日曜美術館 「伝統は冒険のために〜第68回 日本伝統工芸展 〜」

日曜美術館 「伝統は冒険のために〜第68回 日本伝統工芸展 〜」

卓越したものづくりが一堂に介す日本伝統工芸展。今年も、応募総数1200点あまりから選ばれた作品が全国十か所を巡る。26歳の受賞者も誕生するなど、若手の活躍も著しい今年。審査委員は「これしかないんだって開き直った構えのものが多い」と嬉しそうに語る。アトリエ訪問なども織り交ぜながら、入賞作16点全てを、美しい映像とともにお届けする。伝統に根ざしながらつむがれる冒険の数々をお楽しみに。

初回放送日: 2021年9月19日

 

日曜美術館 「伝統は冒険のために〜第68回 日本伝統工芸展 〜」

不思議な肌
吸い込まれそうな色
全国から多彩な技と表現が集まる
日本伝統工芸店がやってきました
なんでも今年は
新たな風が巻き起こっているのだとか
若手からベテランまで
エネルギあふれる作品が勢揃いはいうん
とてもこう見てても嬉しかったですね
側がこうワクワクするっていう
そういうしさでしたね
今年はやはりこういうこの中でも
もう一度自己を見直していくっていう
そういう年でもあったような気がして
今これやってていいのかしら
はいだからそれはたぶん
去年の思いだと思う
はい去年こんなことしていいだろう
今年はもうこれしかないんだっていう
ある意味こう開き直った
もう私がこういう表現しかない
こういう生き方しかない
作って行くんだものを
せっかく家にいる時間が長いんだから
もう集中したものを作って
それを皆さんに見て選ばれし珠玉の受賞作
十六年今日はその魅力をとことん
をお届けします

富山県高岡市番組の司会
小野さんがやってきたのは
雷がでもそういう立派な建物でね
こんにちは失礼しますよろしくお願いしますあ
初めまして新と申します
よろしくお願いいたします
神谷ひとみさん数年前から大学に籍を置き
失言や文化財修復の研究をしています
あ新谷さんの受賞作
乾湿銀豹紋八巣箱光を放つ
銀の模様は
所作零てん二ミリの銀の板を切り抜いて作る
銀平門という技法
うん六角形の模様の中には

側面には八のはね
箱を開けると
螺鈿で作られた上八が姿を現します
この辺ですか
作業場では
学生と一緒に机を並べています
星座さんの机は結構きれいですね
ちょっとこの日のために片付けて
今ちょっと僕はそれで気が付いたんですけど
小野さんが見つけたのは無視
虫を拾って集めるのがま半分
趣味みたいなような感じで
わざわざあのー何て言うんですか
標本なんかにするために
あの虫をとったりっていうことはしてなくて
っていうか昔からそんなに興味がなくってで
結構虫ってまあ
人間の生活の近くにいると
結構アルミサッシの中で死んで
たりだとかで集めて
でなんかまもちふとかにするように
ちょっと集めて虫を愛し
折衝を避ける神谷さん
今回参考にした作品があります
あっ清掃員にある原平脱鏡
箱っていう箱があるんですけどなら
焦燥院に収蔵される銀平達の鏡ははい
唐草模様の中に描かれているのは
オシドリです
八はいないですよね
八はいないですね
ここのオシドリが加えてるのって
蓮の花を加えているんですよ
そうあの蓮の
あの実のことを蓮っていうですよ
そこでもう勝手に
私の中で八十蓮が繋がったんですよ
銀の板を糸鋸で切り抜く銀平もん
そっか手間がかかる故に
担い手が途絶えつつある技術だと言います
新谷さんは正倉院宝物の修復を手がける職人から
その技を直に学びました
触ってもよろしいですか
離れてじゃ今度難しいですね
もう用事そのものがそのものが美しい
伝統の技に支えられた
神谷さんの八のもんよ
人間がその虫を見た時に
その作り上げる文化
っていうところに興味がありまして
もうまあ昔からあのー
例えば朝だとかトンボだとかっていうのは
蒔絵で表現されてきたりだとか
そういうものがあるんで
焦燥院にある模様を一つ下敷きにして
昔の人たちの心となんか今の人たち
の心みたいなのが
こうなんか蜂の巣を介してリンクできないかな
みたいなそういう思いええ
古と今とをつなぐ鏡箱です
へえ素焼きに色をつける伝統の博多人形
幻想的な作品が誕生しました
博多人形の制作に携わり
四十一年ナカムラ信教の手によるものです
ありがとうございます
森を表わす幾何学模様ええ
その上には螺鈿で描かれた流れ星が
はい
はい

滑らかな白い肌に宇宙を移す青色の人
ああ新型ウイルスの収束と
人々の平和を願う星の妖精です

透き通るような衣に光が灯る
火のような琉球臨画薫物

薄いグレーで染め上げた記事
その上に鮮やかな顔料で描かれたのは
島唐辛子はいはい
光をまとうことさえできそうな一枚です
作者の千年大正琉球王朝に仕え
紅型三層四年気の末裔の一人です
大阪やミラノでグラフィックデザインを学び
二十九歳の若さで
祖父母から工房を引き継ぎました
昔の見方っていう琉球王朝の方っていうのは
今見ても色あせない力強さであったりとか
模様の付き方っていうのをしていて
ただそれがそのままじゃ和服になってと
やっぱりこの現代の姿には
もしかしたら似合わないところが
出てくるかもしれない
だからそういったところをあのー現代
にあったんだろうとして
少し考え直して作ってる
っていう部分はあります
代々続く伝統の技を受け継ぐ若手作家は
ここにもうんこちらですね
生殖講師す失礼しますこんにちは
よろしくお願いします
江戸小紋作家の小宮剛さん
失礼しますうわくらいですね
普段真っ暗な作業場は
想像以上に小さなヘラで
乗せるのはノリです
最小限の明かりの下のりが乾く前に
素早く均等に乗せていきます
コミヤさんの家は江戸小紋め曾祖父から始まり
祖父も父も人間国宝
今は父泰正さんの元で
修行を積んでいます
そんな小宮さんの受賞作が江戸小紋着尺翡翠
ここにカワセミがいるというのです
わかりますか一つのパターンがですね
この上のこれになってくる訳ですね
でこれを一個作るのにえこれをですね
こうやって回転させてあげると
一つにあのーこのパターンはできるんですけれども
全部パソコンでデザインするんですけどそうですね
全部やってしてしまいますね
なんで翡翠なんですか
葛飾区にも霞がいるっていうことを知って
ちょっと見に行ったりして
どこまで見に行ったんですってました
水的声に来ててそうですよね
いるんですよね
それでまあその時
ちょうど運良く見られてはいうん
そのときはそのあのーまだあのーなんか部屋
の中から見れるんですけれども
そのガラスにぶつかっちゃって
それでその脳震盪起こしちゃって
じっとしてたんですけど
それでよく見れたっていう
そういう話なんですけど
うん本来代々続く柄を少しずつ変えながら
デザインを作り込んでいくえー何処
しかしコミヤさんは
一から新しい柄を作ることを
目指してきました
本当にうん
こちらはダイス目を凝らすと
一から六のサイコロの目が並んでいることが
分かります
離れてみると
全体に縞模様が浮き出てきます
こちらは八二匹の八が組み合わさり見事だ
江戸小紋にああはいあそこちょっと
もしこれが自分で着物としてして
上がった状態で来たときに
こうちょっと翡翠なん何それ
みたいな子ですよね
カワセミだって言ってもらえたら嬉しい嬉しいうん
新たな風に心が躍る
伝統の技から生まれる冒険
に感謝
うん真っ青踊る白波
その美しさに魅せられた作家は
一枚の着物を作りました
小林幸子さん普通織木綿着物
今回出品された千二百四十点で
最高の評価を受けました
使われたのは
白から深い藍色まで
濃淡の異なる実食の意図
それを縦と横に自在に組み合わせることで
百色もの色が生み出されています

散りばめられた城は岩肌に空けられる何支部

雄大な自然と心を誘う一枚です

ガラス花入れ五月雨

ガラスの内側に
幾重にも刻まれた細かい筋緩やかなか分を
描きながら輝きを放ちます
この作品は作者が目にした
ある光景から生まれました
あのーうち高校生の息子がありまして
いつもあの駅に車で迎えに行くんですけども
で春のあのこう眺めの梅雨の時期に
あの迎えに行ってて
車の中にでこう待ってる時にですね
こう雨がしとしと降ってるで
雨が降フロントガラスをこう降って
落ちてくるのを見ててこのあの
奇麗なあの内側のカットを
こう垂れてくるようなカットをそのまま生かした
器にしようかと思って
そういう形にしたんですけども
はい雨だれが認めするような形は
独特な手法で生み出されます
まずは材料となるガラスの板に
四ミリ間隔で線を彫り込みます
この先がどうやったら
あの優美な曲線へと変わるのかで
この上にちゃんとした目をこう
上においてですね
解けた時に
こう垂れて落ちてくるような
垂れて落ちてくるような状態になります
電気論に入れて二日かけて徐々に加熱
そして頃合を見定めガラスを一気に溶かします
時間管理は秒単位受賞作の時は
七百四十度で五分四十秒だったのだそう
うん

垂れた形が生まれていました
これでも電源切ります
でここであのもう全部電源切ってま
これからあの自然条例するんですけども
あのガラス自体が熱を持って
軟らかい状態になってますんで
今からまだこう浮いてるんですね
開けた時に
どうなってるか
っていうこのなんていうんですかね
ワクワク感っていうか
そういうのがま面白くてやっ
てるんですけど
かなり緊張感のあるあの技法になりますね
はい光を複雑に反射するガラス
その向こうにかけがえのない日常が甦ります

夜の間に降り積もった雪
その姿を形にしました
乾漆箱親切うん分割優しい塗り肌は
刷毛で塗った後に磨きをかけない
塗りたてという技法によるもの
なだらかな甲賀見る方向によって
全く違った表情を見せます
雪の柔らかさそのものがここにあります
春が来るたび
近所で見かけるハクモクレンの端開口太郎が構想
九年をかけ形にしました
ふっくらとした花びらを表わす曲線
穏やかな木目にも春の気配が漂います
躍動感を生み出しているのは足掘り出してなお
バランスを失わないのは高い技術があってこそ
春の命が輝いています
こちらは山の風景です
黒炭含嗽箱みやまの彩りへえうん
青く染めた鹿の角と赤色が鮮やかな好機
新緑から紅葉へ
季節の移り変わりを表しました
自宅近くの山で過ごすのが
何より好きだという作者
その喜びが溢れています
今回の最年少受賞者二十六歳の松江だ
タカヒロさんです
この映像は去年
病気で亡くなった父親
哲也さんが受賞した時のものです
うんそれから一年
今度は自らが受賞者となりました
久留米かすり着物
森のひかりあまおとしとしとと雨が降り
柔らかな甘音が
春の森の中に満ちている
そんな光景を
愛の縞模様と
擦りの幾何学的な模様で表わしました
ございます光と音が溢れる
詩情豊かな一枚です
その絶対的な技術っていうのは
これからしっかり身につけていきたいなとで
ま新しいこともできればですね
取り入れながらこれからですね
どういったことがあるできるのか
どんなことに挑戦できるのかっていうのも
こう考えながらで
先に打ち込んでいきたいな
と思っています
うんその穏やかな眼差しは
何を見つめているのかはいタイトルは争点
足元を直足袋と脚絆で固め
手には川のグロそう高城です
しかし高は描かれません
見つめるのは
大きく羽を広げたたかが舞う青い空

作者の攻防は岐阜県高山市にあります

坂田一森さん
木彫の仏像を専門とする仏師です
二十歳で物資となり
その後僧侶にもなった高田さん
今も修行を続けながら
仏像を彫り続けています
仏像を怒るということは
信仰の対象のものですので
自分が別像を作るのに
本当にふさわしい人間であるのかとか
そういうどっちかって言うと
悩みの方が多かったですね
はい四年前
高田さんは人生を変える
ある人物と出会います
うん人形制作の人間国宝林こまおさん
偶然見学に行った人形教室で
素晴らしい技術に一目惚れ
すぐにでした弟子入りを志願しました
うん師匠の教えはものではなく
空気を作れる
うんうん先生がおっしゃいます
には動け動けとうん
語れ語れと言いながら作って
あとその人形の目になって
この人形が何を見ているのか
何を考えているのかはい
さっきまで悲しそうな顔だったら
ちょっと希望のような表情にちょっとなり掛けて
なんか表情変わってきた
うんうん四十六のおじさんが人形とタレカツ
あれって言ってたらちょっと怖いんですけど
つまり心の中で書かれたへえ
師匠の教えを胸に
四年目の人形師が挑んだ空気です
うんうん透き通るような
肌帰れの持つ清楚な姿が
見る者の目を奪います
素材の魅力を引き立てるのは
抑制の効いた幾何学も
五ミリに満たない小さな模様が千六百
あまり掘られています
朝八時から夜中の二時まで
根気のいる作業を十日間あまり繰り返し仕上げた
渾身の作品です
うんはいぽつんと浮かび上がる
一輪花象嵌の技が光る金属製の箱です
一枚ずつ張られた金銀の箔
花びらの優美な輪郭には
補足叩き伸ばされた銀が埋め込まれています
うんええ作者は三十二歳きれいだな
と思って欲しい
素朴な思いが形になりました
へえ自然と人間との関わりを体現している
と評された器があります
こんにちはこんにちはこんにちはこんにちわはじめまして
はじめましてと申します
試しと申しますよろしくお願いします
よろしくお願いします
作業をすごいされてるんですね
これは巻きは自分で作っているんではい
あの薪割りをしてました
はいはね四十三中学生の時のろくろ
体験がきっかけで陶芸の道へ
うん四編つつ書き上には
ぽっかりと大きな口が開いています
青みがかった地肌
鉄分を含む四種類の土を配合して
焼きしめたもの
はいのこぎりの歯でつけた櫛目が
独特の風合いを醸し出します
うん力みなぎる立ち姿
この作品は一体
どのように生まれたのでしょうか
これをなんかちょっと古い感じですね
失礼します
でも作品はあるけどこれすごいですよね
なんか色々色々ありますよね
色々あの趣味でここであの酒飲みをしてます
はいサケ酒飲み過ぎて
あの趣味のスペースですね
もうほぼほぼ毎日飲まれたほう
怒られながらほぼ毎日やってますあれですか
結構あのお酒をなんかこう仕事をされる
ときに六を引いてる時には
あのーお酒をいただいてから
やることが多いですねえーそうですね
仕事の源だと思ってますんで大体そうですね
ビル飲んでウイスキだったらロック
三四杯飲んで
それででこのあのえーといいか
そろそろいいかなと思って
あの仕事に入るっていう晩酌の後
とか夜にあるんですけど
大きな作品は夜中のが集中できるので
夜にほぼほぼ作ります
はね子さんが
晩酌の後に作品を作るようになったのは
およそ十年前
体力の衰えを感じるようになった頃
でした
うんなん
土を力で押さえ込もうとしても
ままならない

そんな中深夜ほろ酔いで工房に入ったところ
これまでにない感覚に出会ったのだ
と言います
うんうん重さ
十五キロの土の塊

それは
アルコールが入ってるとあのそうですね
あのいい感じに
あの動き出すって感じもします
土と喧嘩をせず
土のなりたい形に任せる
いつしか自然なフォルムの作品が
焼き上がるようになっていました
この指先が一番接点ですから
この器がなりたい形というか
年度のなりたい方向を感じますね

ああこれでも美しいですね
こう質感がありますよね
猿とすごいなあこれはそうですね
すごいなほんとだ
これまおらがっていうことがこうとてもこう
それはなぜですか
自分で思うに
肩肘はって一生懸命作ってたよりは少しこう
力を抜いて
うんあのリラックスして作るようになったら
なんか
こうおおらかな形になったような
気はしますね
はい土と一つになる
新たな冒険の始まりです

大の大人がを抱えられるほどの大きな器
二十キロもの土から作られています
曜変流行財布か町その名の通り
鮮やかな光が器いっぱいに流れます
ええ作者の林恭助は二十年前
国宝曜変天目茶碗の再現に成功した
陶芸家
はいその後も研究を重ね
美しさと大きさを兼ね備えた
前代未聞の作品を作り上げました
はい千年の都京都
ここに古代から続く技術を守り
作り続ける職人がいます
うん
金工作家高橋亜子さん
路肩中止を書き
銅の合金でできた高さ
二十八センチの花池です
なんとも不思議な風合い
それを生み出すのは
今では受け継ぐ人の
少なくなった方の作り方です
その主役が論松脂や蜜蝋などを溶かし
合わせて作ります
郎は木や石膏に比べて自由な形を作れる
一本冷えて固まるまでに
作業を終えなければならない難しい素材です
高橋さんは生涯をかけて
この素材の可能性を追求してきました
よいしょうん三十代の頃に制作したのは
鳥獣戯画のあの有名な場面
ロー鄙里ウサギやカエルを手足の先まで
表情豊かに表現しました
六十代では
こんな不思議な器も編み込まれた
紐によって支えられたカキ
ひも状のろを素早く
正確に編み込んだ
技術の水を集めた一冊です
うんそして七十代を迎え
挑んだのが即興の世界です
一息で伸ばしたろう
その形のありのままを書きの形にしてしまう
というのです
皆さんあのー木の肌みたいだとか
いろんなこと言われるけど
私はやっぱりこれは
労働自体の面白さだと思って
特に何も考えてないですよね
でその時のあの色の具合で
あの固く炊けることもありますし
それから少しはわずかに柔らかい時もあるしあのー
本当にそのときの欄に任せる
っていう仕事ですね
これはそれ以上のことは
ほとんど考えてないですね

いくらでも高炉の使い方を追求できますから
体力と忍耐力
そういうものがあのー続く限り
あの追求していきたいなと思います
次は何したいちょっと秘密
ちょっとまだ頭の中だけなんですけど
今度はああれを追求しようとか
今年も無事に開かれた日本伝統工芸
作家たちのあくなき探究心が
風のように吹き抜けていきます