プライベートで「パン部」を結成しているパン大好き女優の木南晴夏。
隅田川沿いの旅最終日は、部員の女優・佐藤めぐみと一緒に上流の日暮里と王子をめぐる。
昭和初期に建てられた古民家のパン屋さんで味わうのは、日本ではまだ珍しい北欧伝来のサワードウ・ブレッド。
パン女子を自認する二人も初体験というその味は?レトロな都電の街・王子では、まるでアートのような超絶技巧の飾りパンに驚がく!
アートなパン作りにチャレンジ。
【出演】木南晴夏,佐藤めぐみ,【語り】西脇保
パン旅。「隅田川沿いの斬新パン(4)日暮里・王子編」
放送:2019年2月22日
隅田川沿いのパン屋さんを巡る旅。最終日は上流の王子と日暮里を訪ねます。
今日暮里で人気なのが昭和の古民家が立ち並ぶエリア。
一方の王子も明治時代からの路面電車が走る街。レトロな風情の下町で私たちを待っていたのは、「みそ×パン」。「紅ショウガ×パン」。
ディープな下町ならではの禁断のコラボレーション。
さらに超絶技巧のアートパン。もはやアート。華麗なるパンも登場。
今回はパン部も衝撃の未知との遭遇オンパレードです。
パン部コンビの旅は日暮里からスタート。今欧米でブームになっているというパンにこの町で出会えるそうなんですが。「これから向かうお店は、サワードゥ・ブレッド・・・知らない」。日本でも珍しいというパンの名前はサワードゥ。
一軒目は、グルメが注目、北欧仕込みのサワードゥを初体験します。
VANER(ヴァーネル)
「これって、パン屋だよね。看板とかが。突き当りのあたり。古民家だ」。
こちらは昭和13年に建てられた古民家。おしゃれなお店が入って今は人気の観光スポットになっているんです。
とってもスタイリッシュなこちらのパン屋さん。
店内でまず目につくのはガラス張りの大きな作業台。
パンは奥の棚に置いてあります。オブジェみたい。
「サワードゥ・ブレッドは」。
「これです。外はぱりぱりですが中はモチモチです」。
「サワードゥとは、サワダネホウというのがあって、ライムギとか小麦からおこした酵母をつかっている」。
サワードゥとは酸味のある生地。ライムギや小麦についた乳酸菌が生み出す独特の深い風味を生むのです。ヴァーネルでは日本でもまだ珍しいサワードゥの専門店。
プレーンなのはもちろんカルダモンやシナモンなどのスパイスを練りこんだパンもあります。
「酸味が結構しっかりある」。「中側の焦げた感じもおいしい」。「麹っぽい味」。
続いてシナモンロール。こちらの生地もサワードゥを使っています。
「すごいさっぱりしている。酸味がない」。
同じサワードゥなのになぜこんなに味が違うのでしょう。
日暮里の酸味の魔術師宮脇司さん。サワードゥの本場ノルウェーで修業を積んだ気鋭のパン職人です。
「種はいっしょですが、発行させる温度が違うから」。
酸味の決め手は乳酸菌から作られる酵母。この酵母に小麦粉を加えて生地をこねていきます。
実は宮脇さん。この時温度を細かく調整しながら酵母の働きをコントロールしているんです。例えば酸味の強いプレーンなさわーとぅは生地の温度を26度に。一方酸味の少ないシナモンロールはそれよりも低い16度にしています。作るパンによって温度を10度も変えているんだそうです。
宮脇さんとサワードゥの出会いはパン職人を目指していた22歳の時。偶然目にしたインターネットの映像でした。
「見た目からして全然違う。焦げているんじゃないかみたいなパンだし。でかいし」。
不思議なパンに惹かれた宮脇さん。25歳の時サワードゥブレッドの本場ノルウェーにわたります。そこで出会ったサワードゥの味が宮脇さんの人生を変えました。
「純粋においしいというのがあって、食べたときに肩の力が抜けてほっと安心するようなうまみとおいしさ」。
ノルウェーに留まることを決めた宮脇さん。専門店で二年半みっちり修業し、サワードゥの技を身に着けました。帰国して店を開いたばかりのころは外国人のお客さんが多かったそうです。そんなか日本人がおいしく食べられる方法を考えてくれた人が現れたのです。
「同い年のシェフで、ここに買いに来てくれて、話聞いたら焼き鳥屋さんで使ってるみたいな」
こちらは四谷にある焼き鳥屋さん。ワインと創作料理を出しています。ワインに合う食材を探す中で出会ったのが宮脇さんのサワードゥブレッド。小川拓眞さんは自家製のお味噌をクリームチーズとあえてパンに塗ります。
いまではこれがお店の人気メニューなんだそうです。
サワードゥと紅ショウガの天ぷら。
続いてやってきたのは三ノ輪の商店街から都電荒川線で一本の王子。日暮里からはJRで4駅です。
この町で目を引くのは路面電車。庶民の足として利用されています。
「かなり珍しいパンがある」。
ロワンモンターニュ
私たちを待っていたのは珍しだけでなく驚くほど美しいパンでした。
「白神こだま酵母のパン。懐かしい感じだね」。
いつも70種類以上のパンが並ぶというこのお店。
ビーフカレーのパンをチョイス。
王子の華麗なる技巧師、遠山広さん。この町生まれの64歳。遠山さんは定番の菓子パンから高い技術を駆使した創作パンまでなんでもこなせる実力派。
パリの一流料理学校ル・コルドン・ブルー東京校の講師もつとめていました。
「今日はおすすめのものを用意しました」
遠山さんご自慢の一品、木の実たっぷりのパン。
見た目はシンプルですけど、中にはぎっしりナッツが詰まっています。さらにパン生地にも工夫がいっぱい。複雑な味わいを出すためにクルミや伊予柑が練りこまれているんだとか。
かわいい子の葉のついたこのパンも、中身はぎっしりと詰まったドライフルーツ。
店の中に飾られているのがパンでできた馬。
そして超大作が250本もの麦の穂をパンで作り上げているんです。これらは飾りパンと呼ばれる装飾品。食べるためではなく鑑賞するための特別なパンなんです。欧米ではポピュラーなんだとか。
「お客様と会話のきっかけ。なんなのこれはとおっしゃっていただけるといい。小さなパン屋なのでお客様との会話ができるような」。
驚くほど精密な飾りパン。一つ一つ精密にかたどられた穂先。麦を束ねるなわもパン生地を結い上げて作られています。
遠山さん実は木南さんが来ると聞いてある飾りパンを準備していました。ロシアの結婚式で使われる飾りパン「カラヴァイ」。去年6月に結婚した木南さんへのお祝いにと二日かけて作りました。
白神こだま酵母のパンの店 ロワンモンターニュ