美の壺 「あかあかと燃ゆる 炭」

2023.12.13.美の壺「あかあかと燃ゆる 炭」

日本では30万年の歴史をもつ炭▽炭にこだわるうなぎ屋。表面はカリッと身はフワッと焼き上げる炭の威力▽炭の最高傑作、紀州備長炭。365日炭を作り続ける秘密と職人の根気▽茶事で欠かすことのできない菊炭。裏千家茶道家による炭手前。考え抜かれた炭の組み方から茶事で感じる炭の移ろいまで▽炭の暖房・火鉢。美食家、北大路魯山人も愛用した火鉢とは?築170年の古民家でいろりを囲んで家族団欒。<File 594>

初回放送日:2023年12月13日

美の壺 「あかあかと燃ゆる 炭」

日本では、三十万年もの歴史を持つ炭。文明の発展に深く関わり、今も暮らしに息づいています。炭が持つ力は、食べ物の味わいを変え、人々を虜にします。炭の最高傑作とされる「紀州備長炭」。三百六十五日、火を絶やさず、窯を職人が見守り、鉄のように硬い炭を生み出します。その技は三百年以上にわたり受け継がれてきました。

炭は茶の湯でも大切な役割を果たします。大小八種類の炭を使って炎を調整し、その美しさをめでる「わびさび」の精神。日本人は、炭を通して時の移ろいも楽しんできました。

築百七十年の古民家では、炭をくべることで家族が集まり、だんらんの場となります。今日は、人々を温かく包み込む炭の魅力をご案内します。

「あかあかと燃ゆる 炭」

北九州市小倉北区、地元で人気のうなぎ屋です。店の主人、吉岡隆さんの一番のこだわりは炭。使うのは備長炭です。「これで焼き上げると、ふっくらして、しかも表面がカリッと仕上がります。一度炭を使ったら、もうガスには戻れません。」高温で固く焼き締められた備長炭は、不純物がなく、安定した火力が長時間続きます。さらに、強力な遠赤外線が食材の芯まで火を通すため、料理人に好まれています。

吉岡さんは、うなぎを炭に極限まで近づけて焼きます。「もう極端に近くします。それが難しいんですよね。最初の五、六分が勝負です。」焦がさないギリギリまで炭に近づけて表面をカリッと焼き上げ、その後はうなぎを軽くたたくように焼く「こなしの技」で、身をふっくらと仕上げます。

さらに、炭に落ちたタレやうなぎの油が炭の香りと相まって、煙となり、うなぎを豊かな香りで包み込みます。「炭の技は、もはや私より上の調理師かもしれないですね。」まさに、人の手を超えた炭の力がなす一品です。

今日最初のツボは白き魔術師

備長炭(ビンチョウタン)は炭の中でも最高傑作の一つ。その理由を紐解きます。表面が白くなることから「白炭」とも呼ばれる備長炭。平安時代に弘法大師(空海)がこの白炭の技術を中国から持ち帰り、広めたと伝えられています。備長炭は鉄のように硬く、金属のような音が特徴です。和歌山県南部町で生産される備長炭の中でも最高級とされるのが、紀州備長炭です。

西端市の炭職人、岡崎光夫さんに備長炭作りを見せてもらいました。訪れたのは、備長炭の材料となるウバメガシの林。和歌山県の県木にも指定されています。「この岸和田の木は最高ですね。木が硬いので、炭に火をつけた時の温度が高く、火持ちもいいんです。これがまさに最高級品です。」

一度の炭焼きに用意するウバメガシは五百キロほど。木材の中でもとりわけ重いウバメガシを一本ずつ伐採し、運び出します。長さや形を整える「木造り」をして釜入れします。炭焼きは三百六十五日、絶え間なく行われます。窯の火を一旦絶やすと炭焼きに最適な環境が失われるため、常に窯を良好な状態に保つ必要があります。

釜入れにもこの地域ならではの特徴がありました。ウバメガシを縦に立てて並べる「縦詰め」です。「空気の通りがええの。やっぱり寝かしてしまうとね、どうしてもその下の方の空気の流れが悪くなる。けど縦に詰めると、空気がよく循環して木が乾燥し、ガスが出て燃焼が進むんです。」また、窯の素材も一工夫あり、レンガと赤土に限るのだとか。「これがコンクリートだと炭がダメになる。レンガと赤土が、先代たちの経験で一番いいとされているんです。」

釜の入り口に火をつけ、すべてを密閉します。釜の温度が上がると、原木の炭化が始まります。煙や匂いで釜の中の状態を見極めながら約二週間。いよいよ「玉出し」の日です。朝七時から一時間おきに少しずつ穴を開けていきます。不純物を燃やし切る「ねらし」の作業です。「空気を入れて、炭を真っ赤に光らせます。ゆっくりやらないと、急に空気を入れると炭が割れちゃいます。焼き締める感じですね。」

ビンチョウタンと並んで炭の傑作と言われるのが菊澄ですくぬ着などを材料とし、放射状の割れ目が入る 断面が菊の模様になることからその名がつきま した敏感感とは 違い、自然に消化させることで黒く仕上がるため、黒ずみとも呼ばれます菊澄は茶人千野離宮が茶会で使用したことで全国に広まったと言われています茶事ではお湯を沸かすために炭を汲む隅手前の作法がありますみんな作動家の大前早貴さんです使用するのは菊墨です大きさや形の違う七種類の菊墨と、ツツジなどの小枝の墨に白い顔料をかけた枝摘みを使います二国四時間このお茶汁があるものですから、なるべく火を持たせるということでいろいろな種類を考えたんだと思いますねお茶を飲むためには、やはりこの日をいかによく起こすかということが一つその間のですねこの移ろい揺らぎといいますか、それを感じ取っていくというのが根本的にはあるのではないかと思います

今日、二つ目のツボは揺らぎに宿るワビサビの世界

大前さんに住み手前を見せていただきました路の中央にたね火となる炭を置き、その周りに炭を汲んでいきますそして丸議長ですね割り切っちゃうで、もう一度丸ですね丸っと終わりですねそしてこれが導火線になりまして、火がつきやすくなるということですねそして天然が入る火力が、ねこの置き方によって、立てておくと火力強くなるんですね、横に塗ると弱くなるというねそれで、今この見ていただいて、斜めに入っているんですねだから、ちょうどいい時間と、ちょうどいいこの 火加減これはやはりこちらの合理的なところじゃないかと思うんですねちょうどいい温度になるよう考えられた炭の配置最後に大きな銅積みに火が回り、チャジが行われる間、火を保つ工夫が殺されていますああねえラーメンだ炭の役割は、お茶をたてるためのお湯を沸かすだけではありません最初ですね、真っ黒の墨が徐々に火がついて 由来、そしてその徐々に灰になっていく、そのうつろいですねこのやはり移ろうというところを、人々はそのお茶屋人たちが楽しんできたのではないかと思いますパチパチと音を立て、わずかに炎を上げながら輪っかに燃える炭チャジが進み、時間が経つことでやがて白く灰になっていく様は、まるで炭が生きているようだと大前さんは言いますやはりなくてはならないんですね 炭がないとやはりお湯が沸かせないお湯がきれいに沸いたところでですね、皆さんがやはりおいしいお茶を飲んでいただけるというので、炭がないとですね、やはり火が起こさないただ今はもう時代的にちょっと変わってきてますけども、その中で こ のお墨を大事にしていくっていうのが一つ日本人の心ではないかと思います墨のかわり、ゆくさまに、ときのうつろいを感じとる心がありましたはい、よし、よし、はい、買ってきたよ、炭これ全部炭ですかうん、こんなに種類があるとは思わなかったわかんないからさ、片っ端から買ってきちゃったよえー、どれ使うのかね墨を使った暖房といえば火鉢昭和の初めまでどこの家庭にもありました火鉢とはどこにでも置くことができる土の一種で、奈良時代にはすでに使用されていたと考えられています枕の創始春はあけぼのの一節です日よけとは火鉢のこと温かくなって火鉢の炭火が白い灰になってしまうのは良くないと記されていますその後、江戸から昭和にかけて様々な火鉢が登場しましたこちらは関東を中心に使われた長火鉢です主に欅で作られています使い方に特徴がありましたこちら側に停止ですよね、向こう側にはお客さんというような形で、対面で座って使うような火鉢になります火鉢の中はほとんどのものが銅になっておりますこの中に灰を入れることによって、そこに炭が乗っかって初めて一つの道具として成り立つわけですねこちらは関西長火橋です火鉢の周りをテーブル状にすることで家族が 集まれるようになっていますそして、美食家として知られる北王子ロサン人も火鉢を愛用していました本来、天ぷらの茶漬けは古い天ぷらの利用にあるそれにはまず火鉢に網を乗せ、一旦天ぷらを火にかける料理だけではありませんこちらはロサン人が四十歳頃に自身の店で使うために作った火鉢です高さ二十センチメートルほど墨を入れ、手を温める手炙り火鉢ですロサン人で本当に多彩ということに知られているんですが、様々な経験をしているからこそ、他の陶芸、彼は真似ができないような技術というものを随所に見ることができるかと思います食を楽しむ空間の彩りに墨を加えるロサン人の息を感じ取れる作品初夏や楽観誌としても活躍したロサン人ならではの書体や浮き出た文字が独自の世界観を作っています

今日最後の壺は、炭火を囲み和むひととき

千葉県調整群築百七十年の古民家です古民家に住む奥野さん一家です古い家に住みたいと八年前に購入自分たちで修復しながら暮らしています特徴は、なんといってもそうかやぶきの屋根専門の職人たちと一緒に吹き替えましたかやぶき屋根に欠かせないものがありますいろりです煙がかやぶきの内側に入り込んで、虫を寄せ付けなくなったりだとか、雨漏りとかにも強くなります一年を通して週に一度は火を入れています囲炉裏は家の補強にも一役買っているのですはい、あんみとハウスに行ってきたよ奥野さん一家の週末、囲炉裏を囲んだお楽しみがあります週末になると、家族で食卓を囲んで、お餅を焼いたり、いろいろお肉とかお魚、これ、誰かが暑い暑い暑い暑つ、なかなかですねコンロで簡単に火がつくと思うんですけど、やっぱりそこに一手間加えることで自分も楽しいですし、子供たちもちゃんとこう火がどうやったらつくのか、食べるものがどうやったらこう柔らかくなって食べれるようになったかとかわかるんで、すごいいいなぁと思います体と心をじんわり温めてくれる炭のある暮らし昔も今も和みのひとときがそこにあります