぐ
ほぞよりも難しいと渡辺さんは言います
ちょっと鍵を滑らせる
微妙な太さの加減が一番の悩みどころ
棒がぴったり入りましたが
入りますけどね
入りますけどいやいやいやいやこれ
ちょっときついですよ
いつものこの止めのつのところに
加工するほ象よりも
えーかなり緩めにこう動きますからね
緩めにあの入るようにします
女性が使ったり
高齢者が使うからあんまり堅いとねよいしょ
誰がどんな状況で使うのか
指物師の心配りがここにも

はい納得のいく理想の滑らかさに仕上がったようです
このほぞに特急を張りこれが鍵に引き出しが入る板に同じ大きさの穴を開けます
これが柿の通り道に引き出しにも同じ大きさの穴を開ければ完成です

ワタナベさんの原点となった兄弟の写真
今も大切にしまっています

やっぱりねいい仕事をしたものが
こうやって残ってくるっていうのがね
昭和三十年先それでまた私が職人としてね
やってる中にあいいし仕事だなって思われるぐらいに私もいい仕事を残していきたいですよね

適正な見えないところに技を施す江戸の職人たちの心意気が息づいていました

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aerith
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