夜明け告げるルーのうた

夜明け告げるルーのうた

見る人を選ぶアニメーション作品の一つです。

「夜明け告げるルーのうた」

夜明け告げるルーのうた

湯浅政明監督の「夜明け告げるルーのうた」。
精緻な画像と極端にデフォルメされた画像が同居する、まか不思議なアニメーション作品です。
読後感は☆☆☆☆★。

1時間半近くの時間を引っ張るためには「物語」が必要になります。
少年と人魚は効果的に配置された道具だと思いました。
絵を自在に動かすことを楽しむという湯浅監督作品の味わいは、
物語の設定をとりあえず割り切って見ていくと立ち上がってきます。
海中探検やダンスシーン、終盤の洪水シーンなど圧倒的に迫ってきたのは
現実にはあり得ない景色や情景を躍動感あふれる表現で描いた動画の力でした。

新聞評・夜明けづけるルーのうた

監督は観客が持つであろうアニメーションの記憶を揺さぶります。
ポニョに似たキャラクターのルーや、トトロに似たルー父の登場に
私は監督のアニメーションに対するオマージュを感じました。
重要な仕掛けは「ルーに噛まれると人魚になる」という設定です。


終盤の大災害で、観客は東日本大震災の恐怖を共感します。
そのとき恐怖を救いに変えてくれたのが
「生者に安らぎを与えて死者として海に返す」というルーの行為でした。
土台となるメッセージがあってこそ、湯浅作品の大胆な表現が楽しめるように思いました。

表現主義者と書いた記者はアニメーションに選ばれた側の人だと思います。