イッピン「繊細で優雅 北国の輝き~秋田 銀線細工~」




銀線の透かし模様がきらめく、ペンダントや指輪。

白と銀に輝く、さざんかの花のブローチ。

太さ1ミリ以下の純銀を繊細に操って作られたアクセサリーは、東北・秋田の「銀線細工」。

極細の銀線から、ピンセット一つで渦巻きや唐草模様を作り上げ、炎を操って立体的に組み合わせていく。

銀ならではの輝きと緻密な手仕事の秘密に、笛木優子さんが迫る。

【リポーター】笛木優子,【語り】平野義和

イッピン「繊細で優雅 北国の輝き~秋田 銀線細工~」

放送:2019年2月26日

プロローグ

キラキラと輝く純銀製のペンダント。太さ一ミリ以下の銀線が織りなす透かし模様が目を引きます。

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本日のイッピンは東北・秋田で作られる銀線細工。伝統の技とモダンなデザインが融合し、話題の製品が続々と生み出されています。

立体感あふれる山茶花のブローチ。

花弁や葉もすべて極細の銀線で表現されています。

さらに可憐な花弁が印象的な指輪も。

立体的な模様は太さの違う七種類の銀線を溶接したものです。

銀ならではの繊細な輝きが心をときめかせる。秋田県の銀線細工の魅力に迫ります。

銀線細工のふるさと

かつて日本有数の銀の産地だった秋田県。

銀線細工の工房です。

キャリア30年の職人渡邊圭子さん。

材料は様々な太さの純銀の線。まずは太さ0.3ミリを使います。

作業は2本の銀線をより合わせることから。木の板で挟んで何度も転がすと。

日本の銀線がどんどんより合わさっていきます。

続いて、撚った銀線をローラーにかけて平らにします。

この細い面が表になるように使います。

組立作業。撚った銀線を銅板に巻き、等間隔の折り目を付けます。

ピンセットで曲げていくと、

花弁の形が現れました。

直径わずか一センチの花のパーツ。

今度は太めの銀線を撚らずに使います。

唐草模様の形になりました。

すべてのパーツができたら直径三センチの枠の中にはめ込んでいきます。

大事なのは左右のバランス。パーツの長さと形を均等に合わせていきます。残った空間はさらに細かいパーツを使って埋めていきます。

すべてのパーツを入れたら銀線同士を固定していきます。

使うのは銀と真鍮を混ぜた粉。ロウと呼ばれています。

このロウを水で溶いてパーツの隙間に塗りこんでいきます。

バーナーであぶるとロウが溶けてパーツの隙間に入り込んでいきます。

ロウは真鍮を含んでいるため純銀よりも低い温度で溶け出します。溶けだした真鍮は銀の粉を含んだまま隙間に溶けて流れ込みます。そのためパーツの隙間を銀で埋め固定することができるのです。

しかしそのままでは真鍮が隙間に残ったままです。

パーツが固定されたら酸に漬けて真鍮などの不純物を取り除きます。

この時、酸の影響で銀の表面に細かい傷がつき真っ白に。

続いてはペンダントヘッドに立体感を出す作業。木の枠に押し付けると。

緩やかな曲線が生れました。表と裏をバーナーの炎で繋げます。

最後の工程。白くなっていた表面を金属の棒を押し付けて磨いていきます。

ピカピカに光るペンダントが出来上がりました。

素朴な銀線を巧みに操って生み出した美しいフォルム。

小さなきらめきに丹念な手仕事が詰まったイッピンです。

銀線細工の歴史

秋田に銀線細工が伝わったのは江戸時代。

そのきっかけは意外なものでした。かつてヨーロッパで盛んだった銀線細工。南蛮貿易によって現在の長崎平戸へ。

その平戸藩と秋田藩の江戸屋敷がたまたまご近所だったことから技術が伝わったんだとか。

古くから銀の生産で知られていた秋田。銀線細工が次第に広まっていきました。

こちらは明治から大正期に盛んに作られた花嫁かんざし。その後平戸では職人が途絶え、伝統の技が残っているのは秋田だけです。

今に受け継ぐ職人

そんな技を今に受け継ぐ職人がいます。進藤春雄さん。

15歳から修行を始め60年近く銀線細工一筋の人生を歩んできました。手掛けた作品がこちら。高さ三十センチもある置物も。

「半年かかります」

蕗やワラビなどの秋田の自然をモチーフにしています。中でも美しいと評判なのが山茶花のブローチ。花弁や葉もすべて細い銀線で作られたブローチ。模様は銀線細工ゆかりの地にちなんでヒラト呼ばれています。まずは花びら作りから。挟んだだけであっという間に花びらの形に。秘密はやっとこの先端が山型になっていること。

「自分で溶接してつくります」

花弁枠ができたら中に入れるうずまきヒラトづくり。3本撚りの銀線を使います。「ピンセットでのの字に巻いていく」

指先で銀線を楕円上に巻いて行きます「感覚が狭いと丸くなるし、空けると長くなるのでその中間を狙ってバランス見ながら自分なりに調整しているんです」。

大きさわずか一センチ。花弁の枠に入れ、ピンセットで絞めていきます。

どこから見てもモダンな指輪

今若い女性達の注目を集めている指輪があります。

桜の花びらが唐草模様の上を軽やかに舞うデザインが可愛いと大評判。

手がけたのは新進気鋭の銀線細工職人。佐藤房雄さん。

15年の修行を経て独立。様々なオリジナル作品を発表しています。

こちらは銀線細工に蒔絵を施したタイピン。さらに天然石に銀線をあしらったペンダントも。

そんな佐藤さんの最新作があの指輪。

特徴は流れるような輪郭線が切れ目なく続くこと。これまでも銀線細工の指輪はありましたが、太い枠の中に模様を入れたものが主流でした。佐藤さん枠を取り払ったのびのびした指輪を作りたいと考えたんです。

「これが簡単なデザイン唐草模様。この流れになってましてこれに合わせて銀線をまいていく」。

材料は太さの違う4種類の銀線と撚った銀線3種類。まず一番太い銀線で骨格になる唐草模様を作ります。次に使うのは2番目に太い銀線。次第に線を細くして模様も小さくしていきます。今度は撚った銀線で隙間を埋めていきます。唐草模様と同じく次第に銀線細く、パーツを小さくしていくと、

「少し背の高さですけど凹凸をつけることでより立体感が出るので見た目の良さっていうのが出てくると思います」

様々な太さと大きさのパーツが重なり起伏に富んだ表情が。指輪のサイズを決める棒に巻きつけて慎重に曲げていきます。

「純銀なので柔らかい。ゆっくり」

一周巻き終わりました。

「スペースを後で埋めることで線がつながって見えるように」

模様が美しく見えるようあえて丸越手からパーツを付け替えるのです。

「ここにのせていくのがむつかしい」

職人の腕の見せ所。慎重にパーツを置いてバランスを確認します。 パーツの位置が決まったらバーナーでそっと固定。うまく繋がりました。

「こだわりが強くなってきたりとかちょっとしたことは気になってそこを直し初めてでまた壊れる」

残った隙間に小さなパーツをはめ込んでいきます。

銀線細工で作った桜の花びら。縦5ミリほどの花びらを指輪の上に置いたらついに完成。

こだわり抜いた材料と技で銀線細工の枠を打ち破った逸品です。

「自分にとってはこの新鮮みがあると言うか機械ではできないやっぱ手作りならではの繊細な感じを出せるって一番魅力かなと思います」。

遠くヨーロッパから伝わり、北国秋田で育まれた銀線細工。涼やかな輝きには職人たちの静かな情熱が込められていました。

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