【奇跡】逆転人生、ドラマがすごい

逆転人生

ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。
実際にあった奇跡の逆転劇を紹介する新番組。
大手ビール会社の営業マンだった湯澤剛さんは、父親が急逝したため家業の居酒屋を継ぐことに。
ところが居酒屋は40億円もの借金を抱えていた上に、客から見放され閑古鳥状態。
湯澤さんは過酷な取り立てに苦しみながらも、家族や社員と協力して居酒屋を再建。
なんと16年で40億円を完済した。奇跡の逆転劇を迫真のドラマで描く。
スタジオでは専門家集団が奇跡のワケを徹底分析。
放送:2017年10月7日 再放送:2017年10月15日

湯澤剛という男

1962年神奈川県鎌倉市生まれ。株式会社 湯佐和 代表取締役。((早稲田大学法学部卒業後、キリンビール株式会社に入社。国内ビール営業を経て、人事部人材開発室ニューヨーク駐在、医薬事業本部海外事業担当などに従事。 1999年、創業者であった父の急逝により株式会社 湯佐和を引き継ぐ。40億円という莫大な負債を抱え倒産寸前の会社を16年かけて再生。現在は神奈川県下で、14店舗の飲食店を経営し、これまでの経験から、「あきらめなければ道は拓ける、朝の来ない夜はない」をテーマに講演活動等を行っている。経営学修士、認定レジリエンス・トレーニング講師))
湯澤剛 公式ウェブサイト

株式会社湯佐和((神奈川県東部を中心に自社ブランドで居酒屋等の飲食店を14店舗経営。三浦半島の2つの漁港で買参権を持つ。刺し身や寿司が楽しめる自社ブランドの居酒屋「七福」「七福水産」「海福」などを展開))
湯佐和
株式会社湯佐和のインタビュー | ONLY STORY

書籍

借金地獄のはじまり

父の死去に伴い、事業を引き継いだ湯沢さんは呆然とします。
会社が抱えた借金は年商の2倍の40億円。
28億円が地元の信用金庫から、12億円がメガバンクからという状態で
借金の返済もままならない状態だったそうです。

「この後会社をどうするおつもりなんですか。もちろん継がれるのですよね。お母様に社長をやってもらわなくてはなりませんが、それで大丈夫ですか?」葬儀に訪れた銀行員は湯沢さんに会社を継ぐよう迫ってきたのです。

しだいに会社ののっぴきならない状況がわかってきました。

人としての尊厳をずたずたにする借金地獄。
その魔の手は家族にも降りかかりました。
督促の電話が自宅にまでかかってきていました。
妻のまゆみさんはそのことをずっと夫に黙っていたのです。

湯沢さんは次第に追い詰められていきます。

背負わなくても良かった借金

「人生で何が大切かというと命です。責任感だけで会社を再生するのは無謀です。湯沢さんは男気がありますが、それだけでは会社の経営はできません」

「湯沢さんは連帯保証人ではありません。湯沢さん本人で返す義務はありません。ただ父が亡くなると相続という問題が起きてくる。相続になると借金は湯沢さんに行ってしまう。ただし、借金が行かない方法はあります。

相続を3ヶ月以内に放棄すればいい。しかし3ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。40億の借金がわかったのは3ヶ月後。そういう場合は法律でさらに数ヶ月伸長することができる」まず最初に法律のプロに相談すべきなのです。

「母は保証人ですから原則は借金を返さなければならない。ただし破産という制度があります。破産に成るとクレジットカードが使えない。住む場所や旅行は裁判所に続けるなどの制約があります。勘違いしやすいのが年金です。自己破産しても年金は差し押さえられません

「独力で返済の交渉をするのも間違っています。専門家が対応します」

「銀行が”謝れ”と対応したのも逆です。銀行が頭を下げて頼むべきです。あなたは関係ないけどやってください。そのかわり我々も協力しますということです」

一点突破、全面展開

窮地に立った湯沢さんは、女性客にも親しまれる店作りで失地回復を目論みました。しかし客足は伸びずリニューアルは失敗におわりました。

原因はターゲットの設定ミスでした。失敗に気づいた湯沢さんは素早く方針を変更します。中高年男性が親しめる店作りに切り替えたところ作戦は成功。徐々に業績は上がり始めました。

次に取り組んだのが不動産の整理でした。父から受け継いだ店舗は全部で33店。どの店もほとんど利益は出ていませんでした。一時は成功していた父親の事業に銀行はお金を貸そうと群がっていたのです。メイン事業の居酒屋に力を入れるため7店舗を閉め、優秀なスタッフを厳選した少数の店舗に集めたのです。

頭に浮かんだ言葉がキリンビール時代に出会った
「一点突破、全面展開」という言葉でした。
孫子の兵法の戦略のひとつ。ある一箇所を集中的につついて突破するという戦略です。
あれこれ中途半端に手を出すよりも、一つのものに集中したほうが成果が上がりやすい
というやり方はビジネスの世界でも広く手本にされています。
競争相手が力を分散させているところに、自社の得意な力を結集して攻めるというもので、
弱者の戦法とも言われています。

1番、2番じゃなくてもいい

経営者は誰でも一番を目指します。
湯沢さんの目的は会社を倒産させないことと売上を復活させることの2つでした。
「男性客は、まずそのお店に行ったことがあるということが大事で、
決定的な失敗がなくて、行ったことがあれば、ま−いいじゃんという
2番手、3番手の選択肢でも来てくれる。
それであればうちでも来てもらえるだろうと考えました。

プロセスに切り替える

湯沢さんが今も大切に残しているのが5年分の日めくりカレンダーです。
「借金を減らすということだけを目標にしていたら、借金が増えてしまったらもう心が折れてしまいます」
努力しても努力しても結果がでないとき湯沢さんを支えたのが「プロセスに切り替えてしまう」という言葉でした。
「頑張る期間」を5年と定めたのです。
「5年間、1827日、365日を5回とうるう年分の2日の合計の日数の間、会社を潰さないようにしようと決めました。
この間、会社がうまくいかなくても、借金が逆に増えようが、いいんです。
とにかく、その時の私の目的は「5年間を終わらせること」でした。
それで、迷いがなくなって、そのプロセスに集中することによって、道が開けるようになったのです。

まとめ

逆境に直面したところに知恵が生まれるというのが人生の面白いところです。
・「ストレングスファインダー((アメリカの世論調査&コンサルティングのギャラップ社が、一人ひとりが自分の得意を見極め、日々自分の強みを使って仕事をすることで、楽しく、しかも効果的に成果を出してもらうために開発したツール))」を使って、社員に自らの強みに気づかせる
・拡大均衡ではなく縮小均衡でしく
・社員70名の一人ひとりと「1対1」の関係をつくる
・頑張った人が周囲から褒められる機会をできるだけ多くつくる
・やせ我慢してもプラスの言葉だけを使う
成功事例に学ぶことは大切ですが、逆境に直面しながらも足元を見つめ、
地道な積み重ねで乗り切った人の話には千金の重みの説得力があります。

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