<File 410>演目に合わせ、何十着の中から選び抜くコダワリの着物。客を一瞬で落語の世界にいざなう、羽織の演出とは? 花魁(おいらん)、お大尽、若い衆…あらゆる人物と情景を伝える「しぐさ」の極意! 開演合図の太鼓「ドーン、ドーン」は「どんと来い」の意。帰りの太鼓は「デテケ、デテケ(出てけ、出てけ)」。寄席の“音”には意味があった!三味線や太鼓など、落語を支えるお囃子のスゴ技も紹介!<File 410>
【出演】草刈正雄,五明楼玉の輔,柳家さん喬,古今亭菊之丞,太田その,【語り】木村多江
放送:2018年10月8日
美の壺 「江戸の落語」
落語ブームの昨今。気軽に落語が楽しめる場所が増えています。
落語には伝統芸能ならではの魅力があります。
落語を演じる噺家が纏うこだわりの着物や羽織。
息で洒落た演出が光ります。
江戸の落語の世界をご案内します。
噺家の着物
江戸の終わりから続く呉服店。
噺家の着物を多く扱ってきました。
6代目店主二谷仁吾さんです。
「噺家さんたちは今も粋な感じを大切にしている方が多いかと思います。 色としては定番ですが、紺、ねずみ色、茶と緑と紫。柄は島田とか、一見無地に見える江戸小紋」
江戸小紋は遠目では無地に見えますが近寄ると細かい点で波の模様が描かれています。
これは「万筋」ごく細い筋が無数に入っています。
こうした着物は上方の噺家のものとは全く異なります。
その理由は江戸と上方では落語を演じる場所が違ったからです。
「上方落語は神社の境内とか道端で演じられている芸。どうしても歩いている人の足を止めなければならない。そのために派手な演出が必要。江戸の落語は座敷で演じられるものがほとんど。落語を聞きに来る客。派手さが求められないところが江戸落語の粋につながってきているのではないでしょうか」
NHK(BSプレミアム)「美の壺」に出演しました。 | 染と織 上野の呉服店 | 小池屋(公式)
重要な役割を果たす着物
古典落語の名手柳家さん喬さん。誰もが認める着物の達人です。
着物や羽織を見せていただきました。
全部で100以上もあるそうです。さん喬さんは落語の演目に合わせて着物を選んでいます。
「着ているものに撚ってお客さんも想像しやすくなったり、自分もその気になれる。世界も作りやすくなるというのが噺家とって着物を選ぶ大きな理由にもなるんじゃないかなと思いますね」
高座では羽織が重要な役割を果たします。噺の本題に入るきっかけや、場面が変わるタイミングで羽織を脱ぐのです。
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