日曜美術館「見つめる眼 震える心 由一、劉生 ニッポンの写実画のゆくえ」

【出演】平塚市美術館館長代理…土方明司,画家…水野暁,【司会】井浦新,高橋美鈴

初回放送日: 2017年8月20日

日曜美術館「見つめる眼 震える心 由一、劉生 ニッポンの写実画のゆくえ」

平塚市美術館で開催中の展覧会「リアル(写実)のゆくえ」。高橋由一の「鮭」に並んで展示されているのは磯江毅の「鮭~高橋由一へのオマージュ」です。

本物のように描きたい。明治のはじめ日本の洋画の先駆者・高橋由一((明治時代、本格的に日本に入ってきた西洋画。日本の洋画の先駆者・高橋由一は「真に迫り妙に至る」ことが絵の本質と語り、モノの形の置くにある”生命の深淵”を描こうとしました。))に始まる「もの」への迫真の眼差し。

その眼差しは大正の世になると岸田劉生((大正期の画家・岸田劉生は一見”ひずみ”を感じさせる独特の写実で、内なる美を表現しました。))によってさらに研ぎ澄まされます。

見つめる”もの”へ画家自身のリアル”震える心”をも投影し、歪みさえも孕んだ、ニッポン独自の写実画を生み出しました。

「すべての本質は形に宿る、外形に宿るという考え方。高橋由一にしても劉生にしても、形をとことん追い回して、なにを求めるのかというと、本質的なもの。形に宿っている本質的なものを引きずり出そうと。それによって我々が見慣れた現実がちがうものに。あるしは現実を乗り越えてしまうものが本質には込められているのではないか」

明治から150年。西洋化が進む中で日本人は何をみつめ、何を描いてきたのでしょうか。

パソコンやスマートフォンが広がり、バーチャルリアリティが席巻する現在においても、画家たちは手を動かし、絵を描き続けています。

こころ震えるものを絵にしたい。ニッポン独自のリアル。その写実の行方を見つめます。